PWJ、無人島の芸術支援NPOに貸付金 神石高原町開示文書から

◇その14、ふるさと納税制度の寄付の対象に「瀬戸内アートプラットフォーム」を認定することとした経緯及び寄付実績、資金使途を記録した文書(認定団体からの報告を含む)一式

ふるさと納税の集まり具合に応じて交付される支援金の申請書類とともに、NPO法人瀬戸内アートプラットフォーム(大西健丞理事長)の平成30年度(2018年度)事業報告書が手元にあります。

 この報告自体は公表されていますが、2018年度の事業の成果はこんな風に書かれています。

 瀬戸内海の無人島、豊島(愛媛県上島町)でドイツ人の現代芸術家、ゲルハルト・リヒターの作品「ゲルハルト・リヒター 14枚のガラス/豊島」を一般公開した。一般の観覧者に加え、国内外の現代美術関係者も多数来訪した。また、ふるさと納税を通じた寄付募集を行い、高額寄付者らを招待するゲストハウスを運営した。(従事者6人、事業費166万1千円)

 豊島の町有施設の一部を現代アート関連資料のアーカイブや展示ギャラリーとして活用するため、施設の譲渡に向けた町との交渉を進めるとともに、アート関係者や建築士と改修計画の検討を重ねた。(3人、83万3千円)

 広島県神石高原町では、観光施設「神石高原ティアガルテン」での現代アート作品の設置に向け、設計等の準備作業を進めていたが、資金の見通しが立たず休止とした。(2人、33万円)

 これら一連の事業は、特定非営利法人ピースウィンズ・ジャパンと連携・協力した。

 以上です。瀬戸内アートは、ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)の芸術・観光部門とでもいうべき位置づけでしょうか。

 2018年4月1日から2019年3月31日までの活動計算書によると、経常収益469万円から経常費用2611万円を差し引いて、▲2142万円(当期正味財産減)で、次期繰越正味財産は▲4511万円です。

 2019年3月31日現在の財産目録によると、固定負債の長期借入金の欄に、(特非)ピースウィンズ・ジャパン 10,000,000 とあります。瀬戸内アートプラットフォームが赤字で資金が足りないため、PWJが1000万円を貸しているということです。

  PWJ自体が資金不足で外部からかなりの額の資金を借り入れている状態です。理事や監督官庁はこの資金の回収可能性をどのようにみているのでしょうか。 優先すべきは、離島の観光振興ではなくて、本部のある神石高原町でのピースワンコ事業の立て直しではないでしょうか。

 NPOとしてのPWJや瀬戸内アートプラットフォームは主たる事務所(本部)を神石高原町に置いているため、広島県県民活動課が指導、監督する立場にあります。

 しかし、この2つのNPOは、愛媛県上島町でも「主たる事務所を置くNPO」としてふるさと納税寄付を受ける団体として認定されています。

ふるさと納税の返礼品が地元品に限定されるようになった今年からはさすがに神石高原町名で離島の事業への寄付を募ることはやめたようですが、神石高原町でも2014年度から2018年度まで5年間は同町のふるさと納税寄付の対象NPOとして認定され、交付を受けてきました。

 自治体から寄付金をもらう要件としての「主たる事務所」は一体どのような定義で運用されているのでしょう。

主たる事務所が複数あり、ふるさと納税の寄付も複数から募れるとは、非常に不可解な仕組みです。

 以下は、上島町ホームページ http://www.town.kamijima.lg.jp/site/furusato/ からの抜粋です。ご参考まで。

8)特定非営利法人【特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン】
上島町内に主たる事務所を置く特定非営利活動法人(NPO)の支援に活用させていただきます。この法人は、生命の尊厳が守られ、だれもが安心して豊かな生活を享受できるよう、国内外の諸問題の解決に積極的に貢献するとともに、市民や民間組織が公益の実現により大きな役割を担う社会の構築に取り組むことを、その目的とします。
(9)特定非営利活動法人【瀬戸内アートプラットフォーム】
上島町内に主たる事務所を置く特定非営利活動法人(NPO)の支援に活用させていただきます。この法人は、世界的にも魅力的な瀬戸内海の特性を活かし、文化・芸術の振興や観光振興などを実現することを目的としています。上島町の豊島を舞台に、ドイツ人芸術家ゲルハルト・リヒターの作品の展示・公開、海外からのアーティストの招へい、ゲストハウスの管理・運営などを行っています。現代アートの貴重な資料や書籍を集めたライブラリーの開設も目指しています。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?