平野啓一郎『息吹』オーディブル感想。
平野啓一郎『息吹』オーディブルで拝聴。運命の分岐点を感じさせる経験は誰の人生にもあると思う。そこを深掘りして、予想外のSFにしてしまうのだから、やっぱり作家ってすごい。非日常のドアを召喚する能力が圧倒的に高いんだろうな。
現代における魔法使いだ。
ある人にはメラ、ある人にはホイミ、またある人にはルーラの呪文をかけてくれる。
穏やかで優しい生活を侵食するパラレルワールドの影はあまりにも濃く、それゆえに現実だと思っていた世界の方への信頼が徐々に揺らぎ、やがて反転した世界の標榜が巨大なベフェリットのごとく絶望を讃えて顔を出す。
どちらが本当なのか、何が本当なのか、果たして本当とは何なのか。。
答えを出すのではなく、問いを掲示してくれる、考えるための扉を召喚してくれる小説でした。
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