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ポケモンキッズと旅する 第55回 グレイシア|鳥取県湯梨浜町

本記事をご覧いただき、誠にありがとうございます。

第五十五回、グレイシアと湯梨浜です。

東郷湖畔にある燕趙園は、日本最大級の本格的な中国庭園です。

燕趙園の名前の由来となった「燕」と「趙」とは、(中国の)戦国時代にあった戦国七雄と呼ばれる有力国7国のうち、北東にあった2ヶ国です。

趙の名将・李牧が秦軍を何度も撃退していましたが、秦の離間計により李牧がいなくなり弱体化、秦の将軍・王翦などによって滅ぼされました。

一方、燕はさらに北東方面の地域を支配し、太子丹の時代に荊軻を刺客として秦の王・政の暗殺を企てたことで知られています。

失敗に終わったこの暗殺未遂事件の報復として、燕はやはり秦の将軍・王翦などによって滅ぼされました。

さて、燕趙園は日本庭園でいうところの池泉回遊式庭園(池を見て歩くうちに景色が変わるのを楽しむ庭園)にあたるでしょうか。

また、日本庭園でよく用いられる「借景(庭園外の風景などを庭園の一部のように見立てる手法)」も感じることができます。

日本庭園と同様、中国庭園も自然を模倣し、自然との調和を重視する庭園である、などの共通点がみられます。

(比較対象としてイギリス式庭園やフランス式庭園などの西洋式庭園は直線的だったり左右対称を求めたりと、人の手が加わって整えられている点を重視します。
西洋式庭園の写真が出てきた際に、またいずれ紹介しましょう。)

一方、中国庭園にみられる「意境」という概念は、日本庭園には見られない独特のものです。

「意境」とは、著名な詩を景観で再現しようとしたり、景観で思想を表現しようとします。
「無為自然」や「上善若水」といった思想を庭園を通して体現するような。

水は人が避けるような場所、例えば低い土地にいき、目立たず、万物を潤している。

そう考えると、このように人為的に位置エネルギーを引き上げた、人工的な滝が庭園内にあるのは、「上善若水」に反している?!

でも、こうして雪の季節を背景にグレイシアを写しこんでいるということは、無為自然に該当するのでしょう、多分。


さて、庭園の建物について。

本格的中国庭園である燕趙園の色彩豊かな装飾は、日本庭園の建物ではあまり見かけません。

むしろ、成田山新勝寺や日光東照宮といった、東日本の寺社で見かける色彩を彷彿とさせます。

中国庭園で色彩が重視されるのには、赤色は喜びや幸運を、黄色は皇帝の権威を、青は生命力を象徴するなど、色彩には深い意味が込められていることが背景にあります。

中国では色を大まかに五色「青・赤・黄・白・黒」に分け、五行「木・火・土・金・水」と対応させています。
また、その五行を通して方角「東・南・中央・西・北」とも対応させています。

まず、赤は南に対応し、太陽や火の色で、これらは光や熱を与えるものと結びつけられています。

さらに、赤は邪気を払う力があるとされ、祝祭や儀式で多用されてきました。

これらの要因により、赤は喜びや幸運の象徴として定着しました。

次に黄色は中央の色とされ、大地の色でもあり、豊穣や安定を象徴しました。

中央にいる皇帝、また「黄(huáng)」と「皇(huáng)」の発音が同じで、さらに伝説上の始祖である黄帝の名前にも通じます。

これらの要因が重なり、黄色は皇帝を象徴する色として確立されていきました。

青は東や木を表し、また天や水の色でもあることから永遠などを象徴するようになりました。

このような色彩の持つ意味も中国庭園に反映されています。


原寸大や未公開の写真は写真投稿サイトFlickrにございます。

ここまでご覧いただきどうもありがとうございました。次回もお楽しみに。