井ノ上たきなは泣かない。あるいはリコリコクライマックスに向けた遺言
みなさまどうもお久しぶりです。輿水畏子です。
リコリス・リコイルが面白すぎる。今期唯一毎週追って見ているアニメがリコリス・リコイルなのですが、本当に久々に毎週アニメを追いかける面白さ、リアルタイムのどきどき、そして一週間待たされる辛さを味わっています。私は割とアニメも漫画も一気見派で、先が気になっちゃって仕方がないのですぐ最新のお話まで追いかけてしまうのですが、リアルタイムコンテンツはそれができないから辛くて楽しい。いいですねこのもどかしさも。
このnoteもリコリス・リコイルの9話最速放送をアベマで湯船に浸かりながら見て、そのまま放心して一時間くらい湯船に沈んだ後書き始めています。やばかっただろ9話。みんな見た?見てない人はこんなnote読んでる暇あったらリコリコ見てきてくれよな。
さて、今回のnoteの趣旨は私が井ノ上たきなさんに感動した話です。つまりはリコリコ9話の感想なので、もちろんネタバレありのお話なので注意してください。
井ノ上たきなさんの行動原理を貫いているものは、彼女の馬鹿正直な「合理性」でした。
初登場時から、これが合理的だと思ったから人質を気にせず銃をぶっ放す。それが原因で左遷されたら、今度は元の場所に戻るために少しでも実績を上げようとリコリコでのお仕事にちゃんと向き合う。殺人が許可されているリコリスなんだから邪魔な相手は容赦なく撃つ。
そんな合理性の塊だった井ノ上たきなが、錦木千束という、命大事にとか言ってわざわざ難しい道を選ぶし、好きなことばっかやるし、凄腕なのに本人のやりたい仕事しかしたがらない、「合理的でない女」と出会い、共に過ごすことで、少しずつ変わっていく。人間の鏡のような、今を生きる女と触れ合ったたきなが、普通の服を着るようになったり、カフェでの仕事に精を出したり、DAに戻りたいのかわからなくなることこそ、リコリコというアニメの見どころの一つであり、我々のような百合のオタクが死んでしまうポイントだったと思います。氷のように冷たく周りと溶け合わなかった奴が太陽のような相方と出会って少しずつ人間味を得ていくストーリーが嫌いなやつはおらんからな。一方で多分、千束もこんなふうに二人で生きていける相棒がいて本当に嬉しいんだろうなというのが節々から伝わってくるのがニクイよね。たきちさ一生一緒にいてくれや。
リコリス・リコイルは9話は、たきなが変わったことを教えてくれました。DAに戻るつもりが最初はなかったこと。千束の真似をして、観光のスケジュールを決めてしおりまで作ってくること。千束が選んだ服をデートにきてくること。千束に雪を見せたくてデートプランを考えていたこと。つまりは、たきなが千束を想って行動できるようになったり、自分の意志をもってデートプランを組んだり、千束との最後の2ヶ月を共に過ごそうとしたり、そういうたきなの変化の集大成のような描写です。たきなはこれまでの時間で、本当に人間らしくなりましたね。そしてそれは、なによりも千束のおかげなんです。もうこれだけで泣けてくる。
一方で、9話はたきなの本質が全く変わっていないことも教えてくれました。
千束の元の駆けつけてそれはもう躊躇いなく銃ぶっ放したし、千束の心臓を壊されたことにキレて姫蒲さんを始末しにいこうとするし、千束を救える可能性が少しでもあるなら、DAに、日常の影に戻って作戦に参加することを決意する。井ノ上たきなを貫く「合理性」は、全く変わらないままでした。ただ、それが今は千束のために発揮されているだけで。千束はたくさんの意味でたきなを変えたんですね。
井ノ上たきなは泣きません。なぜなら、少しでも千束のことを救える可能性が残っていて、その可能性を掴み取るためにまっすぐ走り続けるから。正直、私は9話の最後のシーンで、たきなが泣くんじゃないかと思っていました。いや、正確にはたきなに泣いて欲しかったんだと思います。それでもたきなは泣かなかった。唯一すこしだけ、この世の理不尽に声を荒げはしたけれど。そんなたきなを慰めて、前を向かせたのは千束の「今日は楽しかった」という笑顔でした。やっぱりどんな時でも、たきなの道を導くのは千束の明るさです。
そうして、二人は笑顔でそれぞれの道へ分かれていく。こんなに切なくて辛くて、それでも納得させられる別離の道がありますか!?!?二人とも強すぎるんですよ。もう少し弱くていいのに、この世の理不尽に泣いて、叫んで、駄々をこねていいのに!!でもそうはならない。二人は互いに出来ることを、やりたいことをやるために笑顔で進んでいく。お互いの笑顔と在り方をその支えとしながら。ああなんと美しく辛い関係性でしょう。それでも私は、たきなが泣かなかったことに心打たれました。こんな別離の描き方があるのか。リコリス・リコイルはすげえよ。
さて、それじゃあこれからのリコリコに何を望むのかと言えば、そりゃもうたきなが嬉し泣きする展開ただそれだけですよね!!!!!!
どうせなら最後はバカみたいなハッピーエンドを。これが私の最後の希望であり、遺言です。井ノ上たきなが泣いて大笑いするくらい、全部バカみたいに幸せになっちゃえばいいんですよ。頼む!!!!!!!!!!
誰か助けてくれ。