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Netflix『ONE PIECE』イニャキ・ゴドイの「笑顔」のこととか。

まず、ルフィ役の俳優さん(イニャキ・ゴドイ)の顔、というか表情がとにかくいいなあというのが始まってすぐに感じたこと。モンキー・D・ルフィという「深層の部分でなに考えてるのかよくわからない」キャラクターを演じるにあたって重要なのは衣装でも、演技力でも、ゴム人間を表現するCG技術でもなく、なにより「顔」、主役の「表情」が重要なのだということを存分にわからせてくる。それくらいイニャキ・ゴドイくんが要所でみせる「笑顔」は印象的です。あまり賛同を得られないかもしれないけど、私にとってあの笑顔はどうみても狂人のそれで、海賊から喧嘩を売られればニヤリと笑い、海軍から追われることになってもやっぱり笑う。その楽しそうな表情からは常人には及びも付かないような思考回路があるのだと感じさせる、「下手に近づいたらやばい奴感」がぷんぷん漂っていて、その時点である程度このドラマは成功していたのだと思います。

さらに、声優。私は本作を吹き替えで観たのですが、このドラマほど声優の存在感をビシバシ感じた作品は珍しく、それくらい「声」によるキャラ付けが場を支配している気がしました。それはもちろんアニメシリーズを観たことがあるせいですでに「ルフィの声」=「田中真弓の声」ということが脳内に植え付けられているからなのだけど、それにしたってこんなに一気にすんなりとワンピースの世界の中に入っていけたのは、声優のおかげなのは間違いない。ためしにちょっと字幕版で視聴したら逆に違和感凄かったし(てか、なんとなく味気ない)、やっぱり声優さんってすごいなと感じた次第です。

おそらく原作を読んだことがある人の何割かは、実写化のアナウンスがされた時点で「また某7つの球を探す映画みたいなやばいものが出来るんじゃないかしら……」と考えたんじゃないかと思いますが、なかなかどうして観ていて楽しい。いや、海外の俳優さんを使っていても髪の色や服装でどうしても「浮いた」感じはあるのですが、それを踏まえても、あの『ワンピース』の世界がこれくらいちゃんと作られ、目の前に繰り広げられると、問答無用で”あり”だと感じてしまいます。

話の流れは原作を踏襲したうえでドラマ版として脚色したり、再構成した作りになっており、違いを楽しむのも一興かと。主要人物の過去話はいっぺんに全部見せるのではなく、合間合間に挟むことでうまい具合に盛り上がらせエモさを強調した脚本になっています。原作の扉絵シリーズであったコビー(というかガープ)の話もドラマの方ではしっかりストーリーの中に組み込まれ、同時進行させる作りに。正直コビーの話をこんな丁寧に尺を使って描く必要あるのかな、と思いながら観ていたのですが、最後まで観てああなるほどとなりました。
その一方で、後半脚本が駆け足気味なうえ、結構雑です。原作では数話かけて描いてた部分をそぎ落とすわけでもなく「入れられるものは入れとこう」としているせいで、なんだかバタバタしてる割に、戦いはあっさり片付いてしまったり。特にウソップVSチュウは原作の良さが活かせてないなあと感じてしまいました。まあ本来は10話構成になるはずだったらしいのでこうなるのも無理ないか。
あとなんか画面暗くないですか?照度MAXにして観てもかなり暗いシーンが多くて何が起こってるのかわかりづらかったのですが、私だけ?

それとは別に、なんだかルフィとゾロが妙に仲良しな描写が多めな気がしました。むむむなんかえっちだぞ、と感じるシーンもちらほら。これにはなにか意図があるのかネトフリよ。それとも考えすぎ?あえて理由を考えてみると、原作ではゾロが仲間になる部分ってほかのキャラクターに比べるとあっさりしてる箇所なので、副キャプテン的なポジションにいる”ゾロ”という存在をもっと掘り下げようとしたのかもしれませんね。じゃなかったら色んな方へのサービスですな、おそらく。

戦闘は基本タイマンばかりですし、先ほど言ったようにあっさり終わるものが多いです。んー、何かこうケレン味みたいなものが足りない気がする。とはいえある程度原作通りではあるんだよなあ……。でもどうせなら船どうしの海戦とか、実写ならではの迫力を感じる部分をもっとたくさん見たかったというのが本音。
あと今作で一番好きだったのはヘルメッポです。クズでダメ男であるところのヘルメッポですが、徐々にコビーとの仲を深め、海軍として自身のアイデンティティを確立していく物語、として見るときっと応援したくなることでしょう。ヘルメッポいいよヘルメッポ。

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