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インスタントフィクション【コーヒー店の窓】


山の中にあるコーヒー店に入った。
店内にはご主人と見られる40代半ばくらいの男性と、30代後半もしくは、ご主人と同い年くらいの
女性2人だけで営業していた。
初めて行った店だったのでかなり緊張していったのだが、そこの窓から見える景色に、私は息を飲んだ。


おじさんが入ってきて新聞を広げながら、「あなたが総理大臣に立候補したら?」なんて冗談と捉えるには捉え方がなんともトリッキーすぎるような話題に、奥様は笑顔で対応していて、おじさんもガハハと、上機嫌だった。
それとは別に、私も上機嫌だった。


それはさっき触れた窓からの景色…あ、猫がいる。
黒くて赤い首輪に小さな鈴をつけて、毛並みがまるで運ばれてきたコーヒーのように滑らか。後で触れさせてもらおう。写真も撮らせてもらおう。


あ、注文していたケーキが運ばれてきた。
大きくて丸い栗がとてもかわいい。美味しい。



あ、何か忘れている。



そうだ。窓から触れた景色のことを書き留めておきたかったのだった…



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