クスろと私の元カレ
今日で23歳になった。
「23」という数字の現実感のなさ。でもこれが現実なんだ。
そして今日、クスろの代表に就任した。
前代表の夏堀めぐみさんから引き継ぐことが決まったのは2ヶ月前。
もはやこの2ヶ月間で代表としての自信など、ぺしゃんこ。釧路にかかる霧のように消えていった。
「やっていけるかな」「不安だな」
そんなことを思いながら、このnoteを書いております。
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23歳と33歳。
私を除くクスろのメンバーは、全員30代だ。
私と10歳の差がある。
それぞれ社会人としてサラリーマンやフリーランスとして働いており、
クスろに経験やスキルを申し分なく発揮してくれる素晴らしい人たちだ。
それなのに、23歳のこの若造が代表になることになった。
代表になってしまった。
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事の始まりは忘れもしない、2018年11月9日の夜。
編集者の藤本智士さんをお迎えしての「Re:Sとクスッと!魔法をかける編集術」というイベントでの打ち上げ。
詳細は省くが、そのイベントで私たちクスろは、藤本さんから愛のある「だせえ」という言葉を猛烈に浴びていた。苦笑いから表情筋が動かせない私たち。
なんだこの状況、と整理する間もなくイベントは終幕。
打ち上げとして「TAO」というお店へとなだれこんでいったのだった。
実はこのお店、クスろの前代表である夏堀めぐみさん、副代表の名塚ちひろさんが初めてサシ飲みしたお店。
なんの因果か藤本さんと私たちは、そのお店でイベントを振り返り、そしてクスろの今後について話していた。
実はそこで、一瞬だけだが、「解散」という言葉が誰とはなしに飛び出た。
もしかすると、解散もあるのかもね、と。
クスろが解散する?
クスろが解散する。するかもしれない。
強く、嫌だと思った。
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17歳の頃の私は、ずっとイライラしていた。
何にと言われれば、この「釧路」というまちにである。
地域イベントに携わっていた家族に憧れ、高校生のときにいわゆる「まちづくり」に興味を持った。
そこでとあるお祭りにお手伝いとして参加したが、一部の来場者のマナーの悪さや学生ボランティアの不真面目さに、霧が降りる公園で1人で泣きながらゴミ拾いをしたり、
その後、よくわからない学生団体に入ることになったが、メンバー同士の恋愛に巻き込まれ、挙げ句の果てに代表学生に太ももを触られたので、ムカついてすぐにやめた。
「なんでこんなんなんだろう」
うまくできない自分に対してもいらついていたが、釧路という場所に対しても、しつこい苛立ちが止まらなかった。
霧深いまち。寒い海辺。暗い夜道。潰れかけの廃屋。1人で帰った通学路。
釧路は暗い。気候だけでなく、私にとっては、昔の嫌な思い出がそこかしこにこびりついている暗いまちだ。
「ここから絶対に出られない」。
進学や就職の可能性だってあるのに、なぜかそんなことを思っていた。
そして、「出られないのならどうにかしてやる」と息巻いていた。
今ならわかるが、あの頃の自分は相当ダサくて、相当面白くなかった。
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そんな中、初めてクスろに出会った。
聞いてみれば、変なイラストでWEBを彩り、ダジャレみたいなイベントを開いているという。よくわからない。
「連絡くれて嬉しいです!」
私より10歳年上とは思えない笑顔を向けてくれる女性。
この人こそ、前代表夏堀めぐみさんだ。
笑顔に怯む。正直合わないかもしれないと思った。性格が明るすぎる。根暗な私には合わない。
そこから始まる約40分の会話。
「じゃあまた!」
そう言って(ほぼ叫んで)ブンブンと手を振る夏堀氏に小さく手を振り返し、別れた。
夜の北大通を歩きながら、私は、まんまと「明日になったらクスろに入りたいですって言おう」と思っていた。
そしてそれから4年、私はクスろの代表になる。
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代表を引き継ぐに当たって、「任せる」ということはとても勇気がいることだろうと思った。
これは、28歳で気仙沼ニッティングの社長になった御手洗さんの記事だ。
おそらく、28歳で社長になるより、28歳に社長を任せる方が、勇気がいる。
さらに言えば、28歳の社長についていくことの方が、きっと勇気がいるだろう。
これを読んで、本当にその通りだと思った。
23歳の若造に代表を任せ、しかもそれについていく。
おこがましくも、なんて不安だろうと思った。
私は、リーダーとしてのカリスマ性は一切持ち合わせていない。
前代表夏堀氏のコメントにも、
(かしこは)「私についてこい!」という勇ましい気質ではないかもしれません
とある。
そうなのだ。私は全くそういうタイプではない。勇ましさとは無縁。
それでも私は代表になった。なってしまったのだ。ああ、怖い……。
しかし、彼女は続けてこう書いてくれている。
(かしこは)「私についてこい!」という勇ましい気質ではないかもしれませんが、まとめ上手で、人が大好き。
みんなの幸せと調和を願う天性の愛されキャラです。
愛されキャラ。そう、わたしは愛されキャラらしい。
あんなに不機嫌で人を見下していた相当ダサい女子高生が、愛されキャラになったようだ。
でも、それはきっとクスろそのものが愛されている存在だからなのだ。
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実は、上述した藤本さんをお迎えしたイベントで、こんな一幕があった。
藤本さんから弾丸のように繰り出される、「だせえ!」という言葉。
この言葉に口を開いてくれたのは、実はオーディエンスの皆様だった。
「クスろの活動、いつも見てます」
「クスろ、本当にすごいんですよ」
なんだか、ひとごとのように感動してしまった。すごいと思った。
「愛されるってこんな感情なんだ〜」と素直に思った。愛され下手が出てしまって恥ずかしい。
思い起こせば、クスろはめちゃくちゃに愛されてきた団体である。
そう、クスろの良いところは、めちゃくちゃに愛されていることなのだ。
若者だけの団体、釧路以外にもメンバーがいる、などなど。
色々と難しいところはある。もちろん嫌な思いをしたこともある。
それでも、クスろは釧路でしっかりと愛されてきた。
だから、解散なんて嫌だと思った。
クスろを続けていきたいと思った。
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今日、23歳のわたしは代表になった。
これまでのわたしのクスろでの活動は、釧路に対する悔しさ、自分に対する悔しさを、一生懸命形にしようとした4年間だった。
そのうち85%くらいは失敗。怒られたり悲しんだりした。
もちろん楽しいこともたくさん。でもいつだって楽しさと悔しさはセットだった。
自分にできることもわかり、できないこともわかった。
得意なこと、不得意なこと、嫌なこと、嬉しいこと。
クスろを通していろんな感情に出会い、いろんな発見をしてきた。
自分が何をやりたいのか?何に怒っているのか?
釧路に対しての感情は、今も昔も「なんで好きだったのかわからないけれど、忘れられない元カレ」。これに尽きる。
好きだけど、嫌いだけど、本当は忘れられないのに、でも戻ってきてしまう。
面倒な恋愛のように、釧路は私の頭を悩ませる存在だ。
これまで、文句ばかり垂れるくせに、自分では何も行動を起こせずにいた。
周りの環境ばかりに不満を言い、自分で何かを変えようなんて思いもしなかった。
クスろは、そんなぐうたらでかっこ悪いわたしを叱ってくれる。
耳が痛い。やらなきゃ。やりたい。そう思わせてくれるのがクスろのメンバーだ。
クスろを続けていく。釧路に関わることを続けていく。
クスろの代表は、それをやっていくための乗り物だ。
免許不携帯の上に操縦訓練も受けていないが、仲間はいる。
本当は面倒な恋愛なんて大嫌いだ。情緒が不安定になるから。
楽しい、悲しい、嬉しい、悔しい、毎日そんな感情で、気が変になる。
でも気が変になったって良いのだ。クスろのみんなは私を叱り飛ばしてくれるだろう。
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これからどうなるかわからない。
なにせ、免許不携帯の上に操縦訓練も受けていないのだ。
不時着できれば御の字だろう。
それでも、何度でもいうが、わたしはクスろを続けていく。釧路に関わることを続けていく。
それがたとえ面倒な恋愛のようだったとしても、それをやめない。
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私の無鉄砲な「あれやりたい!」に応えてくれるクスろのメンバーは、私を叱咤激励しながらも一緒に巻き込まれてくれる人たちです。
そんなことやらなくても生きていけるのに、泥だらけになりながら一緒に走ってくれます。
私は、そんな居場所がこれからも続いていけばいいのに、と思い続けてきました。
そして、そんなクスろを続けていくために、このたび、夏堀めぐみから代表を引き継ぐことになりました。
私には強いリーダーシップがあるわけでもないですし、特別何かに長けているわけでもありません。
ガサツで不器用です。
それでも、クスろにいると、こんな自分でも何かできることがあるんじゃないかと思わせるクスろマジック。
この不思議な力に、賭けてみてもいいんじゃないか。
そんな風に思っています。
希望の中に一握りの不安を抱えながら、私はクスろという居場所を続けていきます。
皆さんと一緒に、クスろという居場所をこれからも面白おかしく続けていきます。
改めましてこんにちは。
須藤か志こと申します。
これからどうぞよろしくお願いいたします。
Photo by Chihiro Nazuka
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