これからお父さんになりたいと思う男性たちへ
お母さんになって、急にひとりぼっちになったような気がしました。
ドラマなどで、子どもができること=ハッピーエンドと思いこんでいたからです。
妊娠中には、本やネットでたくさん勉強していましたが、出産について、子どもの育ちについてばかり。
お母さんになる私自身の変化には目が向いていませんでした。
だって、みんなおめでとうって。
幸せなことだって、楽しみだって、思いこんでしまっていたんです。
出産によって、体は交通事故に遭ったような状態。
回復には安静が必要です。
人が繰り返し眠りを起こされるのは拷問に使われるほど意識を混濁させます。
それと同じ状態にされるのが夜泣きの対応。
排泄物を処理する経験がはじめてなら、我が子といえど最初は戸惑いや抵抗感があるでしょう。
意思疎通ができない相手の要求は産んだからといって当然すぐに理解はできません。
こんな大変なこと、私は出産前に知っておきたかった…
いや、知っていたら怖気付いていたかもしれません。
だからこれは全部、出産前にパートナーに知っておいて欲しい。
「よかったね、無事に産まれたね。
家族のために俺も仕事がんばる!
お互いにがんばろうな!」
寄り添った言葉のようですがそれでは、産後の女性の命に関わる危険があります。
お母さんなんだから、子どものために、夫のためにがんばらないと。
みんながこの子のこれからに期待してる。
その、前向きな責任感(社会でいわれる母性)のせいで
命を削っていく母親は多くいます。
誰にも褒められず目も向けられず…このままでは未来の希望である子どもは産まれていきません。
母は強し、なんて都合のいいことを誰が言ったのでしょう。
目の前にいる自分の責任で生み出したか弱い生き物を、必死になって死なせないように歯を食いしばっているだけ。
一瞬一瞬、気が抜けません。
そんな毎日を繰り返していくうちに
少々の苦しみは見過ごせるようになってしまうだけなのに。
子どもが巣立つ頃に、体にガタがきている女性、
ボロボロになってやっと自分の体に目が向く女性はたくさんいます。
これからお父さんになる男性たち、お父さんになってみたいと思う男性たちへ。
子どもを持つということはとても幸せで充実していて、かけがえのないものです。
そして、残念ながらあなた方は出産を経験できません。
選んだパートナーとご縁があって、そのパートナーに命をかけて産み出してもらうしかありません。
(またはどこかで授かった子を引き取るか…ですが、それもどこかの女性が命がけで産み出すものです)
ただ、それ以外なら誰にでもできます。
面倒で大変で疲れるものですが、何歳でも誰にでもできます。
その意志と責任感さえあれば。
どうか、パートナーと産まれてきた子どものしんどさを見てみぬふりして苦しめることのないように、
苦しみは分けあい幸せを共有してください。
産まれさえすれば必ず自分もがんばって家族を幸せにできるから。
そんな意識を持って、男性たちは子どもを社会へつないであげてください。
そうして、がんばる男性たちのお金の不安を煽ることなく、
子どもが生まれてくる家庭をあたたかく支えてあげられる社会が広がっていきますように。
男性が男性へ、「男は金さえ稼げばいい」なんて自らの価値を下げるような悲しいことを言いませんように。