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【安い早い】製本直送完全攻略ガイド!1冊刷りに最適【同人印刷所テンプレ比較】

※2024年9月時点での情報です


■試し刷り、やってみたいな~

俺は1冊だけの試し刷り印刷にあこがれている。
印刷して初めてわかる誤字も多いので、本番の入稿前にまず、1冊試し刷りして、そこで校正チェックをしてみたい!物理的な本に赤入れするのって背徳的でカッコイイ!

………………実際の原稿は締め切りカツカツで間に合いませんでした。
が、やってみたかったので普通に過去の本でやってみました!

嵩高紙のモンテシオン使ってみたさに印刷。はあはあ……興奮してきた……(サネアツ・ショッピングに理性はない)

ちなみに、1冊から刷れる印刷所は以下。今回はお値段の比較をしていちばん安かった製本直送さんを使ってみました。

【350ページ/カバーなし/表紙PP/文庫1冊】
製本直送.com……2019円
ちょ古っ都製本工房……2160円
ワンブックス……3,302円
シメケンプリント…… 3440円
さくら製本……3690円

だいたい送料込み。2024年9月ざっくり調べ

1部のときはこの結果だけど、部数ごとに最安がどこかは変わってきます。面白いね!

では会員登録して、さっそく過去の印刷データを流用して入稿。

データ形式を確認して、………………え!?
要注意な点がいくつかありました!

■注意点

◎表紙・本文用紙の選択肢

これ入稿データアップロード後じゃないと分からない情報なんだけど、表紙は「硬め」OR「柔らかめ」の二択です!特殊紙とかないです!

読みやすいなら「柔らかめ」が気になるんだけど、反りが怖かったので硬めにした。(カバーなし表紙PP)

本文用紙の選択肢はこんな感じだった。

…………紙の詳細知りたいよね!FAQにあります。
小説向きならクリーム色かな。

「書籍用紙66.5kg」がどんな紙なのかわかんないんだよね!
……と思ったら、取り寄せた用紙見本に答えがあった。

ラフクリーム琥珀だそうです!(多分。用紙見本と同じ紙だよねきっと)
説明は、別の印刷所さんのブログが分かりやすかった。

製本直送さんで選べる二種の紙は、どちらも比較的厚めかな。軽さは申し分ない。

10万字/250ページで本文背幅の厚さ比較。※ざっくり
・プリンセスノベル 32.5kg……9mm
・淡クリームキンマリ62kg……10mm
・淡クリームキンマリ72.5kg……11.3mm
・書籍用紙【クリーム色】……15.5mm(製本直送)
・モンテシオン……16.8mm
(製本直送)

キンマリ72.5kgより厚くなるぞ

文庫で13万字くらいまでなら、この中の何を選んでもOK!

で、自分はハイパー長文になりがちなので、「いかにして厚さを抑えるか」は読みやすさのために死活問題だ。
文庫の場合、14万字超えたら背幅が2センチ超えそうなので、薄々の紙がある他の印刷所にするのが個人的にはオススメ。
(頒布しない、自分用の読めりゃいい試し刷りなら気にしなくてOK)

参考 他のサイズなら制限は緩い

◎ブックカバーは300ページまで

FAQより

ブックカバー対応は300Pまで。
さらに表紙用紙は硬い紙に限られるので、そこが気になりますね……。カバーありなら、柔らかい紙の方がいいんじゃないかな~と思うので。
(追記:ジャンプコミックスと似てる紙なので、カバー下「硬め」でも大丈夫だと思う!市販の文庫みたいにうすうすにしたい場合は他の印刷所でやろう)

まあ、仕様が限られてるからこそお安く提供してくれてるので、文句は言えませぬ。

ちなみに、姉妹サイトのほんの少しだけ割高な「ブックパレットさん」だと、A6文庫の場合、300P超えのブックカバーつけは問い合わせ次第と書いてありました。ちょっと違うんや。

違いはよく分からないんだけど、自費出版向けに偏ってる感じがする。

◎表紙はPNGかJPEGのみ!?

これ一番びっくりした!!

オフ本印刷の基本カラー形式はCMYK。
WEB用の鮮やかな発色ではなく、印刷インクの仕組みに合わせた色の混ぜ方やね。

で、CMYKを扱うなら必ず表紙ファイルはPSD…………過去5、6個の印刷所を利用した経験から、そう、思い込んでいました。

でも違った!!製本直送さんの表紙データは、PNG・JPEG限定だった!
常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクションでしかない。なるほどね!未知との遭遇である。

JPEGは劣化しやすいので、普段使っているのはPNGだった。
しか~し!PNGのカラー形式はRGB。逆にJPEGはCMYKに対応している。これも知らなかった!

よって、既存の本ならCMYKのPSD表紙を、JPEGに変換する必要があるドン!

■サイトの操作・入稿手順

「注文」するまではお金が発生しないので、表紙や原稿のアップロードは気軽に行えます。(といってもいらないデータはこまめに削除しましょう)

◎まず表紙から作る

マイページ→表紙作成

表紙を新規作成するボタン→①「作成する表紙サイズはこちら」でサイズを把握→その後②表紙ジェネレーターを押す

①「作成する表紙サイズはこちら」
表紙サイズのガイドが分かりやすい!!!!
広くいろいろな人に門戸を開いている印刷所という感じだ!

これ、いつでも見れるけどスクショとかで保存しておきましょう。

◎表紙の使いまわしには要注意

製本直送さんで要注意なのは、他社の表紙テンプレートが基本使いまわしできないこと!なぜなら、トンボとかの概念がないからです。
余白なしの表紙画像をアップロードしなくてはいけない。(追記・おたクラブさんのテンプレがよく似ています)

↓比較用 スターブックスさんのテンプレート トンボあり

製本直送さんの場合、トンボ付きは不可能ではないけれど、個別対応のお問い合わせになる。お値段は不明。

今回は想定されているメインストリームに乗って「早い安い」を享受したかったので、使いまわしせずに画像で入稿します!

②「表紙ジェネレーターを起動」
これすごい!!!!実際の入稿時はスルーしてたけど、記事を書くにあたって押してみたらメチャクチャすごかった!!!!

上にサイズや紙、ページ数などを入力すると、①で見たサイズの台紙を作ってくれるの!!!!え!?技術力すご!!!!

画像編集ができる方は、真っ白画像を300dpiのテンプレートとしてDLする手もあります。※ガイド線は出力されません

「プレビュー」→「ダウンロード」で、実寸で真っ白な画像をDL。サイズ間違いがいちばん怖いからな……。

背幅が変わらなければ、他社テンプレで作ったデータを300dpiにしてコレの真ん中に載せるだけ。余白がなくなってたぶんそのまま使えます!
(イチから作る場合も、他社の分かりやすいテンプレを元に作るのがおすすめ)

画像形式は、CMYKならJPEGで保存すること。(RGB入稿も可能ですが、CMYKが推奨されています)
クリスタはCMYKに完全には対応していないので、CMYKの取り扱いは要注意です。CMYKを扱えるソフトであるフォトショ、Kritaを使うのがオススメです!

自分は無料のKrita派。よくわからないのでCMYK画像を右から左に受け流すことにしか使っていませんが。

※ちなみに入稿dpiは300推奨ですが、他社テンプレを元にした350dpiでも問題なく入稿できました!

表紙ジェネレーターでも直感的に作れます!小粋なスタンプもあるゾ。

できたああああああああ

◎本文のアップロード

表紙管理画面から、「入稿する」ボタンを押す。

本文のアップロードは、必ず「連結済みの1つのPDFファイル」で!

他の印刷所はPSDとの混合・複数PDFも全然OKなのですが、ここもちょっとクセあるんですよね。
PSDを含む場合は、変換と結合をなんとか頑張ってください!ファイルが多いようなら別の印刷所にするのもアリです。

ちなみにPDFの分割と結合は、 CubePDF Utilityがいちばん簡単!

執筆時に弊社の小説同人誌ワードテンプレを使ってくれたら、Wordからささっと1つのPDFで出力できます!

入稿後は、「原稿をダウンロードして確認」ができます。
トンボ付きのPDFがダウンロードされるので、ここで最終確認をしましょう!!

お安い理由のひとつとして、「印刷所による原稿チェックなし」があります。確認するのは自分!完成後、泣くのも笑うのも自分!

露骨にサイズミスなどをおかしていたら、このタイミングで分かります。

自分のサンプル入稿データはこんな感じ。

入稿後は「原稿管理」から「カートに入れる」→通販サイトみたいに注文するだけ!アマゾンペイが使えるのもうれしいね。
同じタイミングで複数種類の本を注文すると、送料の節約が可能です。

メールの往復のやりとりなどが全く発生しない、オートメーションされているような形式。普通の通販サイトに似た使用感。
……これ簡単だ!ちょっとクセあるけど、一般の人も使いやすい・分かりやすいに特化している!

表紙データさえ作れたら、「思い立って即注文」もできそう。

■実際の刷り上がり

インプレッション
軽い!!!!!すごいモンテシオン軽い!!!!!持った瞬間軽い!!!!!!!!!!!!!!!!

いつもカバー付き文庫だったのを、今回は初めてカバーなし文庫に。
おお~……ペーパーバックみたい。モンテシオンはペーパーバックだこれ!!紙がタブロだったらさらにペーパーバック感出るかも。かわいいね。

製本の感じ・厚さ
かっちり四角い!
ノドのノリの感じは、何冊に一つかは少しだけちっちゃい気泡が入ってるぽいのもあるけど、でも一般的な同人印刷所とそんな変わんない感じですね!

表紙の発色
他の印刷所との違いはほとんどなし!CMYKできれいに刷れていました。

表紙の硬さ[表紙用紙 硬めPP]
ド硬くならないか心配だったけど、うん、めくれる。
本文用紙がとっても柔らかいので、手が疲れるとかない。

素人の手触り判断だけど、ジャンプコミックスのカバー下表紙に片面PPかけたらこんな感じだろうな~っていう手触りです!自分の中では全然おっけーな感じ。

マットPPもグロスPPもやった。
マットがさらさらで、グロスがツルツル。…………普通です!

「柔らかめ」の紙だとペラッペラになるんじゃないかと危惧してたけど、買った用紙見本で確認できた!たしかに「柔らかめ」だけど、ほんのり厚さもあるし表紙に使って問題なさそうな感じでした!

用紙見本には、PPあり・なしの硬め表紙用紙も含まれているので、気になったら買いましょう。ジュースより安い。

紙と厚さと重さ

一番厚い、左下ので背幅2.2mm。

左が製本直送さんのカバーなし再版、右がスターブックスさんのカバー付き初版。お値段かなり違うんで、比べるのもアレなんですが……!

いや~~!モンテシオンがホンマに軽い!!びっくりしちゃった。
キンマリ62kg以下に慣れてしまうと、キンマリ70kgは硬く感じられる。それでも書籍用紙だから全然いいけどね。

ラフクリーム琥珀と淡クリームキンマリ62kgの違いは、結構誤差だ。
しいていうならここらへん。
・琥珀の方が少し厚くなる(キンマリ90kgと同じ厚さ)
・琥珀はざらざら系、キンマリはツルツル系
・キンマリの方がわずかに黄色みが強い

印刷所気にせず本文用紙を自由に選べるなら、こんな感じで選ぼうかな!
・漫画・小説アンソロ……モンテシオンやオペラホワイト、コミック系の紙
・10万字以下の小説……ラフクリーム琥珀
・ページ数がすごく多い小説……淡クリームキンマリ57kg
・ページ数がものすごく多い小説……プリンセスノベル32.5kg

お前は トリコ?

※波うちについて……湿度によって若干の波うちあり。湿気の少ない場所できつめの本棚にギューっといれてれば、時間経過でまっすぐになるそうです。

本文印刷
モンテシオン  製本直送.com

実際はもっとグレーに見えます

ラフクリーム琥珀 製本直送.com

淡クリームキンマリ70kg STARBOOKS

いい感じに読めます!
製本直送.comさんの方が若干文字が細い気がする。誤差。

■総評

いい!!!!!!

ごめんなさい、使う前は「お得な分、品質は……?」と思ってたけど、全然そんなことなかった!!普通にいい!!

低~中価格帯の印刷所と、品質はそう変わらない気がする。

・紙や装丁の選択肢が少ない
・人とやり取りナシ
なので、その分お安いんだと思う。

お得で早くて1冊刷れるので、試し刷りも全然アリです!刷り終わった後に誤字がたくさん出てくるタイプは、お世話になるのアリアリ。

ただ「赤ペンで書きこんで校正」はもったいなくて俺はできん……!普通にいい本なので……!
書きこまないで、自分用にとっておこう♪

いや~~……極少部数にいいねえ……。
送料込み1冊で、ページ数多くても2000円だし、自分用の再録本とか、めちゃくちゃ気軽に作れるよ!!!!300P超えないようにしてブックカバーもつけてみたい!

製本直送さんおすすめです!!!!!!
よかった~~~~!!!!!!!!

以下、おまけ。

■グレー文字比較

初カキコ…ども…
俺みたいな本でグレー文字演出好きな野郎、他に、いますかっていねーか、はは

グレー文字の比較と、後は紙の透け方も見える画像です。

どれも2面分透けて見えるけど、読んでるときは気になりません
STARBOOKSさんとちょいのまさんが、けっこう網点強く見えます

薄いグレー文字は、グレーがかった紙のモンテシオンが、いちばん見えづらいです!そりゃそうじゃ。

ちょいのまさんのときは、CubePDFの謎のグレー文字バグ回避のために左下の明るい赤を設定→グレスケ化してた。他のグレーよりもっと薄いグレーに設定した感じになったので、結構スレスレの、かすれた感じの薄さになりました。次回があるならもっと濃くする。

ほか、設定したグレーは基本この色でした。もう少し濃くてもいいと思います!

グレー文字演出は他で見たことがなくて、一応自分で思いついたアイディア……だと思っている。起源を主張するわけではないが。
やりすぎるとタイポグラフィだったり虎よ虎よになっちゃうんだけど、本の中で一か所くらい使うのが好き。大事なサブタイトルだったり、隠された本音だったり。

ふつうのウェブ再録では再現が難しい、オフ本にはオフ本ならではの工夫入れるのがだ~い好き!見開き芸とかページめくり芸とか画像挿入とかね。
あくまで主役は本文だけど、150ページにつき1個くらいはなんか入れてびっくりさせたい。

■メジャー印刷会社の表紙テンプレ比較

普通は使う予定の印刷所のテンプレを使いましょう。
ただテンプレがない印刷所もあるので、そういう場合に借用するならオススメはどこ!?初心者にとって分かりやすいのはどこ!?
自分も知りたかったので、比較してみました!

他もいろいろみたけど、特徴なかったり、その印刷会社の仕様に準拠しすぎてたり、A6がなかったりしたので割愛。

製本直送さん以外は、全部350dpiでした。

プリントオンさん

・印刷セットが多すぎて、Webページにてねらったテンプレート配布画面にたどり着くのが少し難しい。
・背幅ごとにファイルが別になってるのは初心者にいいね!ただし、背幅変更の際にはDLし直す必要あり。

おたクラブさん

・背幅ごとにファイルが別になってるのは初心者にいいね!ただし、背幅変更の際にはDLし直す必要あり。
・外のトンボがない!?製本直送さんと同じ形式だ!dpiをそろえて比較したらほぼ同じ大きさになりました。
・説明多め。箔押し用のサイズ見本(黒い四角)がついてる

スターブックスさん

・背幅ごとにファイルがざっくりまとまっているのがメリットでもありデメリットでもある。初心者にとっては「左右どこまで」が分かりづらいが、玄人にとっては「背幅が変更になってもテンプレを差し替えずに対応できる」のでいちいちDLし直さずに済むのは楽。
・説明多め。ミリでの大きさに加えてDPIまで書いてくれてる

しまやさん

・背幅数ミリごとにファイルがざっくりまとまっているのがメリットでもありデメリットでもある。(略)
・説明多め。ミリでの仕上がりサイズあり
※他の印刷所は中央に画像を配置する形式だが、これは左寄せになっている。サポート・チェックのない印刷所にそのまま流用入稿すると、中心位置がズレるおそれがあるので注意

それぞれ個性があるね!

ガチ初心者なら、背幅確定後にプリントオンさんで間違えようのないテンプレをDLするのがオススメ!トンボありの方が汎用的です。

複数の本で同じテンプレを使いまわすなら、中央配置で背幅の選択肢が多いスターブックスさんがオススメかな。

たいていの(人間が編集してくれる)印刷所は他社さんのテンプレでもOK!
あるいは表紙デザイナーさんに頼む場合、その方がトンボ込みで作成してくれた、いわば独自テンプレみたいな形式でも入稿できます。
要はサイズが正しくて、どこで断ち切るかわかればOKなんで。
(※迷惑にならないように、一応FAQなどで確認しましょう)

よって、初版と再版で印刷所を変える場合、背幅さえ変わらなければそのまま入稿できることが多いです。

上記でも書いたけど、製本直送さんは形式が特殊(トンボなしの画像形式)なので、入稿時は気を付けましょう。


※余談なんだけど、低価格帯の印刷所を調べた結果、コスト削減のためか「表紙含めて入稿はPDFのみ」なところもいくつかありました。
るるるさんとちょいのまさんは、PSDとPDF混合で大丈夫そうでした。やったね

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