BL小説3つのお題チャレンジ!【第4弾】
なみさん&楓莉さん主催の素敵な企画に参加してみました✨
タイトルに【第4弾】と入っていますが、私は初参加です笑
他の方の作品はこちらから読めます。
楽しみですね🥰
今回のお題は「いい夫婦の日」「右ストレート」「ポエム」!
無理やり詰め込ませて頂きました。
文字数もめっちゃギリギリ。4938文字。収まって良かった😣
BL苦手じゃない方はぜひ読んでやってください!!
不要かもですが登場人物の紹介を載せますね。
久我先生は過去記事にイラストがあります😊
上記の2人以外に人の話を聞かない奴らが出てきますが、私の作品にちょいちょい登場する奴らです。
これとか🔽
他の作品を読まなくても、フィーリングで読めると思います。
ではでは、早速どうぞ!
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夏休みから俺の頭を悩ませている人がいる。
好きとか嫌いとかじゃなくて、ふとした瞬間に思い出してしまうような。
会いたいような会いたくないような。
何だかわからない気持ちに悶々としていた。
今日もそんな気持ちを抱えながら歩いていると、聞いたことのある幼い声に呼ばれた。
「ひめちゃんのお兄さーん」
声のする方を向くと、弟のクラスメイトである少年が人懐っこい笑みを浮かべてこちらに手を振っていた。
この子とはちょくちょく出会うのだが、正式な自己紹介をしていないため名前を知らない。
弟を「ひめちゃん」と呼んでいるのは世界中見渡してもこの子だけだろう。
名字が「市媛」だから「ひめちゃん」なのはわかるが、弟のいかつい見た目にはそぐわない。
「あれ、信夫くん」
そしてその少年の隣には、今まさに俺の頭を悩ませている人物がいた。
「久我先生、少年と知り合い?」
「この子の学校で講師してるからね」
なるほど。
先生、非常勤だからいくつかの学校掛持ちしてるもんな。
「お兄さんと先生はお友達?」
興味津々な様子で至極当然な質問を少年は投げかけてきた。
「友達というか何というか……」
どういう知り合いか説明がしづらい。
俺が返答に困っていると、先生はさらっと「大学の後輩だよ」と返していた。
合っている。確かにそうだ。
何の間違いもないのだが、それだけで済まされるのはどこか寂しい気がした。
そんなことがあった日から1週間が過ぎた。
俺の目の前では先日会ったばかりの少年がニコニコしている。
駅前で少年に会ったかと思ったら強引にカフェに連れて来られたのだ。
人懐っこい子どもに「お茶しよ!」と言われたら逆らえないだろう。
「ひめちゃんのお兄さん、久我先生のこと好きなの?」
少年は単刀直入に聞いてきた。
あやうく俺はコーヒーを吹き出すところだった。
「えっ……嫌いじゃないけど、好きなのかはわからん」
俺の曖昧な回答に何故か少年は目を輝かせた。
「わぁぁ、やっぱり好きなんだ! 青春だ! 若いっていいねぇ」
「今、どこからその結論に至ったの!? それに君の方が若いよね!?」
この子、話を聞かないタイプだ!
「告白するの?」
「しないよ!? 好きかどうかもわからないって言ったからね?」
「でも先生、来るもの拒まず去るもの追わずって言ってたから、大丈夫だと
思う」
「あの教師、生徒に何話してるんだよ!」
どんな状況でこの話になったのかすごい気になる。子どもにする話じゃないだろう!
だが、少年は俺のツッコミを無視して話を続けた。
「ねぇ、お手紙書こうよ。きっと喜ぶよ!」
「手紙?」
ラブレターとは、なかなか古風なことを考える。
「先生、お父さんからもらった手紙がすごく嬉しかったって言ってたから、手紙もらうの好きだと思う」
「そういうものかな」
「意外とロマンチストなところあるよね」
「そうかな?」
「うん、『パパ活のマッチングで自分の父親が来たら面白いのにね』って言ってたからロマンチストだよ!」
「そうかな!?」
それは全くロマン関係ないと思うが!?
っていうかその状況地獄だろ。
「ボク良いもの持ってるよ。もう使わないから、お兄さんにあげるね」
少年は俺を無視して、カバンから黒猫の絵柄のレターセットを取り出した。
もう先生に手紙を渡す流れになっている。何この子、怖い。
「そうだ、お手紙じゃなくて詩にしよう。ロマンチックなアイデアだと思わない?」
しかも書く内容まで決められた。
俺は愛のポエムを書かないといけないのか?
「ラブレターだから、どこが好きか詩に書かないとね。お兄さんは先生のどこが好き?」
「……顔?」
「顔だけ!? もっと良いとこたくさんあるよ!」
そう言われて、先生との思い出を振り返る。
夏休み、一緒に変な村に行ってフィールドワークをした。
突然いなくなった先生を探しに行ったら死にかけた。
あとはセクハラされた記憶しか蘇って来なかった。
……俺、先生のこと好きじゃないのでは?
もしかして一緒にいる時に怖い目に遭って、吊り橋効果でドキドキしてるだけかもしれない。
でも、楽しかったのも事実だ。温泉で裸の付き合いもしたし。
あ、そうだ。
「腰が細い」
「お兄さん、変なとこに注目するんだね」「いや、あの細さは気になるだろ!」
内臓詰まってる? って心配になる方で気になってはいた。
「そう言う少年は何かないの?」
「えーっと、教え方が上手なところでしょ、優しいところでしょ、強いところでしょ、霊感が全くないところでしょ」
少年は指を折って数えている。
一部褒めているのかわからないものがあるが、気にしないでおこう。
「あと顔が綺麗」
「やっぱ顔じゃねぇか」
結局、誰もがそこに落ち着くのだ。
「たくさん良いところ見つけたね。これで詩にすること決まったね」
「俺2つしか挙げてないけどね!?」
どこからその結論に至ったのかな?
ポジティブにも程がある。
「あとはお兄さんの文才で何とかならないかな」
「ならないよ。圧倒的な数量不足はどうにもならないんだよ……」
だが、おそらく詩を書き上げないと少年から解放されないだろう。
仕方なくボールペンを走らせた。俺ならできる!
数十分後。
普段使わない頭をフル回転させて即興で詩を書いた。
「見たい見たい」とせがまれたので便箋を手渡すと、少年は満足そうに頷いている。
「素敵なラブレターができたね」
「そうだな、うん……」
俺の頭は疲労により正常な思考回路を失っていた。
目の前には何かよくわからないポエムのようなものが書かれたレターセット。
なにこれ。少年はどこを読んで素敵だと考えたのだろう。
詩の形をとってはいるが、どう深読みしてもラブレターではない気がする。
家に帰ったら捨てよう。
ボーっと手の中にある怪文書を眺めていると店内がざわついた。
何だ、俺の書き上げたポエムの出来に驚いているのか、などと考えたが全く違った。
すげぇイケメンが店に入って来たようだ。そりゃあざわつくわ。キラキラしてるもん。
イケメンはこっちに向かって歩いて来る。
「音無くん、帰るよ」
「はーい」
まさかの少年の知り合いだった。
「ひめちゃんのお兄さん、ボク帰るね」
「ああ、市媛くんのお兄さんでしたか。こんばんは、担任の千影です」
まさかまさかでイケメンは弟の担任だった。
もう少し驚く場面かと思うが俺の疲れた脳はうまく働いておらず、適当に「弟がお世話になってます」とだけ挨拶した。
「お兄さん、久我先生にラブレター渡すんだって」
「そうなの?」
少年よ、その情報伝える必要あったかな?
「久我先生、駅前にいましたけど。まだ間に合うんじゃないですか」
イケメンは困惑するどころか有意義な情報まで教えてくれた。これ、もしかして今から先生にポエムを渡しに行かないといけない?
「「頑張って!」」
どうやら渡しに行かないといけないらしい。
何を頑張るのかはわからないが、笑顔の2人に見送られて俺は駅へ向かった。
あの2人、どっちも人の話を聞かないタイプだな。
先生はすぐに見つかった。
というか、人だかりができている方を見たら久我先生が渾身の右ストレートを中年男性にくらわせているところだった。
物騒!!
近づいて良いものか悩んでいると、どこかスッキリした表情の先生と目が合った。
「あれ、信夫くん。よく会うね」
人を殴ったというのに何事もなかったかのような顔で先生に声をかけられた。
わざわざ会いに来たのだが、それは言わないでおいた。
殴られた男は「ひぃっ!」という声をあげて逃げて行き、その場にいた人たちは自然と解散していた。
俺たちは駅に向かって歩く。急に出会うと話すネタに困るものだが、今日は絶対に聞かなきゃいけないことがある。
「何でオッサン殴ってたの」
めちゃくちゃ気になっていた。
この人、おとなしそうな外見だけど喧嘩っ早いんだよな。
「11月22日が僕の両親の結婚記念日なんだけど、銀婚式らしいから贈り物しようと思って」
「いい夫婦の日が結婚記念日か。何か良いな」
両親に贈り物だなんて先生も良いところあるじゃん、と好感が持てた。
それがどういう経緯で先ほどの暴力沙汰になるのかは不明だが。
「ネットで知り合ったオッサンにその話をしたら一緒に贈り物選んでくれるって言うから」
「出会い方が危ない!!」
ネットで知り合った中年男性って何だ。
さっきまでのほのぼのした気持ちを返してくれ。
「待ち合わせ場所に来てみたら、いきなりホテルに誘われて。そりゃあ殴るよね」
「普通は殴らないで逃げるんだよ!」
先生が強いことは知っているが、危ないから本当にやめて欲しい。
ただでさえ好奇心が旺盛で変なことに首をつっこむ性格してるのに。
いつか変な事件に巻き込まれそうだ。
俺は本気で心配しているのだが当の本人は全く聞いておらず、俺の持ち物に興味を示していた。
「それは?」
「あ、これはですね……」
先生は俺が手にしている封筒を指差した。
「可愛いね、黒猫の封筒。女の子にあげるの?」
からかうような目と声に、反射的に答えてしまった。
「いや、先生に」
「僕?」
ここまで話してしまえばごまかしようがないので、おとなしく封筒を渡した。
まぁ、先生のことだから冗談と受け取って笑って済ませてくれるだろう。
怪訝な目をして俺の詩を読んでいる。
「ん? 詩? それとも怪文書?」
「詩のつもりです」
先生の良いところを詩で表現したつもりだ。出来はともかく。
「僕のこと褒めてるって捉えていいの?」
「一応」
俺の言葉に先生は柔らかく微笑む……かと思ったが真顔で封筒をカバンにしまった。
「ありがとう、受け取っておくね」
その声は少し気まずそうにも聞こえた。
そして沈黙。
え? 今の反応何!?
まさかの無表情!
笑ってくれるかと思ったのに!! 美人の真顔怖っ!!
俺が内心ドキドキしていると、そのまま久我先生は去って行ってしまった。
ちなみに、このドキドキは多分恐怖の方のドキドキ。
何の感想もなかったのが逆に俺の心を抉ってきた。
後日。
先日のことが心の傷になっている俺。
今度は駅前でイケメン先生に出会った。爽やかな笑顔が眩しい。
「この前の手紙、渡せたようで良かったです」
「まぁ、おかげさまで」
久我先生からは何の感情もこもってない顔で見られましたけどね。とは言わない。
俺は大人だ。
「黒猫のレターセットですよね」
「そうです」
少年から聞いたのか、目の前のイケメン先生はやけに詳しかった。
「久我先生が大事そうに持っているのを見たので」
「へ?」
予想外の言葉に変な声を出してしまった。
「ほら、あの人案外ロマンチストですし。ああいった古風な気持ちの伝え方が嬉しかったんでしょうね」
少年も似たようなことを言っていた。
あの峰不〇子みたいな人、ロマンチスト確定なの?
「受け取った時は真顔だったんですけど」
「恥ずかしかったんじゃないですか?」
何ソレ。
ちょっと先生のことを可愛いと思ってしまった。
普通の顔をしようとしても自然と頬が緩んでしまう。
好きじゃないかもなんて思っていたけど、こういった些細なことがスゲー嬉しいと思えるくらいには先生のことを好きみたいだ。
先日のトラウマが解消された。
俺はチョロい。
しかし後日、俺の渡した詩の添削がメールで来ていた。
そこには赤ペンでびっしり指摘が入っている画像と、「参考になれば」と一言。
……先生、どれだけ真剣に読んでくれたんだろう。
嫌いな相手にここまで手間をかけないはずだ。
これも照れ隠しだと信じるしかない。
今思えばあの真顔は絶対呆れていた目だったと思うが、イケメンが言ってた通り、恥ずかしがってたことにしておこうよ。
そう考えないと涙が出てきそうだった。
■あとがき■
BLというよりコメディ要素強めなのですが、きっとBLです。
だって作者がBLって言ったらBLになるって聞いたもん!
「周囲に振り回されまくる信夫」と「教師としては真面目な久我先生」でした😊
左右は決めてないのでどっちでも。
「また登場させたいなぁ」と思っていた2人だったので、書く機会ができて嬉しいです✨
noteで小説書くの慣れなくて行間どうしようとか、本文の内容以外のところで悩んじゃいました。
読みづらかったらすみません💦
思考錯誤しましたが、書いてて楽しかったです😆
お誘いありがとうございました~!!
また書けそうなお題の時は参加したいと思います👍
#noteでBL