蝉の鳴き声が私に訴えかけてくること
私は炎天下の中、ボールを壁に投げ込んでいた。
汗だくになりながら、当時はPL学園の桑田をイメージしながら、全力で投げ込んた。
何度も投げ込まれた速球は、壁に跳ね返されて、私の足元にゴロで全て返ってくる。
1人遊びが好きで、ボールを壁に投げ込む、いわゆる壁当てが大好きだった。
蝉の鳴き声を聴くと思い出す。
甲子園のアルプス席の応援の中で、幼少期の私が軟式のボールを握り、家の前のマウンドに立っている。
夏、家のテレビは、昼は高校野球、夜はプロ野球だった。
野球にチャンネルを合わせるのが当たり前だった。
あれだけ野球を見てれば、私の頭の中で野球は育つ。
1日中壁にボールを投げ込んで、想像の中で野球の試合をした。
プレイボールから、ピンチを招いたり、奪三振の記録を作ったり、ノーヒットノーランを達成したり、私の頭の中で試合のケリがつくまでやった。
蝉が無く炎天下の中、とにかく投げ込んだ。
近所からは「壁当ての子」と呼ばれてたようだ。
今でもその壁は残っている。
壁までの距離は約10メートル弱。
通常、野球のピッチャーマウンドのプレートから、ホームベースまでは、18.44メートルでサイズはかなり小さい。
これが私の幼少期の遊び、楽しみ、人生そのものみたいなもんだった。
妄想膨らませて、世界を膨らませて遊んだ。
蝉は伝えてくれている。
好きなことに熱中していた私を思い出させるために、今、命を削りながら叫び続けている。
最近、子供の頃の自分が、もっと楽しめ!って訴えてかけてくる気がしている。それだけ私は子供時代に、本能のままに楽しんでいたということだし、この気持ちは大切にしたい。
人生いつ急に終わるかわからないので、とにかく楽しく生きよう。
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