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【相談】感情は直接書いちゃダメ?~OKだけど具体的に書くといい感じ牧場~【続・地の文講座】

こちらのお記事の、例文ありの詳しい続き&補足です。

※頒布から時間がたっていることもあり、有料部分のごく一部をチラ見せしますネ。

■相談「感情表現は直接書いたらダメですか?」

※自分からは時事ネタはあまり書かないようにしているのですが、数年に一度盛り上がる話題、かつご質問をいただいたので、わたくしなりの考察を書いておきますネ。

おたより(要約)

・キャラクターが悲しい/怒ったときは、「悲しい」「怒った」とストレートに書いてはいけない
・「涙が流れた」「壁を殴る」など行動であらわさなくてはいけない
・セリフやモノローグでも直接は書かない。「ごはんの味がしない」「来るなバカ」など。

Xや書籍でこのような教えを見て、自分の今までの書き方は端的・直接的すぎたと反省しています。(略)
お嬢様としては、どのような書き方や練習法がいいと思われるでしょうか?自分なりに咀嚼し次の作品を向上させたいです。

◎どんな表現も、伝わればOK牧場

過去のお記事について、嬉しいメッセジまでありがとうございますワ!

小説本文を読んだわけではないので、わたくしからは何とも言えないけど……でも、へこんだままにしない前向きな姿勢、エクセレントですワ!!

素直で勤勉なのはアメイジング美徳だけど、でも別に変えなくていい場合もあるので、検討なしに過去作を否定したりはしないようにだけ、老婆心で言わせてくださいネ。きっと今も十分、メッセジお嬢様にしかない魅力があると思うので……!

本題に入って、この教えは、う~ん、確かに……。
確かに、「なんかいい感じだろうな」とは納得できます。
いくつかの技法書でも、見覚えがあるやり方です。

でも、感情は、直接書いては「いけない」のかしらん?
すみません、わたくし別に映画化とかもしてない、何の権威もない立場なので恐縮ですが…………主観で断言します。

結論から言うと、OKOKOKOK牧場です!!!!
極論面白ければOK、伝わればOKなので、臆せず書きましょう!!

OKOKOKOK牧場!
(VRoidのわたくし)

芸術分野の小説において、「やってはいけない」「こうすべき」ことなんか、基本ありません!!読者が満足すれば、それでヨシです!
趣味ならば、書いた人がニコニコで終われたらOK!!

大丈夫!伝わりますヨ!
読者の大勢はそこまで詳しくなくて、「評価する目」ではなく「楽しむ目」で読んでるので、表現の方法一つに引っかかることは稀です。

たとえばなんらかの結果が出せなくとも、それは「怒った」「悲しい」などの形容の仕方だけが問題ではないと思います。だって小説って、「面白い」「先を読みたくなる」が正義だから!

技法書や講師の先生は、ある程度前提を省略して、断言して語らなければいけないこともあるでしょう。
Aの場合もあってBの場合もあって、一概にはいえないが、おおよそこれをやると成功確率があるので、ある程度は断言しますが、しかし必ずしもそうとは限らず、その都度高度な個別判断が必要になります」と、全Tipsについて注釈をつけていたら、授業が進みませんからネ!

あとは、プロを目指す場合と楽しい趣味の場合でも、やることは全然違いますネ。
プロ野球選手を目指す人と月2で楽しく草野球をする人では、トレーニング量の差は歴然。後者に前者の練習が必要かというと、不要でしょう。
スポーツ分野だと分かりやすいけれど、芸術・創作分野では、不思議とその区別がつきにくいです。「そのおTipsのおゴールはどこか?」は都度確認しましょう。

そんなこんなで、先生の教えが一部切り取られて拡散され、伝言ゲームで「プロを目指すならこの方法がいいらしい」→「小説を書く人はみんなこうしなきゃいけないらしい」→「Oh!MeはShock!」と過激なかたちで伝わってしまうんだろうナ……と思いました。

というワケで、又聞きの切り抜き、それまでの文脈、おゴールが分からないおTipsは、話半分で聞くのがおすすめですネ。もちろんわたくしのお記事も、絶対じゃないから場合によっちゃ適宜無視してくれぃ~と思いながら、あまり断言しすぎないように書いています。

さて、とはいえこれだけだと抽象的なので、「どうすればもっとよくなるカナ」を一緒に考えていきましょう。

※小説が好きなだけのオタク・ウーマンの主観です。芸術分野に正解はなく、「好みの違い」しかありません。肌に合わんな~と思ったら、適宜自分に合った講座を見つけてくださいネ!

◎シンプル描写を具体的にしてみる練習

感情ストレート表現が、なんとな~く「表現が豊かではない」側にジャッジされることがあるカモなのは、描写が「それだけ」のときだと思うんです。

例文を書いてみますね。

【シンプルバージョン】

 推しが死んだ。
 好きで好きで仕方なかった推しだった。
 最終回手前で、ただの無駄死にだった。
 私は、すごく悲しかった。

 十日ほど無気力に過ごしていると、ドアを叩く音で目が覚めた。
 耳を塞いでいると、バキャッという音がした。
「……え?」 
 急に怖くなる。訪問者が押し入り強盗に変わり、私は慌てふためいた。

「好き」「悲しい」「怖い」「慌てる」の説明・文脈が、「好き」「悲しい」「怖い」「慌てる」だけの場合。
多分、書籍の教えが想定している改善例は、こういう解像度かな~と思うんです。

もちろん!書いて満足のご趣味ならばこれでOKヨ!
とりあえず伝えるべきことは伝えられているので、「キャラの行動や心情を伝える」という第一ゴールは達成です!

エンタメ小説で一番大事なのはプロットやセリフから成る大筋なので、「個々の文章表現をどうするか」の練習は後回しでOKヨ!(主観)「してはいけない」表現なんてありません!

とりあえず、ビギナーお嬢様はまず「最低限の表現・情報量で、一作完結させてみる」を目標にしましょう。細部のこだわりより、最初はそれが一番ダイジ!

……さて、「プロットを最後まで作る」「一作完結させる」はできたでしょうか?ここからは、文章表現にまで踏み込んだ、地の文講座のターゲットである、中級お嬢様向けのコースです。

以下、地の文の描写を豊かにすることを目標に作った、【描写詳細化&ストレート感情表現バージョン】と【もっと具体化バージョン】の例文です。

三人称・客観的な描写ではなく、読者に感情移入させることが目的の、一人称・主観的なシーンです。(太字周辺だけ読んでもOK)

【描写詳細化&ストレート感情表現バージョン】

 推しが死んだ。
 初登場時はそれほど気にならなかったのに、アニメ四話の海戦で子供を庇い怪我をして、死の覚悟をしてもなお、気丈にふるまう姿に惚れこんだ。
 それからずっと、好きで好きで仕方なかった推しだった。
 死んだ。
 最終回手前で、ただの無駄死にだった。

 私は、すごく悲しかった。

 三日後、何かを叩く音で目が覚めた。
 推しのグッズで埋め尽くされた部屋に、ノックというには乱暴すぎる音が響く。私はぎりぎりなんとかクリーンな身の上だが、まるで借金取りでも来たようだ。きっと、ギャンブル狂いの隣人の部屋と間違えているのだろう。
 うるさいな、お隣ですよ。そう怒鳴ってやりたかったけど、声が出ない。
 立ち上がるのも億劫で、ベッドに横たわったまま耳を塞いでいると、バキャッという音がした。
「……え?」
 ――何か、壊された?
 急に怖くなる。
 訪問者が押し入り強盗に変わり、私は慌てふためいた。
 廊下の向こうから近寄る足音に息を呑み、咄嗟にデラックス青龍刀(お値段六千三百八十円)を手に取ったときだった。
「おい! 誰かいねえのか!」
 驚いた。
 目の前に現れたのは、光線銃で塵になったはずの、トワ・キラトだった。

どういうことがあったかを、詳細化してみました。
感情表現は基本的にストレートです。が、周辺や前後が詳しくなりました。文脈が充実すると、感情がより伝わりやすくなります。

…………伝わる!十分伝わる!
「好きで好きで仕方なかった」「悲しかった」「怖くなる」「慌てふためいた」「驚いた」と、端的な表現を多用していますが、小説になっていますよネ。

わたくし……全然いいと思うのだけれど。
これを読んで「悲しい」があるから駄作!なんて意地悪なことを言う方、いないと思います。

このままでもOKだと思うけど、しいて言えば、感情については読者に委ねた想像の余地が大きいですネ。(それも文の個性なのだけど!)

たとえば、「悲しかった」「慌てふためいた」とだけ言われて、頭の中でどんな映像を作ったかしらん?
想像力が豊かだったり、似た経験をしたことがあったりするなら、色々な情景が出てきたでしょう。逆にあっさり読む方は、特段何も映像は浮かばなかったと思います。

読者に委ねるところが大きいと、印象や評価は読む人依存になります。
自分が書いた以上に、過大評価というわけじゃないけれど、とっても豊かに受け取ってくれるうれしい読者さんがいます。その逆で、自分が思っているほどよくは受け取ってくれない場合もあります。

プラスにもマイナスにも働きうることですが、自己満足のご趣味でなく、「大衆向けにウケたい」「売れたい」という売れっ子作家がゴールであれば、「だいたい誰が見ても伝わる」「高評価を狙える」表現をするのが、まあ無難に勝率を上げることにもなるでしょう。

そのためにできることが、「具体的に細かく書く」あるいは、「レトリックを駆使して、想像を広げる書き方にする」方法。
レトリックについては、(有料部分だけど)地の文講座で詳しく語ったので、そちら参照にさせてくださいネ。

さて、動詞や形容詞には、意味の幅が大きいもの・小さいものがあります。(※わたくしの考えです。学術的な裏付けはありません)

たとえば「本を読む」「ねじを締める」「赤い」からの想像は、だいたいみんな似通います。(→意味の幅が小さい)
ところが「慌てる」「育てる」「悲しい」などは、その一語から想像する脳内映像は、人によって異なると思います。(→意味の幅が大きい)

意味の幅が大きい言葉は、とりあえずざっくり印象を伝えるのに向いています。ダイジダイジ。絶対必要。

ただ、全部の描写をSUPER BIG WORD だけでやると、ピントがぼやけた文になってしまう恐れがあります。あまりにも想像の余地が大きくて、特別相性のいい「適合者」しか楽しめない感じ。ライトにさっくり食べる、スナックのような娯楽ならそれもアリですけどネ。
ジャンルが違うけど、たとえばセリフと擬音だけの小説作品も、読者に好きな絵を想像させるという、十分な需要と魅力をもって存在しています。何事も適したフィールドがあるので!

今回のお記事は、「市販のエンタメ小説のように、地の文の描写を豊かにしよう」を目標としています。

この場合、「悲しかった」「慌てふためいた」などの、意味の幅が大きな言葉を封印すると、「鼻の奥がつんとする」「眼球を右に左に動かす」など、意味の幅が小さくて、より具体的な、個々の動作指定をする練習ができます。

「具体的に書く訓練」として、意味の幅が大きい「悲しい」「怒った」を封印するのは……練習法としてはアリ!

また、より主観度を上げて感情移入させたかったら、視点人物が感じていること・動作を超具体的に書くのがおすすめです。

地の文講座 関連個所① 心理描写の書き方例
※臨場感・主観度を上げたいシーンの場合

本番では、意味の幅の大きい言葉は、もちろんあっていいです。細かい・具体的な言葉と両立もできますヨ。

以下、両立させたりさせなかったりして、できるだけ感情を細かく具体的に描写してみました。

【こってり具体化バージョン】

 推しが死んだ。
 初登場時はそれほど気にならなかったのに、アニメ四話の海戦で子供を庇い怪我をして、死の覚悟をしても気丈にふるまう姿に惚れこんだ。
 それからすぐに本誌も買って、グッズも買って、アニメは五回ずつ見て、自分用に登場シーンだけ集めた動画も作って、初めて同人イベントにも参加して、毎日が楽しくて、好きで好きで仕方なかった推しだった。
 死んだ。
 最終回手前で、ただの無駄死にだった。

 たかが漫画のキャラだ。頭ではそう理解していても、物わかりのいい感情など存在しない。涙すら出ずに、最新話を読んだ後はただ茫然と、何時間も冷たい1Kの部屋に座り込んでいた。
 何を食べても味がしなくて、推しの死亡シーンだけがぐるぐると頭を回り続ける。何が駄目だったんだろう――あの子をどうして殺す必要があったんだろうとそればかり、睡眠不足の頭でずっと考えていた。
 感動的な演出だったら、まだ一応の納得はできた。誰かを庇うでもなく、刺し違えるでもなく、ただただ強大な敵に、虫を払うように殺された。
 少年漫画の文法ではありえないその出来事は理解するのが難しくて、きっと来週、せめて彼の死に意味をもらえるはず。それだけを求めて一週間を過ごした。
 ――縋りつくような想いで待ち望んだ翌週は、推しの死への言及すらなかった。


 三日後、何かを叩く音で目が覚めた。
 推しのグッズで埋め尽くされた部屋に、ノックというには乱暴すぎる音が響く。私はぎりぎりなんとかクリーンな身の上だが、まるで借金取りでも来たようだ。きっと、ギャンブル狂いの隣人の部屋と間違えているのだろう。
 うるさいな、お隣ですよ。そう怒鳴ってやりたかったけど、声が出ない。
 立ち上がるのも億劫で、ベッドに横たわったまま耳を塞いでいると、バキャッという音がした。
「……え?」
 ――何か、壊された?
 急に怖くなる。
 心臓がばっくんと収縮して、体表が一気に冷たくなった。
 訪問者が押し入り強盗に変わり、慌てて四つん這いになって身を起こした。言葉にならない声を垂れ流しながら、虫のように眼球をきょろきょろさせる。
 廊下の向こうから近寄る足音に息を呑み、咄嗟にデラックス青龍刀(お値段六千三百八十円)を手に取ったときだった。
「おい! 誰かいねえのか!」
 息が止まる。
 極限まで目を見開き、震える体でひっひっと短い呼吸を繰り返す。

 目の前に現れたのは、光線銃で塵になったはずの、トワ・キラトだった。
『黙って慄け! いくぜ天空のブルードラゴン! はあああっ!』
 握りしめたデラックス青龍刀からは、推しの必殺技ボイス(CV:小東克辛)が鳴り響く。同じ声帯を持つ、どう見てもキラトくんにそっくりな青年は、天井までグッズまみれの部屋を見て「きあああ」と女子のような悲鳴をあげた。

…………ちょっとくどいカナ!
これでもかと、主観度を増して具体化してみましたが、いかがだったでしょうか。

特に変わったのは、「すごく悲しかった」の内訳ですね。
「シナリオ上の必然性が分からないまま推しが殺されて、せめてその意味を求めて一週間過ごしたのに、翌週何も得られなかった」「その間はショックで茫然として、食欲がなく、よく眠れなかった」という詳細情報です。

加筆前は読者の想像に委ねていた、「なんで悲しいか」「どれだけ悲しくて、どう過ごしていたか」を、具体的に指定できました。他の箇所もしかり。

また、「好きで好きで仕方なかった」「急に怖くなる」は、ほかの描写と両立可能なので残しました。同種の情報があるので、この文の場合はあってもなくてもOKです。

詳細化・具体化とはつまり、その感情が原因でおこった結果を書く!ことですネ。

ざっくり分けて2パターン。
①外から見える行動……「顔を洗う」「目を見開く」など
②身体感覚や心の声・思考……「動悸が止まらない」「内心で嘘だろと繰り返す」など

※一人称で①の場合は、外からしか見えないことは書かない方が無難。無難でない例「俺は頬を赤らめた」
※客観的な三人称や、視点人物でないキャラの場合は、②は書かない方が無難。無難でない例「魚屋の店主は生まれて初めての腰痛に襲われ、野良猫のミーコも陣痛を感じた」
(地の文講座で詳しく解説してます)


Q、さて、描写詳細化&ストレート感情表現のBEFOREと、こってり具体化のAFTER、どっちがいいでしょう?

A、実は、場合によります。

基本的に、豊かな文章表現を読ませたい見せ場ならAFTERの具体化バージョンがおすすめだけど、でも、全文コレだとくどいです!ねっとりしすぎて糸引いてます!

これは物語のツカミを想定していて、「どれだけ推しに狂っているか」がダイジな作品だと仮定しているので、詳細に具体化してみました。

主題からそれる場合、脇役の場合、力を入れて書きたいものが別の箇所な場合は、この細かさは一気にノイズになります。
たとえば、ウェブサイトにちょろっと表示するだけなのに、解像度が3840pxの4K画像を持ってこられても……そんなにいらないよ!表示が重くなるだけですよ!みたいな。(伝わるカナ!?)

基本的には、大事なものほど描写にリキが入るはずので、どうでもいいことに尺をさくと、メインを魅せる前に読者が脱落する危険があるんですネ。

警察バディ小説を読みに行ったのに、読みたいバディ描写はお預けで、ひたすら関係ない山の登り方や下着の選び方を何万字も細かく細かく解説されると、もう主題ちゃうやんけ!ってなりますからネ。

なので、4Kの描写はここぞというとき!見せ場や、共感させたいときの必殺技です。
全編スローモーションの映画も、全コマ大ゴマの漫画もありません。
メリハリをつけるためにも、「大事ではないシーンはあっさりテンポよく」をやると、ラノベ・エンタメのような大衆向け小説ではいい感じに読みやすくなります。

地の文講座でも書いたけど、あっさりとこってりはいい感じに使いわけましょう!どちらも活きる場面があります!

地の文講座 関連個所② 説明と描写の違い

↑あっさり説明の方が適しているシーンもあります。
それぞれ、作品の中でどれだけ重要なシーンか、どれだけ共感させたいかで、重みづけを変えましょう。

■実例を調べてみた

例文を書きながら、実際プロの世界はどうだっけ?となりました。
→日本語書き言葉のDB、現代日本語書き言葉均衡コーパス 少納言で、それぞれの使われ方をざっくり調べてみました。

ジャンルは「書籍」に絞りましたが、これには小説以外の随筆・実用書なども含まれます。具体例は小説からとりました。

検索文字列:驚いた。
件数:733 件
具体例:おれはミンジャの肩に手をかける。その細さに驚いた。(中村 祐介「大統領の理髪師」

対象に随筆も含まれているせいか、「驚いた」はかなり多いですネ!よく使う感情表現です。

次は、「悲しい」系で調べてみました。日本語って、活用が多くて調べにくいワ……。

検索文字列:悲しい。
件数:59件
具体例:マスコミの大騒ぎ取材合戦のなかで身についてしまった習慣なのだとしたら、ちょっと悲しい。(宮部 みゆき「夢にも思わない 」

検索文字列:悲しかった。
件数:46件
具体例:塩山駅のプラットホームで、俊也の父がかけてくれた言葉も冴子には悲しかった。(二条 睦「監獄女医 」

検索文字列:悲しくな
件数:122件
具体例:ようやく彼が口を開いた。あたしは悲しくなってきた。カレン・キエフスキー「キャット・ウォーク 」

※パッと見、セリフが多かったです。

言い切りの文末が少なくて、活用の途中だと当たり判定がデカくて検索結果が多くなりますね。

直情的でストレートな感情表現は、有名作家さんも使っています。キャラ視点の場合は、そのキャラがどういう性格かによりそうですネ。

検索文字列:怖い。
件数:127件
具体例:血と唾を吞み下すと、吐き気がした。怖かった。豪が怖い。(あさの あつこ「バッテリー 」

次は、泣く系について。
(「泣き」だと「泣き声」「泣きつき」が混入したので除外)

検索文字列:泣いた。
件数:223件
具体例:女の子が最後に見せた顔が、あまりにも恐ろしくて、私は泣いた。(小池 壮彦「怪奇探偵の実録事件ファイル 」

検索文字列:泣く。
件数:44件
具体例:案の定、母は「まあ!」と息を呑み、すすり泣く。(須賀 しのぶ「砂の覇王 」

検索文字列:泣いて
件数:1208件
具体例:中山日出子の声が少し震えていた。―泣いているようだった。赤川 次郎「本日は悲劇なり 」

検索文字列:涙が
件数:1156件
具体例:お濃の両の目から、思わず大粒の涙がこぼれた。澤田 ふじ子「黒染の剣 」

対象を小説に絞れなかったので、この調査は正しいとはいえません。また、「ストレート表現と文学的な迂遠表現の違い」を調べるなら、多種多様な表現を網羅する調査が必要で、とてもとても、これを元に何かを語ることはできません。

ただ、プロ作家が感情ストレート表現を使っているかどうかは、当然YES:ある!ということが分かりました。

類語辞典的なおすすめとして、こちらのお記事・ご本もよかったのでおシェアです!
(前書きは、公募をガチでやっている熱血お嬢様向けと思われます)

■おまとめ

結局はおゴール次第ですネ。

なんとなくの印象ですが、特に純文寄りの作家さんは、細かくて独自な描写が好きだよね~と思います。

だからもう好み!
地の文講座でも、「表現ワンパタ問題」の解決案を載せつつ、「言った」は「言った」じゃろがい!!「大きい山」は「大きい山」でいいじゃろがい!!!!……と、割り切ってもいいと思う。そう書きました。

「美しい、豊かな表現」を志すのであれば、文章表現はこだわるポイントです。
ただ「面白いシナリオを魅せたい」「軽い気持ちで読んで、楽しんでほしい」「好きキャラのイチャイチャでにっこりさせたい」など、そういうモチベーションであれば、細かな文章表現はあまり気にしなくて大丈夫!

「大事なキモや見せたいものを伝える」を優先して書いてみてください。
そして、描写を厚くしたいな~と思ったら、↑の例文や、地の文講座を参考にしてみてくださいネ。

迷ったら、その都度自分のおゴールを確認して、楽しい創作活動をしてくださいネ~~!!!!

ビギナーお嬢様は、まずこちらからどうぞ!


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