ACL完全断裂から復帰までの3ヶ月(1)ーオペをしない選択ー
昨年9月13日に左膝前十字靭帯を完全断裂。そこからちょうど3ヶ月後、12月13日にチームトレーニングの全メニューに復帰。受傷から復帰までの3ヶ月間を振り返る。(記事内で触れるもののすべてのリンクは記事最後にまとめて貼っておきます。)
オペするか、しないか
9月13日、チームトレーニング中、ノンコンタクトプレーでの受傷。
痛みは一切なかったものの、その日はその場でトレーニングから離脱。
歩行もスクワットもできる、引き出しテストでも問題はなさそうということですっかり安心しきった翌日、前十字靭帯完全断裂の診断を受ける。(詳しい内容は以下のリンク記事にて:Day 0-2)
何人かにMRI結果をみてもらったけど、完全断裂はまず疑いようがなかったようなので、問題はオペをどうするか。
競技復帰にはオペ一択と言われるも、オペはイヤ、感覚変わるなんてもっとイヤということで、とりあえずいろいろとヒアリング。
私はオペ回避希望だったので、オペを受けるメリットと、オペ回避時に考えられるデメリットをまとめてみたのが以下の内容となる。
それぞれを考慮してみても「チャレンジもなくオペした先でなにかあった時は後悔してもしきれない」というのが私の変わらぬ想いだったので、一旦オペなしでのリハビリを選択。
先が読めない判断をクラブが許してくれるかは懸念点だったものの、頑張れと背中を押してもらえたでチャレンジできた。
余談として、これは後から気づいたことだが、そもそも私がこの決断をできた理由について。
西大伍さんのYoutubeで前十字を保存で繋げたという駒井選手についての動画が投稿されている。
話を聞いていると、彼自身も受傷時に痛みを感じなかったようで、本人としても前十字靭帯損傷の事実自体が驚きだったという。
その言葉を聞いて、ここはオペ回避を選択できるポイントの一つなように感じた。
なぜなら、私も受傷時の痛みを感じなかったので、前十字靭帯損傷への恐怖感を知らないままでいるからだ。
なんなら、受傷前は経験がないからこそ想像で恐怖感を抱いていたものを、実際の経験を通して恐怖心がどこかに飛んでしまっていった感覚さえある。
これがなければまず、やってみよーなんて軽いノリでの発進はできなかったと思う。
治療とリサーチの同時進行
まず治療の一旦のゴールとしては、今回の受傷の原因の根本まで遡り、徹底的に身体の歪みを見直していくこと。
幸いなことに、仙台の頃からずっと身体を診続けてきてくれた「私の身体のプロ」がいて、静岡からほぼ毎週通いながら治療をしてくれた。
今回のチャレンジで本当に多くの人が力を貸してくれて、いまも変わらずサポートしてくれているけど、彼女の存在がなければチャレンジそもそもが成立していなかったと思う。
余談として、そんな彼女が東京で治療院をつくる。
地方で才能のある人たちを口説き回っていて、都内出張営業としての箱になるようで、これからどんなことをやっていくのか本当に楽しみにしている。
そして、治療と同じくらいに時間を費やしたのが情報収集。
前例が本当にないのか、そもそも前十字靭帯断裂ってどういう怪我?どういうリハビリするのか。
「キャリアエンディングに繋がりかねない怪我」というイメージ程度のほぼゼロの状態からのスタートだった。
リサーチの中で特に注目したのがある二つの論文。
一つは、3人に1人が前十字靭帯断裂をリハビリのみで回復させたことを報告するもの。
加えて、リハビリによって回復させた患者の方が膝の状態に感しての主観的評価が高かったらしい。
これは私自身の経験を振り返ってみても感じていることで、手術による未知数的な変化がなかった分、自分のコントロール範囲内でリハビリを進められたことがメンタル的な安定に大きく繋がったと思う。
一方で、手術しない場合、膝の不安定性が懸念材料として残るとも報告されている。
知人に前十字靱帯を完全断裂し、リハビリで回復させた人がいる。
ただ、回復状況をMRLで確認したところ、切れた端と端ではなく、片方の側面にくっつく形で繋がったらしい。
そうなると、やはり靭帯そのものの強度も含めて、安定性としてはやはり不安が残るものなのかもしれない。
少なくとも私の中では「前十字靭帯の自然治癒はない」というのが認識だったので、単に鵜呑みにせず、自分で調べてみることの大切さを改めて学んだ。
そして、何より探し求めていたのが前例としてのデータ。
実際にプレミアの選手が前十字靭帯完全断裂からオペなしで復帰した経過を報告するケースレポートをみつけた。
彼は受傷から8週で復帰まで漕ぎ着け、レポートが発表されるまでの約数年の間は再受傷もなく、プロとしてプレーを続けていることが確認されている。
ただ、このスピードリカバリーにはからくりがある。
私のプランはリハビリ期間で徹底的に身体を見返し、一から身体をつくりあげるという、石橋を叩きに叩きまくった上で復帰を目指すものだが、彼らは「切れたままでもプレーができる」という仮説を前提とした上で、段階を追ってその確認作業をしていくものだった。
選手の主観的評価やメディカルチームからのフィードバックなど、様々な観点から振り返りながら毎セッションを進め、結果として、当初は12週かかると想定していた期間を8週まで縮めての復帰となった。
内容こそ真似できるものではなかったものの、チームのあり方としては私が描いていた理想を体現されていたことに感動し、著者グループの先頭にあったドクターに連絡してみた。
実際に聞いてみると、選手の強い意志による強行突破に付き合ってくれたんだろうなという印象を受けたものの、それでも実現まで漕ぎ着けた事実自体はすごいと思う。
様々な観点から今回のリハビリを観察し、常に俯瞰すること、そのための自律心。
それらを自身の過程でどこまで追求できるかが鍵となるように感じていた。
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