袖無かさね
雨上がりの道に、飴玉が落ちていました。
かわいいピンクの、飴玉。
小さな手でお口に入れようとして、うっかり落としてしまったのかしら。
こんなに可愛いピンクだから、大事に取っておいた最後のひとつだったかもしれないのに。
一緒に歩いていたお母さんは、気がついてくれたかしら。
ピンクってこんなに悲しい色だったかしら。
ミーツケタ!
小さな声。
キョウノ ゴハン オオキイゾ!
ピカピカ ピンク アーマイゾ!
張り切る、はりきる、アリの行列。
飴玉が落ちていました。
落とした小さな手が、今はカラッポではありませんように。
おしまい
photo by Karolina Grabowska
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