小学生向けのゼロ除算童話を作ってみた。
童話「わかんなーい」
ある農場に、1匹のねこがいました。
ねこは、ネズミとりとしてはたらいていましたが、あるときちがう仕事がしたくなりました。
農場のおじさんは、
「それなら毎朝12個のリンゴをはこに入れておくから、ほかの動物にうっておいで。
いいかい、ひとりが何個リンゴを食べたのか、おぼえてくるんだよ」と言いました。
さいしょの日、ねこは大きなゾウさんに会いました。
ゾウさんは、ひとりで12個のリンゴを全部食べてしまいました。
「ひとりが12個たべちゃった」と、ねこは農場のおじさんに言いました。
「リンゴの個数を、ひとりが食べた数でわると、今日のお客さんの数がわかるよ」と、農場のおじさんが言いました。
12わる12は、1。きょうは1ぴきです。
つぎの日、くまの親子が来てひとり4個ずつ食べました。
12わる4は、3。きょうのお客さんは、3びき。
つぎの日、きつねの親子が来てひとり3個ずつ食べました。
12わる3は、4。きょうのお客さんは、4ひき。
つぎの日、カピバラの家族が来てひとり2個ずつ食べました。
12わる2は、6。きょうのお客さんは、6ぴき。
つぎの日、おさるのおばさんが来て、1個食べました。
「あら、おいしい、ご近所さんを、つれてくるわ」
1人1個ずつ食べて、うりきれました。
12わる1は、12。きょうのお客さんは、12ひき。
つぎの日、おさるの学校の生徒たちが、やってきました。
「みんな子どもだから、半分こするのよ」と、おさるの学校の先生が言いました。
あれれ、1人あまっちゃった。だいじょうぶ、先生と半分こしました。
半分って、2分の1ということです。
12わる2分の1は、24。きょうのお客さんは、24ひき。
つぎの日、うさぎのむれが、やってきました。
「おおきいリンゴだね。1個を4人かぞくでわけましょう」
12わる4分の1は、48。きょうのお客さんは、48ぴき。
つぎの日、リスのむれが、やってきました。
「まあ、なんて大きいリンゴでしょう。1個を8ぴきでわけましょう」
12わる8分の1は、96。きょうのお客さんは、96ぴき。
つぎの日、ねこがまっていても、お客さんが来ません。
売れない日もあるよ。帰ろうかな・・・と思っていた、そのとき。
「ぼくたちだよ。きみの足もとにいるよ」
なんと、今日のお客さんは、アリさんでした。
「きみたちは、ひとり何個ずつ食べるの?」
ひとり分は、ほとんどゼロにひとしいよ。かぎりなく小さな、せんぎりにしてくれる?
ねこは、1日じゅう、リンゴをせんぎりにして、へとへとになって帰りました。
「今日は、ひとりが何個たべたんだい?」と、農場のおじさん。
「えーっと、ひとり分はかぎりなく小さくて、ほとんどゼロだったよ」
12わる0は、なんでしょう?
今日のお客さんは、何びき?
ねこと、農場のおじいさんは、さけびました。
「わかんなーい!!」
そう、0でわった答えは「わかんなーい!!」
小学生はもちろん、大人でもExcelの式を書き間違えると「ゼロで割ったやろ?」というエラーに悩まされるので、楽しいお話を書いてみました。
誰か、絵本にしてくれないかなぁ。