#7 「With The Beatles」 - 人気者の枠に囚われない意欲作【The Beatles Album Review】
今回のアルバムレビューは
ビートルズの2枚目のオリジナルアルバム「With The Beatles」です。
基本情報
オリジナルリリース 1963/11/22 (UK)
It Won't Be Long
All I've Got To Do
All My Loving
Don't Bother Me
Little Child
Till There Was You
Please Mr. Postman
Roll Over Beethoven
Hold Me Tight
You Really Got A Hold On Me
I Wanna Be Your Man
Devil In Her Heart
Not A Second Time
Money (That's What I Want)
Total Time 33:07
「Please Please Me」同様、
このアルバムも通称「泣き別れステレオ」なので
DAPで聴くときはモノラルに変換した方が聴きやすいと思います。
もしくはモノラル盤(2009年より前に発売されたCD)を見つけてください。
余談ですが、印影強めのカッコイイこのジャケ写を見るたびに
「なんでリンゴだけ下にいるんだろう」というのが気になってしまいますw
画面に収まらないなら2人ずつで並んだら良かったのに。
レビュー
☆☆☆☆☆☆☆☆☆★(9/10)
初期ビートルズの中では1番好きかもしれない。
30週にわたってUKアルバムチャート1位に居座り続けた
自身のデビューアルバムを引きずり下ろしたアルバム。
その後この「With The Beatles」も
21週の間1位を独走し続けることになるので、
UKアルバムチャートの週間1位は
ほぼ1年間ずっとビートルズだったわけです。
(ほんとかなと思って調べちゃった。本当でした。)
早い話がデビューから1年足らずで超大人気です。
そんな大人気バンドの大事なセカンドアルバムですから、
入念な準備のもとで「めっちゃ売れる曲」をたくさん入れて製作、
というのがおそらく常道なのですが、ビートルズはそうじゃない。
守りに入ることなく、自らの音楽性を拡げるために
前作にはなかった路線をたくさん取り入れました。
先行シングルさえアルバムに入れていません。
「シングル買った人が同じ曲もう1回買うことになるから損じゃん」
的な配慮だったのでしょうか。
前作がほぼ1日で急ごしらえしたアルバムだったこともありますけど、
演奏技術的にもかなり奥行きが感じられます。
楽曲解説
以下、アルバム内で特に好きな曲について一言ずつ。
It Won't Be Long
輪唱のようにやりとりされる「イェーイェー」というコーラスが印象的な曲。
きちんとパンニングされたステレオ音声で聴いたら
「これぞステレオ」っていう臨場感のある音になるんだろうなー。
いつになるかは分からないけど、いずれはこのアルバムだって
ニューミックスを出してもらいたいものです。
All I've Got To Do
ドラムのパターンが「In My Life」と似てる気がする曲。
ついでに言うと最初のジャラーンていうギターの音は
「Oh! Darling」と一緒じゃないかと思ったけど違いました。
(Oh! DarlingはEaug、これはEadd11。似てるけど違う)
All My Loving
ポール作の甘めのメロディに
ジョンが一生懸命かき鳴らすギターの3連符が美しい曲。
こんな歌で「ありったけの愛を君にあげるよ♪」なんて歌われたら
そりゃ女子はみんなメロメロになりますわな。わかる。
自分男ですけどね。
もとい、ここまでの強曲3連打でほとんどの人はやられる。うちのめされる。
その結果がアルバムチャート1位独走だったんじゃないかと思えてきます。
Till There Was You
前作に続いてポールの意向で取り入れていたスタンダード曲。
アコギ(たぶんガットギター)の柔らかい音が鳴り出せば
「おっ、ビートルズってこういうのもできるの」と高年齢層の関心さえ集めたことでしょう。
Please Mr. Postman
カーペンターズが歌っている「カバーのカバー」を最初に聴いたので、
ビートルズが歌っているのを聴いた時、なぜだか
「あー、みんな若い!!」というのをデビューアルバム以上に感じた覚えがある。
Money (That's What I Want)
金くれ! というストレートなロックンロール。
恋愛じゃ飯くえねえもんな、わかる。
後に世界的ヒットで使い切れないほど金が貰えることを知ってると
ちょっと複雑な気持ちにはなるけど。
まとめ
デビュー作に埋もれてセカンドってあまり注目されないですけど、
「セカンドアルバムこそバンドの本領発揮」 というのがかしまさの持論です。
ファーストアルバムは勝手が分からず言われるままにやってみたけど、
次に作る時はこうしようと思った、という改善点が盛り込まれるからです。
ビートルズに限らず、あるバンドの本質を探ろうと思ったら
「セカンドアルバム」っていちばん近道だと思うんだよなぁ。
それでは、かしまさでしたー。
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