【Twitterバズ考察】1ツイートに200,000いいねが付くと何が起こるのか?
みなさん、こんにちは。
柏のひとという名前で日々Twitterに漂っています。
半年前にスーパーバズを巻き起こした1つのツイートがありました。いいね数は200,000オーバー、総インプレッションは半年間で18,000,000超えという定量的な結果のみならず、各界の著名人からも言及いただく貴重な機会となりました。
そこで、自分なりに「なんでバズったのか?」という疑問を分析すると、Twitterの使い方として示唆ある気づきが生まれたので、今回のnoteに綴ってみることにしました。
切り口を変えてツイートしたら突如バズった話
ことの発端は、スポーツ用品メーカー「アンダーアーマーバスケットボール」の公式アカウントで呟かれていた動画を、Twitter公式アプリの「動画をツイート」機能から投稿したことがキッカケでした。
<2018年12月にスーパーバズを起こしたツイート>
で、どうして上のツイートが跳ねたのかというと、その理由を編集者である澤山さんが的確に紐解いてくださりました。
(出典:「バズる企画」を見分ける、便利な四象限マトリクスの使い方|澤山大輔(編集者)|note )
上のnoteにおいて、今回のバズはグラフ左上の「ネット × レア」の箇所に位置するとのことで、「優れた翻訳=解説」が必要なスキルということがわかりました。
○NBAのステフィン・カリーの動画:ネット上にある動画なのでネット。ただし、解説なしでは意味が伝わりづらい。「柏のひと」さんが的確なサマリーを加えたことで、一気に読む動機が形成され「レア」に。多くの芸能人がシェアする、特大バズになった。
(出典:「バズる企画」を見分ける、便利な四象限マトリクスの使い方|澤山大輔(編集者)|note)
上記のnoteで、「サマリー」と言及いただいたことで、私自身のツイートがまとっていた要素を明確に理解することができました。
事実、「アンダーアーマー バスケットボール」の公式アカウントでは、今回特別指導を行なっていた「ステフィン・カリー」の名前が全く言及されていませんでした(※ただし同日の別のツイートでは言及)。
そのため、一人の女の子が去っていってしまった「羞恥」に近い感情、彼女の不安に対して、スーパースターとして何でも出来るのが当たり前と思われていたカリーが「一人の人間」として真正面から向き合う「ぐう聖(ぐうの音も出ない程の聖人)」な人柄がそこまで伝わっていなかったのもしれません。
確かに、「アンダーアーマー バスケットボール」のツイート自体も1万いいねを超えて、一般的な企業のTwitter運用としては大成功の部類に入るかと思います。
しかし、それと同時に「企業アカウントのみ」で仕掛けを作ることの限界と、Twitterの文脈を意識したツイートを行うことの重要性にも気づかされました。
「アンダーアーマー バスケットボール」のソーシャルメディア運用チームが、必ずしも「認知の最大化」ではなく「ブランド価値の向上」として今回のツイートを行なったのであれば、バズを起こすことが施策のKGIではなかった可能性も確かにあります。
しかし、ツイート内に別の選手の名前であるケビン・デュラントの名前や、「#規格外のシステム」などのハッシュタグの意味が、ツイート越しでは伝わらないこと、加えてメッセージとの一貫性が感じられないことから、Twitterというプラットフォームにおいては、まだまだ取り組めることが沢山あると感じた次第です。
ハイコンテクスト(互いの認識が高度に共有された文脈)な環境下における「動画ツイート」であると、読み手の理解を促すことが難しくなる。SNS上では無視できないトレードオフとなり得るのです。
SNSの仕掛けで欠かせない「起点の打ち方」と「共通認識」
先日、サッカー専門誌である「footballista(フットボリスタ)」にて寄稿した際に、SNSを活用する上で、「アカウント運用」に終始することは、必ずしも最善ではないというお話をしました。
打ち手が「チームの公式アカウントで呟く」というアカウント運用に終始してしまうと、その効果は一部に限られてしまいます。例えるならば、写真を撮りたくなるようなパネルを設置するのも、SNS活用を促す施策の一つです。スタジアムに足を運んだサポーターであれば、その写真をソーシャルメディアにアップロードしたり、親族や知人にLINEなどで共有したりする想像は容易いでしょう。
引用:「ソーシャル運用」だけでは無意味!専門家が提案する「共創」と「三方良し」の視点 | footballista
また、今回の私のツイートがバズった理由も、企業からツイート依頼を受けたわけではありませんが、「起点の打ち方」が功を奏した故だと思われます。
企業自身が「自分たちは素晴らしい動画を提供している」というスタンスでマーケティングに臨むのは、あくまで前時代的な考え方です。
今こそ意識すべきことは、「UGC(ユーザー生成コンテンツ)」こそが、一番人の感情を動かす「クチコミ」であるという事実です。
実際にホットリンクという企業では、SNS上のクチコミを適切に収集&分析し、仮説構築&施策遂行を促すための活動を行なっています。
また、今回のツイートを紐解く上で欠かせないことは、多くの人間は「知ったか」をしがちであり、それとなく「高度な文脈について精通している自分」を演出したいという根源的な欲求です。
たとえば、今回の動画ツイートでは「ステフィン・カリー」が、NBAの歴代3スリー・ポイント・フィールド・ゴール(3 Point Field Goal)記録の更新がほぼ確実というスーパースターであるという前提の共有、そして、シュートを打った女の子が「なぜあの場を立ち去ろうとしたのか?」というシチュエーションの背景を見い出せないと、動画にまつわる文脈を理解することは非常に難しかったと思います。
それゆえに、企業の「ブランド」に対する考え方も、SNSにおいては再解釈すべき必要があると考えます。
スポーツブランドを始めとしたテレビCMでは、一切ナレーションや解説がなく、美しいクリエイティブや素晴らしい光景だけで動画を作成し、企業価値を高める施策を行なってきたケースも少なくありませんでした。
しかし、ソーシャルメディアという誰しもが情報発信ができる世界が誕生した以上、ローコンテクストなコミュニケーションが必要となり、とっつきにくい「過度な上品さ」や「察することを求めるクリエイティブ」よりも、「前提を共有させる適度な説明」や「利害関係者ではない第三者からのクチコミ」が重視され始めていることは言うまでもありません。
一歩間違えられば「説明おじさん」とも思われてしまうため線引きが難しい概念ではありますが、Twitterを始めとしたプラットフォームでは、「読み手の理解を促すサポート」こそがシェアなり拡散が促進される起点となりやすいのは事実です。
純粋に「良いものは良い」と言える人の周りで商品の購買活動が発生したり、人の興味関心が突き動かされることは、今後のマーケティングにおいては無視できないインサイトとなり得るでしょう。
1ツイートに200,000いいねが付いて起こったこと
そして、すばりタイトルについての話ですが、まずは参照資料をご覧ください。
結果的にはツイート後半年間で18,000,000インプレッションを超え、いいねは200,000を超える数値となりました。
ただし、同時に示唆に富む結果でもあります。
この件については、4月に同様のデータをツイートした際に、スポーツイベントの敏腕プロデューサーである佐藤さんに言及いただいた感想の通りだと思いました。
数字上は「30フォロー」となっている部分に関して、私個人の肌感としても、この件のツイートによるフォロワー増加数はおそらく300ぐらいで、特に私自身のアカウントなり立場なりが向上したという実感は、正直ほぼありませんでした。
「1ツイートに200,000いいねが付くと何が起こるのか?」というタイトルの回答としては、知り合いから「ツイートバズったね」と言われるぐらいな変化でした。ぶっちゃけ、リアルな世界では何も起こらないという結論です。
むしろ、マーケティングについて言及したnoteを書いた時の方が、結果として数週間で500以上フォロワーが増えた、かつ興味を持って「会いたい」とお声がけいただく機会が爆発的に増えたことから、「SNSで影響力を持つ≠ツイートがバズる」であることは身を以て感じました。
これは、かなり重要なことを示唆している可能性があります。
つまりは、
・自身の興味関心が紐づいていないツイート
・自身の専門性なりスタンスと乖離したツイート
がバズったとしても、自らが生み出したいコンテンツなり商品なりにそこまでインパクトを与えない可能性があるということです。
フォロワーが10,000人いるアカウントで「自身のスタンス」や「自身の価値観」がそぐわないツイートをしたとしても、確かにインプレッションやリアクションは伸びる可能性はあります。
ただし、施策の結果としては、なんらマーケティング的な効果を得られない可能性があるということです。
事実、フォロワーなどは簡単に水増しができる、かつbotなどを駆使して一定数のリツイートやいいねを増やすことも容易にできてしまうので、「数」を取り巻くコンテクストを意識できないマーケターが駆逐される未来は遠くないうちに訪れるでしょう。
SNSで大切なことは自身の興味関心に紐づいた投稿をすること
今回のスーパーバズツイートについて私の結論として感じたことは、「自分の興味関心に紐づいた投稿をすること」が改めて大切だと思ったことです。
前に上のnoteでも書きましたが、興味関心が紐付かないツイートや投稿をしたところで、「私自身のパーソナリティ」ではなく、「表層的な自分」と接しようとする人としか繋がりを持てないように感じます。
「自分のスキ」を理解し、その興味関心に基づいた呟きをし、その結果として人間味溢れる方と出会えるキッカケを生むことが、Twitterを使う1番の理由であると私は考えています。だからこそ、肩書きや所属組織を言い訳にせず、「自分のコトバ」で話す人が増えれば嬉しい限りです。そうなれば、世の中はもっと面白くなるし、かけがえのない繋がりが生まれやすくなる、ひいては自分の価値観に多様性を見出してもらえるようになると思っています。
引用:「社会的ネットワーク」が被らない人にフォローされても無意味説|柏のひと🍣|note
Twitterで大切なことは、「ゆるい繋がりの中で小出しにハイコンテクストな関係性を見い出すこと」なのかなと最近よく感じます。
ふとしたツイートなり出会いなりをキッカケとして、「自分と繋がった人」との縁を噛み締めることが、マーケティングでも、人生の幸せを見出す上でも大切なことであるという総括で、今回のnoteを締めることにします。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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