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ドンとカウントミー
袖無かさね
よく、数えますよね。人間さんって。
いち、に、さん。
わん、つー、すりー。
まぁ、色々あるみたいですけれど。
で?
それ、どーゆー情報?
みたいな。
うん、どした?
みたいな。
だってさ。
ボトルに入ってれば、ボトルのみんなで、
ひとーっつ。
グラスならグラスにいるみんなで、
ひとーーっつ。
中途半端な入れ物、デカ…デカなんとか。そこ入れられて、
ひとーーーっつ。
なんですよね?
気持ちはわかります、数のコンセプトも理解してるつもり。でもね、私たちってそーゆーんじゃないんです。
人間さんが私たちを口に含んだ時に、
ホッと幸せな気分になっていただければ、と。
フッと気持ちが楽になるきっかけになれば、と。
テーブルを挟んで座ってるあの彼が、彼女が、心でグッと寄り添う味わいになれば、と。
それだけ、それしか考えてないんです、私たち。
だから、数えなくていいと思います。
ただ、味わっていただければ。
いち、に、さん。
わん、つー、すりー。
数、って、さほど意味はないんです、私たちには。だってボトルにいても、グラスにいても、デカ…、デカンタか!…にいても、ワインはワイン、ですからね。
繰り返しになりますけれど。
ホッと幸せな気分を。
フッと気持ちが楽になることを。
心でグッと寄り添う味わいであることを。
そこのところを是非、手放しで、私たちを信じてください。
数えなくていいから、信じてほしいんです。
信じてくれているなら、数えても、いいけどさ。
おしまい
photo by chin.gensai_yamamoto