そもそもトンネルの入口にすら入っていなかったのかもしれない
苦しかった頃の自分の人生を例えて「あの頃は長いトンネルの中を彷徨っていましたね」なんて言い表すことがある。
そしてぼくも、人からすると惨めな人生を(自分はわりと満足してしまっている)そのようなセリフで形容し続けてきたように思う。
しかし、最近ふと気づいた、というより気づいてしまったことがある。というのも、ぼくはそもそも迷い続けるどころかトンネルにすら入っていなかったのかもしれないという事実だ。
だとすると、ぼくはいまどこを歩いているのだろう。トンネルでもない、山道でもない幹線道路でもない、どこを歩き続けているのだろうか。
少なくともわかることといえば、どうにも周りのスピードがはやすぎて、ぼくの右肩をかすめながら、いろんなひとがとおりすぎていくということ。ぼくはまだ、車にすら乗れていないのに。
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