潜りたい人(ヨーロッパ編)
洞窟・トンネルといった、なにか潜るタイプの観光地は、なぜか自分の冒険心を強烈に刺激します。
じゃあ、具体的にどんなところへ行ったっけ?という「まとめ」をして見たくなったのです。副産物として誰かの次の目的地になったら幸いです。
坑道戦(St Andrews Castle…イギリス) 2019
セント・アンドリュースはゴルフで有名ですが、そのゴルフ場の隣にある城の敷地内にあります。
一見、海辺の廃墟ですが、16世紀の宗教戦争時に掘られた坑道があります。
城内から下へ降り、細く、狭い坑道を身を縮めてくぐっていきます。
すると天井が高く、幅広いサイズに変貌。その先の緩やかな階段を上がると、残念ながら行き止まりです。塞がれていなければ、海側に出れそうなのですが。
攻め込むプロテスタント側としては、大きな穴を移動しやすいように海側から掘り進む。それを迎撃する側は、攻め込みにくいように小さい穴を掘っていくカトリック側。このような坑道戦の跡が残っている場所は珍しいのでは?
埋められた街(The Real Mary King’s Close…イギリス)2019
山の高低差に沿って美しいエディンバラの街並みが出来ています。大通りから横道に入ると、高低差を如実に表す急勾配の石階段が続きます。
この急こう配の斜面に、埋められてしまった街があります。
時は17世紀、上には富裕層、そして低いところは貧民が暮らしていました。The Real Mary King’s Closeは、そんな低い部分にあり、ペストが流行した現場でもあり、衛生面から埋められてしまったという背景があります。
中は地下都市のよう。でもエディンバラで数多ある横道の一角なのでそんなに広くはない。坂道を挟んで建物が立ち並んでいます。壁の中で暮らす窮屈感と、ややホラー感を含んで家を回ります。通りを挟んだ建物がロープで繋がって洗濯物が干されているのが日常感を煽ります。
井戸の底へ(Quinta da Regaleira…ポルトガル)2018
レガレイラ宮殿(庭園)にある井戸。井戸として使われたわけではなく、19世紀にダンテの神曲をモチーフに作られたものです。
井戸は螺旋階段で下ることができ、底から今度は洞窟につながり、庭園内のどこかにつながっています。水場につながっていたり、滝の裏側だったり、スマートフォンのライトだより彷徨う感じがワクワクします。ホントに懐中電灯は必須。
城塞の地下通路(Citadelle de Namur….ベルギー)2009
ナミュール城塞の地下通路を通ることができます。
今はだいぶ整備されて、もっと素敵になっている模様。
ナミュール城塞自体は堅牢な城壁がある広い公園となっています。側に川も流れ、とても気持ちの良い場所でした。
美術品保管庫(Historischer Kunstbunker….ドイツ)2008
第二次世界大戦、ナチスの指示下、ニュルンベルク美術品を守った防空壕。
ニュルンベルク城の下に掘られたトンネルを活用して作られ、ちょっと湿気を感じるココで、教会の窓や、アルブレヒト・デューラーの絵をどうやって守ったのかを知ることができます。
ガイドと一緒に回ります。私が行ったときはドイツ語オンリーでしたが、今は英語ツアーやオーディオガイドも導入されているようです。
地下墓地(St.Paul's Catacombs….マルタ共和国)2007
とても広い地下墓地で、カタコンベに遺体はありませんが、遺体があったであろう穴が沢山あります。
きちんと印通りに歩かず(もしくは見落として)勝手に細道に行くと、絶対に戻れなくなる予感しかしません。どんどん細くなる道の不安と、それを抜けるとちょっとした崖になってて「道間違えた!」と気付き、慌てて戻りました。
私が行った時はあまり人がおらず、だんだん恐怖を感じてきて、地上に戻れた時はほっとしたのを覚えています。一緒に埋葬されるかと思った。
防空壕付き邸宅(Casa Rocca Piccola…マルタ共和国)2007
素敵なアンティークが盛りだくさんの、豊かな生活を見ることができます。こういうお金持ちだからこそ自前の防空壕を作ることができたんだと思う一方、こんな贅沢な人たちが第二次世界大戦時に狭い防空壕で過ごすことはとても苦痛だったろうなと思います。
没入しやすい防空壕(Malta at War Museum….マルタ共和国)2007
ただのミュージアムではありません。防空壕があります。細いトンネル、低めの天井、そしてあちこちに部屋があり、わかりやすく、そして豊富な展示物で当時の様子を教えてくれます。
蒸し暑さも感じますが、そこでじっと耐えていた人々に思いを馳せることができます。
番外:塹壕体験(The Tank Museum….イギリス)2019
ボービントン戦車博物館には、戦車展示が主ですが、塹壕の模型が実寸大に設置されていて、地上の下にいるような体験ができます。
人が立てるサイズの高さで、どう作戦室が作られているのかなどを知ることができたのがわかります。
塹壕に迫りくる戦車に「あ、これは死ぬな。」。
戦地にはとても行けません。