この前ロックのほそ道で
さかのぼっても9月中旬。仙台で開催された「ロックのほそ道」に行ってきました。「ロックのほそ道」はスピッツが主催する東北地方限定のイベントで、2010年から始まった巡業企画。要はライブですライブ。
私は参加するのが初めてで、ぜんぜん情報をキャッチしてない状態だったのですが、友人に「スピッツ来るよ。あと羊文学も」と言われ、仕事のある日だったのだけど行くことを決意。なので友人らとは別々に向かうこととなり、仕事終わりに駆けつけたときにはもうすでにフラワーカンパニーズのライブが始まっておりました。なのでキラーチューン『深夜高速』は聞けず。なんでもあとで友人に聞いたところ一発目に歌っていたそうです。私が到着するまで待っててくれよ~。一緒に歌いたかったよ~。でもラッコの曲が聞けたので許そうと思います。みんなで「ラッコ!ラッコ!」ってコールするのは楽しかったので。
しかし何をおいても大事なのは羊文学。そして一番アガったのもやっぱり羊文学。もうねマジで最高でした。真っ暗な会場の中、ステージの真ん中のみパッと照明が灯り、MCも無く唐突に始まる演奏。しかもインスト。3分近くひたすらギターとベースとドラムのぶあつい音が響き渡り「先ずは音を聴け」という音楽家としての矜持がビシバシ伝わってきます。続いてボーカル付きの曲が始まると会場のボルテージは一気に上昇。轟音に対してふわりと優しい声を乗せていく彼女たちのスタイルは、ジャンル分けするならシューゲイザーやドリームポップになると思いますが、生で聴くと体全体で音を体感でき気分の高揚感が半端ないです。繊細かつ情熱的な歌詞もほんとうに素敵。わたくし浸ってしまいました。
しかもそのわりにMCがゆるいのもずるいんだよなあ。スピッツの曲を弾きたくておばあちゃん家にあったアコギで練習した話とか、やってる曲の強さに対してギャップが大きく、こんなの好きにならざるを得ないって。
「対バンは戦いだと思ってるので勝つ気できました!」と宣言するボーカルの塩塚モエカさんも、暗闇の中で掻き鳴らされるギターも、踊るようにステージを行き来する姿も、会場に響き渡る歌声も、すべてがかっこよく輝いて見えましたよ。キラッキラに。
やー、ほんと行って良かったなあ。羊文学への愛が深まる深まる。「ロックのほそ道」の、というより羊文学のライブ報告になったけど良いイベントでした。
アルバム落穂拾い(2024年7月~11月)
あといつものように、ここ最近聞いたアルバムの中から気に入ったものを選んでみたので感想と一緒に置いときます。時期は2024年7月から11月のあいだに聴いたもの。
Bialystocks『Songs for the Cryptids』
キリンジっぽくもあり、ceroっぽくもあり、聴いていてひどく心が癒やされる。ゆるやかで優しいリズムに叙情的な詩が乗っかり、ストレートに音を響かせることで、和やかな風景が内に溶け込んでくるようだ。シティポップの文脈にR&Bを合流させたようでもあり、なおかつ聞き心地はキャッチー。好みすぎるぞこの野郎。
NxWorries『Why Lawd?』
どことなくJディラみを感じる……。jディラ好きでやってる私の耳は敏感なんだ。そういうのは察知できるんだ。さては貴様……jディラのフォロワーだな?
ソウルやR&Bをサンプリングしてるあたりに2010年代っぽさを感じるけれど、静かな波間をプカプカ漂うような心地よさはjディラのそれを彷彿とする。私が一番好きなビートだ。
やや内省的ではあるものの、一曲ごと工夫が凝らされており、コーラスの美しさや、アルバム全体の展開など考え抜かれていて、こんなに気持ちよく浸ってしまっていいのかな、なんて思ってしまうほど、音の広がり方が濃厚だった。
Floating Points『Cascade』
ずーっと耳が気持ちいい。曲がかかると同時に別のフロアにつれて行かれ、心が浮き立つようなビートがひたすら続く。ただガチガチにテクノサウンドで固めただけじゃく、ところどころでほどよく抜いてくる箇所があり、変な言い回しになるけど「完璧に整えられた浮遊感」みたいな体験を味わえる。この空間作りはもはや能力者のそれだと思う。少年ジャンプ風に言えば"カスケード"!みたいな。終わってほしくない~まだ続いて〜と思ってたら終わってしまった。フローティング・ポインツ、なんですぐアルバム終わってしまうん……?
プレイリストを作ったよ
前回2000年代の洋楽リストを作ったので、今回は2000年代の邦楽の中から好きなものを入れたプレイリストを作りました。自分用のものですが「私もこの曲好きー」とか「この曲もいいよー」みたいなのがあったら教えてくださると喜びます。
ちなみに「ロックのほそ道」の会場は人大杉状態だったため友人と合流することはできず、終始ひとりで聴いてました。ひとりの状態だと大声で歌うのも身体を揺らすのも躊躇無くできていいもんです。ライブはみんなで行くもんじゃない。ひとりで行くもんだ(合流できなかった者の遠吠えでは決して無い)。