読んでもらえない系文字書きが自分の小説を添削する 4
文字の色が透明になっているから、読んでもらえないのかもしれない。
な、わけがない。
そんな小説ばかり量産してしまう二次創作の文字書きが、自分の作品を添削していく「公開で復習する」シリーズの4回目です。
オリジナル短編小説『共に在る者』を使い、「表現の仕方がわかりにくい」や「説明が長すぎる」など、改善が必要な箇所をあげ、修正していく、という記事になっています。
私は「ビートシート」を使って小説を書いているので、これに則して前進中。
この記事は、『共に在る者』の きっかけ、ビートシートでいうと、4つ目の項目についての内容です。
前回はこちらに。
取り扱う項目を以下にまとめました。
★マークがついている項目が、この記事での内容となります。
☆マークは完了した項目です。
きっかけ
【Noteに投稿した きっかけ 本文】★
【問題点】★
【対策】★
【対策まとめ】★
【Noteに投稿した きっかけ 本文 修正】★
悩みのとき
【Noteに投稿した 悩みのとき 本文】
【問題点】1 2 3
【2の対策】←1とテレコ
【1の対策】←2とテレコ
【3の対策】
【対策まとめ】
【Noteに投稿した 悩みのとき 本文 修正】
それでは、きっかけ からスタートです。
【Noteに投稿した きっかけ 本文】
【問題点】
ビタっと決まらない
【対策】
「ビタっと決まらない」というのは、じゃんけんの後だしに似ていて、サザエさんが「じゃんけんぽん」の「ぽん」でグーを出した半拍あとに、こっちはパーを出す、あの感覚のこと。
もしくは、「1本締めだぞ」つってんのに、「パパパン、パパパン、パパパン、パン」のあとに、また「パパ…」とかやろうとしてしまう、やらかしてしまっている、あの感覚のことでもある。
どうしようもない、つい半笑いになってしまう微妙な「ずれ」が、私の小説の「きっかけ」にはいつもある。ような気がする。
サザエさんへの申し訳なさも手伝って、心がちょっと重くなる。
サザエさんへの申し訳なさ?
ここはあらためて、きっかけ の「ビートとしての役割」や、きっかけとは「どういうものであるべきか」を整理してみたい。
役割としてのきっかけは、
1、ヒーローの人生を全く別の方向へ向ける
なんとなく直進していたら、どういうわけか左折させられてしまう、というような、そういうアレ。
とにかく、きっかけ は衝撃的でありたい。
ドン、と、ヒーローに落ちてくる感じが欲しい。
ヒーローを襲うくらいでかまわない。
それまでの流れをぶった切ってくれ。
それくらいの唐突さでオッケー。
2、ヒーローを現状に止まらせない
きっかけをもらったヒーローは、理由はさておき、先に進まなければならなくなる。
ましてや後戻りなんてもってのほか。
では、きっかけがどんな形をして、ヒーローに落ちてくるか、ヒーローに襲いかかってくるか、というと、「郵便」や「電話」という形でやってくる。
『あぶない刑事』のタカとユージがラフな会話を楽しみながら、レパードでパトロールしているとき、二人に落ちてくるのは、強盗事件発生を告げる「無線」。
無線は「電話」の仲間で、その「電話」によって事件が起きたよとの報せをうけとったら、二人は現じょうに行かなきゃいけない。
めんどくさいから今日はいいか、というわけにはいかない。
近藤課長に怒られるし、なにより二人は刑事だから。
Action!
『イコライザー』の“平凡で善良で憂慮する市民”を装っているデンゼル・ワシントンに落ちてくるのは、後にぶちのめすことになるマフィアから渡される「名刺」。
ぶちのめすべき奴らの根城が記された「手紙」を渡されたデンゼル・ワシントンは、悪者を退治するチャンスを得た。
退治しにいく、退治しにいかないはともかく、「手紙」を渡された事実をなしにすることはできない。後戻りはできない。
シャーロック・ホームズに落ちてくるのは、依頼人から渡される、依頼内容を綴った「手紙」や「メール」。
依頼者本人が「待たせたな。じゃーん、俺が手紙だ」と訪ねてくることも、時にはあるけれども。
ともかくも、依頼という「手紙」を渡されたシャーロック・ホームズは、退屈から逃れるための、推理をするチャンスを獲得した。
依頼を受ける、依頼を受けないはともかく、「手紙」を渡された事実をなしにして、「そんな手紙は貰っていない」ということには出来ない。
ワクワクしているか、つまらんと思っているか定かではないけれど、「手紙」というものが意識の中に、少なからず存在している。なので後戻りは不可。
ただし、この人の場合は「手紙なら捨てたよ」とか言いそうな気もするけれど、それはまた別の機会に。
上記から分かるのは、どのヒーローの場合でも、「郵便」や「電話」に該当する何かがきっかけとしてやってきている、ということ。
必ず、絶対、「郵便」や「電話」でなければいかん、とわけではない。
けれども、どうもそういう場合が多そうだ。
きっかけの形は「郵便」や「電話」だということはわかった。
ならば、「郵便」や「電話」の内容はいったいなにか。
これは、「死」「解雇」「不治の病の宣告」など「悪い報せ」の場合が多い。
と、参考にしているビートシートの本に書いてあった。
必ずや、絶対に、「悪い報せ」であれ。ということではないけれども、まあ、でも、悪い報せの方がいいのかな。
悪い報せのほうが後戻りできなそうだもんね。
ここでもう一度、本文の きっかけ をみてみたい。
この本文からすると、キリアンに落ちてくるのは「暗転」。
つまり、「黒い手紙」。
「視界がいきなり暗転し、」 ←ここまでが きっかけ のビート
「キリアンはハッと顔を上げた。」 ←ここはもう次のビート
1つの文章のなかで、
前半は「きっかけ」のビート、後半は「次」のビートになっている。
アリだと思う。
なんかオシャレでいいじゃない、という浮ついた気持ちすらもある。
OK. いい子だ、一旦落ち着こう。
問題は、作者は、ひとつの文章の中に2つのビートが入っている、ということを、「意識的にやっている、のではない」という部分。
作者は、「視界がいきなり暗転し、キリアンはハッと顔を上げた。」が、まるごと「きっかけ」のつもりでいた。
もう。
作者、「きっかけ」の役割や形を、実は理解していないんじゃないの問題。
「きっかけ」が、「ビタっと決まらない」原因もここにあると感じる。
上記を踏まえて、キリアンの場合の「きっかけ」を整理すると、
キリアンに落ちてくるのは、「狙撃は中止。はい撤収」を告げる、暗転という名の「黒い手紙」。
狙撃する気満々の状況で、「はい撤収」と言われたら、
もちろん「なにて?」という反応になる。
「はい、撤収」と言われたまま、その場にじっとして、何もしないということはあり得ない。
キリアンは、その次に進まなければならない。
ふん。なるほど、いいだろう。
【対策まとめ】
「きっかけ」は、「お手紙の顔をしてやってくる」。
「小包み」や「電話」「メール」の顔をしている時もあるけれども、まあ、大抵は「お手紙」だ。
「お手紙」に書いてある内容は、主に「悪い報せ」であることを胸に刻み、震えて眠りたい。
以上で きっかけ の一通りの見直しは終了です。
一連の内容を踏まえて、最後に本文を修正したものを書いて、このビートは完了とします。
【Noteに投稿した きっかけ 本文 修正】
予想以上にながくなったため、今日はこの辺にて。
次回からは、悩みのとき のビートに入ります。
それではまたです。