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【海のナンジャラホイ-5】われらベントス

われらベントス 

海の生き物を暮らし方の違いで分けるとき、海中をフワフワ漂っているものをプランクトン、海中をせっせと泳いでいるものをネクトン、そして海底で蠢(うごめい)ているものたちをベントスと呼びます。クラゲはプランクトン、魚やクジラはネクトン、カニとかウニとかはベントス、ということになるわけです。
ベントスって、変な名前ですよね。「ベントス」でネット検索すると、北海道のお弁当屋さんが最初にヒットしますが、お弁当とは関係ありません。厚み(深さ)が平均4kmくらいある広大な海で、海底に張り付いて暮らすベントスたちを見ると、こんなに広い三次元空間の底の方で二次元的に場所を使っているなんて、なんだか勿体(もったい)ないじゃないーなんて思います。

あれれ、でもよく考えてみると、私たちは地球の上の空気の層の底に張り付いて暮らしているのですよねえ。自由に呼吸できる空気の厚み(高さ)はやっぱり4 km くらいかな? その底で二次元空間にひしめき合って暮らしている私たちは、やっぱりベントスですよねえ。「We are Benthos!」

ベントス,ネクトン,プランクトン


じつは、海のベントスたちは、子供の時はプランクトン暮らしをしているものが多いので、彼らは一生通じて考えると、ちゃんと海の中を三次元的に活用していることになりますね。
では、われら「陸(おか)ベントス」はどうだろう? 空気中で生活する動物たちを見渡してみると、進化の中で、昆虫たちの多くが翅(はね)をゲットして、空を駆けています。恐竜は小さくなって、空を支配するようになって、やがて鳥になりました。哺乳類でも、ムササビやモモンガやコウモリなど空を使えるようになったものたちがいます。空を見上げれば、これだけ上の方に空間があるのだから、やっぱり3次元的に使ったほうがいいよな、と思います。空を目指して羽ばたくのは、進化の過程の自然な流れなのかもしれません。

では、私たち、人間はどうでしょう? ここ100年余りの間に飛行機で空を行き交うようになり、ドローンや空飛ぶ自動車ができ始めたのは、空を三次元的に活かそうという動きですよね。乗り物によらず、人間自身が鳥のように飛ぶためには、胸や腕の筋力が足りないわけだけれど、アシストロボットが進化して、しかも鳥の飛翔についての解析がAI 技術につながれば、人間の羽ばたき飛翔が可能になるのではないかな? もしも実現したら、道路などのインフラは大きく変わるでしょう。住居のあり方も変わるでしょう。人間自体も、バランス能力の要求から小脳が発達して頭の形が変わり、軽量化の要求から全身の形も変わってゆくかも・・・。
妄想は尽きません。

○o。○o。 このブログを書いている人
青木優和(あおきまさかず)
東北大学農学部 海洋生物科学コース

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