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やまない雨

やまない雨なない。

治らない病気に対してもそれを言う人がいて、センスないよな、と思ってしまった。言った相手に100%悪気はないとしても。

「それが本当に雨であればね?そりゃーやむでしょうよ」なんて、トゲのある返しをしてしまいそうだ。


私自身も、何度となく、想像力を欠いた言葉を人に向けて発してきたことだろう。振り返って、あれは、と思うこともあるし、今でも無自覚のことも多数あるに違いない。


「病は気から」なんていうのも、持病を発症してから実際に言われた言葉だ。確かにある側面ではその言葉は真実かもしれないけれど、気の持ちようで治るものなら、むしろそうしたいのに、と思う人もたくさんいる気がする。

私の場合、持病は薬でコントロールできて、日常生活は普通におくれている。飲食に制限はないし、旅行にも行ける。ありがたいことだ。それも単なる幸運のくじをひいただけだと思うし、前世で徳を積んだ記憶もない。

私は、病に因果関係を思わせるような発言にも、ひっかかるようになった。


世間のお正月気分も去ったであろう、今ごろ、録画しておいた紅白を観た。

YOSHIKIと海外のアーティスト達とのコラボレーションの『ENDLESS RAIN』がしみた。音楽に疎い私でも知っているこの曲。初めてしっかりと、歌詞を読んだ。

ああ、この人はやまない雨の中で、たくさん泣いて苦しんで、祈ってきた人なんだなぁ、と。メディアでも公開されている、彼の人生のあれこれに思いをめぐらせた。


気をつけていても、常に全方位に隙のない、トゲのない、傷のない言葉を、発して生きていくことは難しい。

例えば「あー、お腹がいっぱいすぎて苦しい」と言っただけでも、いじわるにつっつけるポイントはいくつか、思いつく。


言葉に揚げ足取りのような反応はしたくない。それより、言葉を丁寧に取り扱える人になりたい。恐れずに言葉を、丁寧に言葉を。

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