【海のナンジャラホイ-40】海藻の国際シンポジウムの話 (2)
海藻の国際シンポジウムの話 (2)
マスクしないの?
メルボルンに到着して驚いたのは、誰もマスクをしていないことでした。マスクをしているのは到着したばかりの空の便の乗客たちばかりです。マスクをしていると、かえって目立つ気がするので、外してみたのですが、最初のうちはなんだかパンツを履かないまま外を歩いているみたいな妙な感じがして、落ち着きませんでした。
さすがに1日も経つとマスクなしの状態に慣れたのですが、そのまま1週間近くマスクなし生活が続いたので、いざ帰国することになった時、香港空港で搭乗の間際にマスク着用が必須だと言われて慌てました。マスクをすっかり忘れていたことに気付いたのです。慌ててバッグの底をかきまわし、なんとか1つしわになったのを探し出して、ようやく着用できました。なんだか、おかしな按配でした。
プレナリーセッション
講演日の1日は、まずプレナリーセッションから始まります。いわゆる基調講演というやつです(写真1)。
今回のシンポジウムでは、一般講演では、発表をしたい参加者が発表希望を申請して審査を受けて、合格したら15分間の発表をさせてもらえました。15分の内訳は、12分の講演プラス3分間の質疑応答です。
一方、基調講演を行うのは招待された講演者で、30分間の発表を許されます。概ね25分の発表の後に5分くらいの質疑応答があるのです。基調講演を行う研究者は、最近活躍著しい研究者や注目されている分野での研究を進めている研究者、あるいは、昔から研究を行なっている大御所の先生などです。また、一般講演は6箇所の部屋に分かれて行われたのに対し、プレナリーセッションの講演は、大きなホールに全員が集まって行われました(写真2)。
本や論文でしか名前を知らなかった研究者の、姿や声を聞き、興味深い話を、他の大勢の参加者たちと一緒に聞くことができるのは、こうした学会の楽しみの一つなのです。
どっちに行こうかな?
先述したように、一般講演は6つの部屋に分かれて行われました(写真3)。
部屋ごとに、概ね似通ったトピックがまとめられていて、参加者たちは自分の聞きたい部屋に向かうのです。講演題数が多ければ、部屋を分けざるを得ないのは仕方のないことなのですが、困ってしまうのは、聞きたい講演が同じ時間帯に重なってしまう時です。自分自身が興味のあるトピックが重なってしまうときも困りますが、知り合いや知り合いの学生さんの行う講演と自分の研究に関係があって是非聞きたい講演が重なってしまうようなときも、困るのです。また、いま聞いている講演の次に聞きたい講演が離れた別の部屋で行われる時は、今いる部屋を失礼のないようにそっと抜け出して、ダッシュで移動して、次の部屋にやっぱり失礼のないように、そっと潜り込む・・・という過程が必要になって、これもまた、大変なのです。なかなかに緊張感があって、結構忙しいものなのです。
便利なアプリ
数年前まで、学会の大会に参加するときは、まずは、受付で名札と分厚い講演要旨集を受け取りました。講演要旨集には、どの会場でどんな講演が行われるかのプログラムも含まれていて、大会中はこれを抱えて随時チェックしながら講演会場をめぐる必要がありました。でも、やがてPDFファイルでの事前配信が行われるようになって、ノートPCやタブレット端末で講演要旨集を見ることができるようになりました。
そして、今回参加したシンポジウムでは、大会用のアプリがあって、スマホさえあれば、その日の講演スケジュールも講演要旨も見ることができるし、参加者同士のコミュニケーションツールとしても使えるようになっていました(写真4)。
まだ、日本国内の学会大会でこのようなアプリを採用しているところは、わずかしかないようですが、もう少し普及してくれると、スマホだけ持って会場間を駆け巡ることができるのになと思います。まあ、普及するのは時間の問題だと思いますが。
○o。○o。 このブログを書いている人
青木優和(あおきまさかず)
東北大学農学部海洋生物科学コース所属。海に潜って調査を行う研究者。
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