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【創作】書きやすい長編プロットの作り方を超具体的に

ごきげんよう。
長編小説の書き方については探せば色々あるのだけど、なかなか「短編は書ける中級者向けの明日から使えるテクニック」が見つからず、昔は苦労したのだわ。

今回は、長編執筆の経験を元に、中級者向けの具体的なおTipsやフリープロットを提供するわね。
書きやすさ・分かりやすさを優先して、ひとつの方法について断定的に書くわ。無論、他にもたくさん方法はあるから、自分で開拓してみてちょうだいね。

まず短編の書き方が知りたい!という場合はこちらをどうぞ。

【追記】
ブラシュアップしたアップグレード版出ました!



■長編とはエピソードの繋がりである

Q、そもそも長編とは何かしら?
A、短編との違いは文字数と作中時間、そして要素の多さである。

……いっぱい書けば長編、ということね!

長編の書き方はたくさんあるけれど、一番書きやすいのは「連作短編形式」ね。
毎回事件が起きて犯人が分かる、ミステリーものの連続ドラマを想像してみて。一話ごとにキリがいいところで終わりつつ全体としては時系列が繋がっている……あんな感じ。あれが一番書きやすいのだわ。短編書きからすると、今まで書いていたものの延長線上だものね。

ただただ同じ世界線で短編を書き連ねるだけでもいいのだけど……もし長編としての盛り上がりがある、印象に残りやすい作品にしたかったら、「クライマックスに盛り上げる」「スタートとゴールを対比・好転させる」を意識しましょう。

■人間関係メインか、メイン軸ありきのサブ軸恋愛か

世にある恋愛要素のある話は2種類に分けられます。
①メイン軸が人間関係・恋模様
②メイン軸は他にあり、サブ軸で人間関係・恋模様が進む

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メイン軸とは、物語の骨となるところ。名探偵コナンでいうと、日々の事件や黒の組織との戦い。鬼滅の刃でいうと、「妹を人間に戻すため鬼と戦う」、コンセプトね。
サブ軸とは、文字通りサブの――多くの場合「人間関係」「内面の成長」の部分。名探偵コナンでいうと、主人公とヒロインの恋模様。鬼滅の刃でいうと、仲間との絆や周囲との人情物語かしらん。

「メインの縦軸」は戦いや事件で、あくまで人間関係はサブ軸、という②の作品の方が世の中には多いわね。

一方テンプレ少女漫画や、大抵のカップリング2次創作は①で、話のキモ……メインの縦軸が人間関係ね。

例:「第一印象最悪のAとBが学校生活を通して恋人になる話」
……王道ね。途中で学園祭や選挙戦、修学旅行などのイベントがあっても、話の主軸はあくまで恋模様、みたいなイメージ。

おカップリング二次創作においては、このキャラとこのキャラの恋模様がみたい!という方が大半だから、①が多いわ。

どっちがいいとか悪いとかの話ではないけれど、もし「二次創作畑で目立つ」「面白いと言われる確率が高い」そして「自分自身いわゆる『少女漫画脳』ではない」タイプは、②のサブで人間関係をやる方がおすすめだわ。
(もちろん、サブだからといって尺を短くすることはありません。便宜上そう言っているだけで、メインの軸が少なくても全然OK)

①の人間関係メインで話を進めて面白いといわれる――ハチクロや君に届けみたいな作品を作るのは相当難しいし、使えるキャラが限られている&当て馬を作りにくい2次創作ではさらに高難易度なイメージね。

たとえば②のヒット作、鬼滅の刃、犬夜叉、神風怪盗ジャンヌは、メイン軸で何かを追ったり戦ったりしていて、サブ軸で人間関係が進展しているわね。
そして、人間関係(恋模様)の割合は、順に低、中、高。
それぞれ好きな割合を参考にするといいのだわ。メイン軸があり、割合の高いサブでの人間関係が進展する作品は、他にも色々あるわね。

ヒット作のメイン軸(コンセプト)
・名探偵コナン……黒の組織から命を狙われつつ黒幕を追い、日々の事件解決
・ドクターストーン……3000年後の原始の世界にて、科学の力で人類復興
・ビースターズ……動物しかいない世界で英雄的存在「ビースター」になるまでの物語

ヒット作のサブ軸
・名探偵コナン……主人公とヒロインや周囲の人々の恋模様
・ドクターストーン……みんなの友情や絆、科学に目覚める熱さ
・ビースターズ……成長、主人公とヒロインや周囲の人々の恋模様、異種族間交流

メイン軸は、戦い(スポーツ)や追求、事件が多いわね。一方サブ軸は成長や人間関係など、かぶっているものが多いわ。

さて、以下に書くのはメイン軸があり、サブ軸で恋模様をやるときのプロットの立て方よ。
二次創作だったら原作にもよるだろうけど……原作にある範囲でメイン軸を作ったり、またはパロディにしたりと、色々作りようはあると思うわ。

■面白い長編向けのテンショングラフ

「面白い」とは、ここでは「ハリウッドのように大衆ウケするもの」と定義するわ。つまりは目が離せなくて、ハラハラドキドキして、最後はハッピーエンドっていう定型ね。

…………で、書きやすいようにだいぶ型を限定するわね。あと、長さは8~20万字程度が目安よ。たとえば「50万字かきてえ!」ならもっと横長のグラフが必要ね。

こちら、よくある構成に、わたくしの経験からくる区分けを追加したテンショングラフよ。以下の解説は、「★」ごとにまとまったエピソードを1つ書く想定ね。(連作短編をつなげて長編をつくるイメージ)

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★第一のイベント(事件/戦い)

苦戦することなくストレートに事件/戦いを解決/勝利/成功させつつ、世界観やキャラの紹介をするパート。

【目的】
・世界観・キャラの説明
・スタート地点の提示(ゴールと対比させるように)
・成功するおいしいところを最初に見せて、心証をよくする。
 よって、事件ものなら「逮捕直前」バトルものなら「勝利直前」など、おいしいところだけ見せればいい。

★第二~Nのイベント(事件/戦い)

苦戦/努力/成長して成功する。
適度なハードルを設けつつも、主人公たちが勝つ様子を見せる。
何かしら最後のイベントの布石を仕込んでおくと、終盤で盛り上がる。(実は黒幕による企てだった/個々の話で救った人が最後に助けにくる、など

【目的】
・キャラの成長や、サブプロットの進展
・終盤に向けての積み重ね(伏線を仕込む)
・このパートが多いと、海外のミステリードラマや名探偵コナンみたいな感じになる

10万字ぐらい書きたかったら、あくまで目安だけど、第二、第三のイベントと続けて、4番目のイベントを最後のイベントにするといいと思うわ。Nが多いほど長くなるわね。

★最後のイベント(事件/戦い)

いったん「ここからハッピーエンドにするのは無理でしょ」という程どん底に落とす。
クライマックスは、ボロボロになりながらも辛勝する。あるいは超すごい作戦などで勝つ。敵のスケールや難易度など、今まででいちばん大きくする。とにかく盛り上げる。

【目的】
・事態の集大成、伏線回収
・キャラの成長や結論を見せる
・ゴール地点の提示(スタートと対比させるように)

■サブプロットを作ろう

上記テンショングラフは、メインプロット用の山あり谷ありなヤツね。これはいわゆる「メインの縦軸」向け。
サブプロットとは、文字通りサブ軸の――多くの場合「人間関係」「内面の成長」の部分

今回は、書きやすいように「二次創作によくある恋愛もの」に限定して考えるわね。
書きやすいサブプロットとは、ずばり「好きじゃない二人が両思いになるまで」。

第一のイベントのときには「初対面」あるいは「犬猿の中」にしておいて、最後のイベントの後には「ラブラブ両思い」にさせる。これで「対比」「起伏」はばっちりですわね。

で、メイン軸のテンショングラフがどん底になったときは、サブプロットも「ここから両思いのハピエンは無理でしょ」って状態になってると盛り上がるわね。
例1:実はAがBの親の仇だったと判明する。
例2:AがBをかばって死ぬ。(実は生きてるけど)

■「読ませる」テクニック

特におカップリング二次創作の場合は、キャラAとキャラBの絡みが見たい人が9割以上です。という訳で、メイン軸だけでは訴求力が弱い場合がありますわ。

――なので、絡みを間に挟みましょう。

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メインのイベントの合間に、それぞれのステージ特有の絡み(イチャイチャ)をいれましょう。あからさまな言い方だけど、「エサで釣る」ようなテクニックね。

【恋愛サブプロットの段階】(関係性フルコース)
・まだお互い好きじゃない/犬猿の仲のとき特有の絡み
・意識し始めた/片思い期特有の甘酸っぱい会話、態度など
・すれ違い/喧嘩/死別したと勘違いするなど、どん底の感情
・最後、ハッピー両思いでご褒美のイチャイチャ(えちえち)

あ、上記の例はいちばん書きやすい「ゼロから恋愛関係になる」場合で、もちろん「セフレからスタートする」「途中で攻めが受けを手籠めにする」などいろいろなパターンがあると思うわ。

■ジャンル別の具体例

◇事件解決+恋愛の場合

★第一の事件
メイン軸
:刑事のAとBそれぞれの得意分野を活かした、犯人の逮捕劇
サブ恋愛:AとBは犬猿の仲である(スタート地点)

★第二~Nの事件
メイン軸
:AとBが協力しないと捕まえられない難事件が複数回起きる。また、犯人によって雪中の山小屋に閉じ込められるなど、危機的状況も一緒に乗り越える。
サブ恋愛:AとBは、徐々にお互いを認めてくる。相変わらず喧嘩しながら捜査するが、息はピッタリである。

★最後の事件
メイン軸
:今までの事件はすべて繋がっていた。同じ黒幕によるものだったのだ。苦戦しまくり、なんとか辛勝するも、BをかばったAが負傷し、治療虚しく死んだと報じられる。黒幕が「さて金を持って外国に高飛びするぞ」というところでAとBがかっこよく確保。Aが死んだというのは、油断させてあぶり出すための嘘だった。
サブ恋愛:AとBの間には絆ができていた。命の危機をきっかけに恋愛感情に気づき、公私ともにパートナーになる。(ゴール地点)
最後はイチャイチャイチャイチャイチャイチャする。

ちなみに、最後にイチャイチャして終わる場合、逆に物語開始時は犬猿の仲など、真逆の立ち位置から始めるとよい。初めから順風満帆な恋人関係だと、起伏をつけるのは大変難しい。

ちなみに、モンスター・妖怪退治ものも同じノリで作れる。

◇料理+成長の場合

★第一のイベント
メイン軸
:料理勝負で勝つ、あるいは依頼人を満足させるところで始める。
サブ成長:過去の追放により、腕はたつが人間不信のシェフが主人公(スタート地点)

★第二~Nのイベント
メイン軸
:黒幕からの嫌がらせや妨害もチクチク受けつつ、最初の依頼人が次の依頼人を呼び……という感じで、料理を提供する機会・規模が増える。おいしい料理によって、依頼人の問題が解決する。
サブ成長:仲間ができ、交流を深める。仲間がいなければ失敗していた案件もあり、段々と人間不信も改善してくる。

★最後の事件
メイン軸
:とうとう王家・貴族主催のパーティ料理を担当することになる。が、それは失敗させて恥をかかせようとする黒幕の罠だった。食材も手に入らない、人手も足りない……奮闘するが、やはり人間なんてクソだとあきらめかけたところで助けが来る。なんと、今まで関わってきた依頼人、農家、商人、店主たちが食材をもって駆けつけたのだった。パーティは成功し、名声を得る。
サブ成長:人間不信が解消した主人公は、信じられる仲間を手に入れる。みんなで和気あいあいと店を切り盛りしてハッピーエンド。(ゴール地点)

こちらも、サブのゴール地点の「人を信じる・絆を感じる」を盛り上げるため、逆算してスタート地点は「人間不信」にした。

料理でなくても、洋裁・創作活動など似たテーマに使える。


物語の骨であるプロットに著作権はありません。言わずともフリー(&クレジット不要)なので、お気に召したらどうぞ、使ってみてくださいね。そのまんまでもよくってよ。
もし役に立った場合、おシェアやお紅茶花伝1本分のおサポートいただけると嬉しいわ。

■さいごに

おマシュマロで長文の書き方について質問されたので、わたくしのやり方をフルオープンしたわ。

メイン軸がある書き方は、一次創作向けね。ハリウッド脚本術とかも参考にしているので、どんな作品づくりにも使える……といいわ(願望)。

このように、長編ならメイン軸があったほうが書きやすいのだけど、人間関係や恋愛模様メインでも十分楽しくかけると思うわ。

注意点だけど、二次創作の場合、人間関係恋模様は人とかぶりやすいわね。

巨大ジャンルとかならどんな恋模様も「100回見た」ってなるかもしれない……とはいえ完全一致でなければ大丈夫だし、無理せず書きたいもの・楽しいものを書くのがいちばんですわ。楽しいご趣味ですからね。
二次創作は祈りと欲望。存在だけで宝物だわ。

ちなみにメイン軸を設定するやり方は2次創作畑ではかなり少ないので、メチャメチャブルーオーシャン。興味があればぜひ試してみてくださいね♡


以下、おまけ

▽「後から面白くなる」でなく、最初から面白くしよう

ミステリー作家を養成する方が著書「ミステリー小説を書くコツと裏ワザ」で言ってらしたのですが、「まず新人は最初に死体を出せ」(≒すぐ本題に入れ)だそうです。
しかし大御所になるにつれ死体の登場が遅くなっていく……どういうこと?(Do you caught on ?)

新人の書く話は、面白いのかどうかわかりません。なので、つまらない助長なシーンが続けばもう見てもらえません。途中で本を閉じられます。
一方大御所は、「後から絶対面白くなるはずだから、という期待があるので読み進めてもらえる」そうです。

これはビギナー創作者にも同じことが言えますわね。「我慢して冒頭五万字読んで!」というのはよっぽど面白くなる場合でないと許されません。(「カメラを止めるな」みたいな)
それに、本当に面白い作品って、最初から最後まで面白いですわ。

よって、高みを目指す武士の一族であれば、最初から面白いシーンを入れて、説明は必要最小限で、必要なときにサラッと、がいいかもしれませんね。大衆向けに書くならば。

▽二次創作において「一次でやれ」が怖い場合

二次創作においてメイン軸を設定した○○パロなどで書く場合に考えられるアンチ意見、それは「一次でやれ」ですわね。※治安最悪な想定

要するに「こんなにオリジナル要素が多いなら、この原作のこのキャラでやる意味ないじゃん」ってことですが、シロートが好きなものを好きなように書いて発表するのがそんなに悪かしら? 嫌なら見るな、無視よろし(梅よろし)ですわね。

……ただ、甚だしい場合モヤっとする気持ちもわからないでもないので、駄目とされることが多い場合を考えてみましょう。

・キャラの一人称や性格など、アイデンティティが違う場合
「もう別人じゃん!」という場合ですわね。ただこれについては他の○○パロ、○○化と扱いは同じですわね。

「たとえば性別が逆で生まれてきてこの年齢までこの環境で生きてきたら、普通こういう一人称や性格になるでしょ」というシミュレート派の意見もあれば、「せめて一人称は変えないでほしい、不自然でも原作のままがいい」という原作原理主義的な意見もあり、これはもう相容れません。

なので、どちらの立場でも注意書きだけして、あとは相互不干渉がいいと思いますわ。何が違和感かは人それぞれだものね。

・オリキャラモブが多すぎる
たとえばおカップリングだったら、AB以外のよく喋る登場人物がみなオリキャラのモブな場合、ちょっと人を選ぶわね……。(見たことないけど)

これは……難しいわね。多数派の意見をなんとなく眺める限り、たくさん喋る脇役は、できるだけ原作登場キャラを起用したいわ。
ただ、「一人でもオリキャラモブがいたらNG」というわけではありません。(過激すぎる)

オリキャラモブは、物語の展開上必要な分だけ出して、注意書きをすれば大丈夫だと思うわ。あとはお界隈の多数派がどうしているかも考慮したいわね。

ないと思うけど、まずいパターンは、おそらく「オリキャラモブの出番の方が原作キャラより多い、目立つ、作者から可愛がられる」場合ね。
モブはあくまでもモブ。ABの話なら、スポットライトはABに当て続けましょう。

もちろん「モブ視点のAB」や「ちゃんねる系」など、モブ視点を楽しむ話もあります。これはまた別カテゴリね。

・つまらない
作者にとって面白いものを書けば大丈夫
ですわ。
何が面白いかつまらないかは人によります。この世に「売れてる作品1位から10位まで全部好き」「好きな作品が全部トップテン入りする」という人がいないように。

・愛がない
愛って何?具体的に定義しなサイクロン!(大激怒)
もしこういうアンチコメが来たら無視一択ね。「愛がある」証明は難しいので、この言葉は相手が誰であっても手軽に不快な気分を与えられる、便利な武器でしかないわ。あと「痛い」も同じカテゴリね。

たとえば作品外の振る舞いで「愛がある・ない」のジャッジをするなら……多くの場合は「原作の継続に支援/貢献しているかどうか」あとは「マナーやコミュ力、セルフプロデューススキル」の問題になるので、割愛するわね。

一方、作品内から「愛がある・ない」を読み取るのはたいへん難しいわ。
最低限キャラの名前やアイデンティティを間違えてなければOKで、それ以上のジャッジは他人からはできません
強いて言うならば、原作の再解釈と取り入れ方がうまいと「愛がある」ように見えやすいです。
たとえば世界観のまるきり違うパロ作品でも、うまく原作のエピソードを過去話としてさらっと登場させたり、原作キャラがそれぞれ「ありそう・納得する」ポジションについているとか。


……という訳で、「メイン軸のある二次創作」への恐怖は薄れたかしらん。要は原作をしっかり読み込んで、書きたいものを楽しくかけばいいと思うわ。

あくまで上記の書き方は、「書きやすさ」を意識して一通りに絞った一例にすぎません。長編を何作か書く中で作り上げた、わたくし向けのメソッドね。

物語の型も作り方も山ほどあるので、自分なりに書きやすいものを追求してくださいね。楽しい創作活動を!

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