手話考察 No.1 : ”うなずき”の効用
:手話考察を挙げるワケ
マンツーマン手話指導の際、
テーマに上がってきたことを、
受講生さんとわたしの備忘録をかねつつ、
皆さまの手話学習にも一役買えたらと思い、
不定期ながらも、こちらにアップしていこうかな〜
と思っています。
どうぞお付き合いください〜。
さて、今回のフレーズ!
どどん!
【 太郎はそばにいる犬を怖がっている。】
日本語文通りに並べて、
淡々と手話表現をしてみると、
太郎/そば/犬/怖がる
となり、
そばにいる犬が、太郎に対して怯えている
というふうに映ってしまう。
そのため、
太郎/怖がる/何(なぜ)/そば/犬
とすれば、
太郎が怖がっている事が分かり、
なおかつ、その恐怖の対象である
犬が際立つ。
感情とその感情を持つ存在とは
ひとくくりにしておくことで、
誤読(誤解)が減るのではないでしょうか。
:”うなずき”の効用
他の方法としては、
登場人物が「太郎」と「犬」なので、
ふたつの区別をハッキリさせる意味で、
太郎/うなずき/そば/犬/怖がる
または
太郎/何+うなずき/そば/犬/怖がる
とすることも出来るかと思います。
つまり、“うなずき”は、
うなずき以前の、
ある対象に視点(印象)を向け(残)させる
役割があるように感じられます。
それが、結果的に対象の区別につながる
ということなのかもしれませんね。
うなずきによって、
文の最後の“怖がる”のは、
犬ではなくて、
視点(印象)が向けら(残さ)れている
太郎であることが分かるようになる
というメカニズムと推測します。
“何”とわざわざ付け足すのも、
「太郎のコトですよ」という
念押しのようなもので、
うなずきと似た効用が
あるのかもしれませんねぇ。
そういうわけで、
“うなずき”と“何”が同時併用されがちなのは、
視点(焦点)をハッキリさせたい!という、
心理が働いているからなのでしょうか。
おもしろいですねぇ〜。
ああ、幾星霜。