州政府と極左政策との戦い(ヘリテージ財団の記事)
写真出展:Gerd AltmannによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/geralt-9301/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=255294
2023年3月7日にヘリテージ財団は、極左政策に対抗する州政府の動きに関する記事を発表した。内容は、多様性、平等、性的少数者への配慮、ESGなどといった極左政策の浸透、それに対して各州政府がどのように対抗しているのかを概観するものである。
アメリカ発の多様性、平等と言った概念は、世界各国に広まっており、民主主義の改善になっている部分もあるが、時として軋轢を生んでおり、そのバランスのとり方が非常に難しいものである。当のアメリカでは、極左の突出で伝統的価値観があまりにも毀損され、限界を迎えたということである。日本の言論空間においても、ノイジーマイノリティーの発言が目に余るほど取り上げられており、多数者の発言が無視されている。極端な政策の行きつく先を見据えるうえで参考になることから、本記事の概要を紹介させていただく。
↓リンク先(These States Are Leading the Charge in the Fight Against the Left’s Marxist Agenda)
https://www.heritage.org/progressivism/commentary/these-states-are-leading-the-charge-the-fight-against-the-lefts-marxist
1.本記事の内容について
・アメリカでは、多様性、平等、インクルーシブなどといった概念で体制変革が進んでおり、このことは誰しもが知るところである。このことで着目しなければならないことは、選挙で選ばれなかった人々による革命戦略だということである。この動きに対し、州政府が救世主として数々の法案を可決している。極左への対抗の先陣を切るのは、フロリダ州とテキサス州であり、ミズーリ州とアリゾナ州もこの動きに追随している。これら4州の法案は、批判的人種理論の差別を拒絶し、両親の教育的な権利を保護するものであり、他の州にも波及しつつある。
・極左が用いている用語は、本来の意味とは別のものとなっている。多様性は、肌の色に関係なく機会を与えるものであったのだが、現在は人種別の割り当てを意味している。平等は特定の人種に対する政府の配慮を意味するようになった。インクルージョンは、多数派を排除し、少数派を優遇する思想に変容してしまった。
・中でも批判的人種理論は、アメリカの国体を「差別の温床」であると批判し、アメリカの政治体制を根底から覆すものである。ESGも目覚めたCEOが、化石燃料から資金を引き揚げ、リベラルの価値観にかまけて、人種の割り当てに投資するための価値観になり果てている。ヴァンガード、ステートストリート、ブラックロックは、アメリカのGDPに相当する資金をESGに投資している。これに対抗するように、ウエストバージニア州とテネシー州は、化石燃料投資を拒否するファンドマネージャーが、州の年金基金を運用することを禁じる措置を講じた。
・教育、文化、芸術、言論の場においても、DEI(多様性、平等、インクルーシブ)の価値観が培養されている。1619プロジェクト(黒人の歴史修正を求める団体)の創設者である、ニコール・ハンナジョーンズは、伝統的な価値観を破壊するよう求めているのである。
フロリダ州ではこういった価値観を拒否するべく、初等教育から高等教育に関連する4つの法案を可決した。テキサス州では、教育機関における合衆国憲法修正第14条に反する批判的人種理論等の教育を禁止する2つの法案を可決した所である。アリゾナ州は上院法案により、公共施設における男女別の更衣室やトイレの提供などを明記した。ミズーリ州も下院法案により、大学での批判的人種理論の教育を禁止した。アメリカ人の価値観を守る戦いは、始まったばかりである。
2.本記事読後の感想
少数者の度を越えた行動には、眉をひそめる人も多いだろう。既存メディアの取り上げ方も配慮を通り越してもはや優遇であり、しかもまっとうな主張ではなく極端なものを好んで取り上げている。よく、ノイジーマイノリティーの異常さが拡散されることから、却って支持を無くして政策に取り上げられることはないといった楽観論があるが、言論空間がつまらない情報で占有されるのは望ましくない。外交安全保障や国際報道の枠があまりにも短く、感情論の応酬ばかりが言論だと認識されてしまうのは望ましくない。特に若い人々はショートニュースを好む傾向にあり、メディアの切り取りに影響されやすいことから、このような報道がまっとうな言論として定着してしまう可能性もあるのである。極左の影響力を抑えるためには、まずは報道の在り方を見直すところから始まるだろう。こういったニュースに飛びつかないようなリテラシーを身に付ける必要がある。
ただ差別に対しては、わだかまりを持ちつつも、その反論が難しい所がある。憐憫の情などから黙ってしまいがちだが、結局のところ彼らの論理は少数者による多数者の支配であり、単なる独裁や寡頭政治に過ぎない。反論する場合には、以下の点に注意して言動を見るべきである。
① 選挙の洗礼を受けない人が、選挙で選ばれた人よりも権力を持つべきではない。
② 試験で選ばれた人が選挙の洗礼を受けた人よりも偉くなってはならない。
③ 国民の理解促進ではなく、直接的に権力のある人々に直談判するのは、民主主義的手続きを回避する独裁的発想である。
④ 言論の自由は、言論の無秩序を意味しない。他の人の言論の機会を不当に奪ってはならず、主張に対する反論をする自由も含むことを認識するべき。
⑤ 差別感情は良くないが、人の思想を確かめて断罪することは、文明国の所業ではない。行動や表現に現れない限り思想それ自体が断罪されてはならないのであり、思想信条の自由を侵害する行為である。
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