教えて、数値規制の舞台裏!環境省がEva杉本彩理事長を頼る理由〜検討会Web会議で問題事例も報告
女優杉本彩さんが理事長を務めている公益財団法人動物環境・福祉協会Evaのサイトを読むと、Evaと親しい公明党の所属議員同席のもと小泉進次郎環境相に面談した報告とともに、環境省の検討会でも悪質なペット業者や愛護団体について、Web会議で専門家で構成する委員たちに説明したことが紹介されています。
先日6月1日には、環境省の「動物の適正な飼養管理方法等に関する検討会」の検討委員の皆様方に、不適正な管理をしている第一種動物取業と第二種動物取業について、現地実態調査としてリモートでプレゼンさせていただきました。日本の動物福祉の向上に向け、引き続き適正な飼養管理基準の数値化について、今後まとめられる案に注視していきたいと思います
動物の適正な飼養管理方法等に関する検討会のこの資料の最後の方に紹介されているWeb会議のことです。環境省の公表資料では動物愛護団体からヒアリングしたと書かれてあるだけで、団体名は公表されていません。
「商品として入荷された犬猫は、オークションで競られ運ばれてきた、 呼吸用の小さな穴をあけた白い箱に入れられたまま置かれていること もあった」
「コンクリートブロックの1マスに最大で60頭ほどの犬を過密状態で入れている」
「ショーウィンドウの他に、裏には常時40頭~50頭(売れ残って行き場のない犬猫)がいるが、職員は 1 名~2 名」
たくさんの事例が写真を使って報告されています。ヒアリングに参加した動物愛護団体は幾つだったのか、環境省動物愛護管理室に問い合わせたところ、野村環室長補佐から回答がありました。問題事例の聞き取りはEvaからだけでした。
Q 2020年6月1日の「事業者の問題事例」について、動物愛護団体から聞き取りを実施していますが、いくつの団体から聞き取ったのですか?それぞれの報告内容はどのように裏付け(証拠)を確認されましたか?
A 1つの団体(公益財団法人 動物環境・福祉協会Eva)から聴き取りを行っております。具体的な状況等を示す写真を交えて報告をいただいたものであり、報告内容は正しいものと認識しています
Evaの杉本彩理事長は、浅田美代子さん、犬猫事情に詳しい朝日新聞の太田匡彦記者らとともに、数値規制導入を推進した超党派の動物愛護議連(犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟)のアドバイザーも務めています。
彼らは活発に質問、意見も出していて、国会に議席を持たないものの実質的には議連の中心的メンバーと言っていいでしょう。
私も3年半ほど前ですが、議連のプロジェクトチームの会合を取材したとき、杉本さんの活躍ぶりを初めて知りました。大変知識が豊富で行動力、影響力のある動物愛護活動家であるのは間違いありません。
しかし、動物虐待の実態を知る団体や個人は他にもたくさんいます。そして事件として警察が捜査する件数も年々増えています。どうして環境省が杉本彩さんからの情報提供に依存するのでしょうか?超党派動物愛護議連の会合を含めて環境省が彼女の意見を聞く回数は突出して多いのではないかと思います。私は環境省のこうした情報提供源の偏りを不思議に思います。
環境省の統計集「動物愛護管理行政事務提要」にも紹介されていますが、動物愛護管理法違反は、年間100件を超えています。その違反者の属性や容疑内容を可視化することが、悪質業者の実態をつかむ第一歩ではないでしょうか?問題事例を警察や保健所に告発する団体や個人はたくさんいますし、事件や問題もたくさん報道されています。
そして次に、警察が介入する以前の動物愛護センターや保健所による問題事例に対する処分や指導の記録も重要な情報です。国が決める数値規制を運用するのは動物愛護センターのような現場の指導機関です。いまだ闇に葬られている動物虐待業者や愛護団体、個人飼い主の実態について最も詳しい専門家であり、彼らからの報告こそ「総合的、俯瞰的」な実態の把握には欠かせないはずです。
私個人は、岡山県動物愛護センターが長いこと動物取扱業者を指導する際に目安として使っている「一人当たり小型犬30 頭(大型犬はそれより少なく)」という基準について、環境省や専門家、動物愛護議連は調査をして欲しいと思っています。少なからず効果があったと思うからです。
悪質業者とはいったいどんな連中のことをイメージすればいいのでしょう?その議論が不十分なまま数値だけが一人歩きしているように思えてなりません。