インスタントフィクション【奥の底】
私は美しくありたかった。
この街に来て、改めてそう思った。
揺れる木々を見て、行き交う人を見て、私はますます美しくありたいと思うのだった。
外見のことではなく、もちろん私の言いたいものは内面のことである。
内面?内面なんて見えやしないじゃないか。
そんな声も内面から聴こえてきたりする。
なに?!内面なんてわからないと言った矢先、内面からの声を聴くということができてしまう私は一体なんなんだ!
私はただ美しくありたいと願っているだけなのだ。正しく、美しく。
変なものを食べて、メタボになりたくない。変なものを見て、頭がおかしくなりたくない。変なもので誤魔化して、自分で目をあけることすらできなくなるようにはなりたくない。
ただそれだけなのに、ただただそれだけなのに、今の私には美しさを感じない。
なんでなぜ?さっきの例えが出てきたのか。
私の内面に佇む、ナニかはナニか。
私は襖に体を預け、そっと目を閉じて、においを嗅ぐ。
✳︎
又吉さんの「渦」チャンネルに影響され、しばらく、インスタントフィクションを作っていくことにしました。
短いけど、楽しい!!
ぜひ気張らずに、読んでください☺︎🌿
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