見出し画像

アメリカの原子力推進法は成功するか(CFACTの記事)

写真出展:Wolfgang StemmeによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/wostemme-11703009/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=4030427

 2024年8月6日にCFACTは、アメリカ上院で可決した原子力推進法と原子力事業の現状に関する記事を発表した。内容は原子力推進法により原子力事業の承認手続きの簡素化や投資環境の改善などが期待されるものの、再生可能エネルギーに毒された原子力規制委員会と環境保護庁が現在でも原子力事業を阻害している現状を概観するものである。
 日米両国とも原子力規制委員会は原子力エネルギー推進の障壁となっている点は同じであるが、アメリカは推進法を成立させられるものの、日本はその動きすらないのは何とも残念である。今後の原子力事業の行方を予測する参考として、本記事の概要を紹介させていただく。

↓リンク先(Is nuclear the tortoise to the wind and solar hare?)
https://www.cfact.org/2024/08/06/is-nuclear-the-tortoise-to-the-wind-and-solar-hare/

1.本記事の内容について
 ・アメリカ上院にて、88対2で原子力エネルギー推進法案が可決された。これは超党派による法案であり、数ギガワット規模の原子力発電所建造を後押しすることで、クリーンエネルギーによる発電を推進することを目的としている。共和党のキャピト上院議員と民主党のカーパー上院議員は、アメリカの原子力エネルギーへの投資を阻害する時代遅れの法案を改正し、大幅に規制を緩和するものとして、法案の可決を大いに誇っている。
 ・ただ表向きの謳い文句とは異なり、本法律は大きな問題を抱えている。本法は、これまで原子力エネルギーの普及を妨げてきた原子力規制委員会に手続きの簡素化を求めているが、この左翼的な委員会が素直に議会に服することを期待することはできない。エネルギー省の原子力エネルギー局は、本法成立前から原子力規制員会が小型原子炉などの承認を推進してきたと擁護しているが、認可までに15年もかけており、手続きを簡素化してきた事実はない。更に、本法の手続き簡素化に係る要求は甘いものであり、原子力規制委員会がガイダンスを作成するまでに18か月もの猶予を認めている。
 ・多くの有望な原子力エネルギー事業があるにも関わらず、認可に係る対応状況はお寒い状況である。軍の小型原子炉事業はたった2つしか手続きに入っておらず、原子力エネルギー局は、民間利用が可能な製品について何ら情報発信していない。このような状況下で、原子力規制委員会が原子力エネルギーに関する国際ルールの作成を推進する旗振り役をするのであれば、原子力の規制がさらに強まるだろう。
 ・原子力エネルギーの関係者は、原子力規制委員会と環境保護庁が原子力事業推進の最大の障害であると認識している。原子力を規制する側の人間は、左翼的な非政府組織の思想に染まっており、殊更原子力を敵視している。ただ一見左翼的な経営者も原子力で儲けようとしており、ビルゲイツやOpenAIのサム・アルトマンは原子力に投資していることからも、再生可能エネルギーの欺瞞が分かるというものである。
 ・原子力は長らく受難の時代を過ごしてきたが、太陽光発電と風力発電は我が世の春を謳歌しており、潤沢な補助金を受け取っている。2022年の再生可能エネルギーへの補助金は、156億ドルであるが、原子力エネルギーは比べ物にならないほど少ない。本法が求めていることは、原子力エネルギー事業の推進と承認手続きの簡素化であり、このままこの状況を改善できなければ、アメリカは中国の後塵を拝することになる。

2.本記事読後の感想
  日本もアメリカも原子力アレルギーは共通のようだ。ただその在り方が両国で大きく異なっている。アメリカはスリーマイル島原子力発電所事故の影響があるのだろうが、どちらかというと再生可能エネルギー推進のあおりを受けているという所が大きいのだろう。対して日本の場合は、原爆投下や東日本大震災の原発事故の影響が大きい。毎年原爆犠牲者を追悼する式典で原爆を批判するのは問題ないのだが、そろそろ感情的な議論とは別にエネルギー問題を冷静に考えられるようになってもいいのではないだろうか。原子力を武器とせず人々の生活のために有効利用するのであれば、エネルギーの少ない日本にとっては望ましいはずであり、広島や長崎の犠牲者を悼むこととの矛盾はないはずである。
  ただ現状を鑑みるに、私は悲観的な見方しかできない。感情的な高齢者が大量にいる現在の状況では言論空間も思想も正常化されることはないだろう。こういった人々が少なくなることでしか、変革することはないのだろう。
  
 英文を読んでわからないという方は、メールにて解説情報をご提供させていただきます。なにぶん素人の理解ですので、一部ご期待に沿えないかもしれませんので、その場合はご容赦願います。当方から提供した情報については、以下の条件を守ったうえで、ご利用いただきますようよろしくお願いいたします。

(1) 営利目的で利用しないこと。
(2) 個人の学習などの目的の範囲で利用し、集団での学習などで配布しないこと。
(3) 一部であっても不特定多数の者が閲覧可能な場所で掲載・公開する場合には、出典を明示すること。(リンク先及び提供者のサイト名)
(4) 著作元から著作権侵害という指摘があった場合、削除すること。
(5) 当方から提供した情報を用いて行う一切の行為(情報を編集・加工等した情報を利用することを含む。)について何ら責任を負わない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?