心のままに~自己「忠」の勧め
子どもの頃、母によく「あなたは自分勝手」と言われた。何をした時にそう言われたのかを思い出そうとするのだが、具体的なイメージは湧いてこない。だから、もしかすると「よく」ではなくたったの数回だったのかもしれないけど、言われるのが嫌だった記憶だけは鮮明だ。
子どもは確かに「勝手な」ことをしようとする。
例えば、家族みんなで散歩に行こうとしているときに、一人だけ「行きたくない」と言う子どもがいる。それより、近所のxxちゃんの家に行きたいと。
子どもは単に、散歩より、友だちと遊ぶ方がいいと言ってるだけなのだが、親はそれを「勝手」と決めつける。
客観的に見たら、みんなが散歩に行ってる間、その子だけxxちゃんちで遊ばせてもらえるんだったら、何の害もない。
でも、「せっかく家族そろって散歩に行こうと思ったのに.その願いがかなわない」という落胆を子どものせいにしてしまう親がいる。
その結果、子どもは「親の望むことをしない自分は勝手」というメッセージを受けとる。
自分の好きなことをしたり、自分の言いたいことを言ったりするのは、自分を自由に表現しているだけのことで、自分勝手とは違う。でも、親自身に感情のしがらみがあると、ぐちゃぐちゃもつれて、子どもに跳ね返っていく。
自分のしたいことをしたり、言いたいことを言ったりするたびに親が不機嫌になり、怒られ、反対され、批判され…
そんなことが続くうちに、子どもは親の言いなりになるか、少なくともなっているフリをして、生き延びようとする。
そして、この処世術は、社会に出てからも、ずっと「重宝」する。
他人のことを優先させる、「思いやりのある」人は、ありがたがられ、気に入られ、求められ、そういう人を伴侶にしたい人に惚れられ
"…..lived happily ever after..."
と、思いきや
イラつき、落ち込み、腹が立ち
一番悔しいのは、勝手な人が楽しそうにしてる時
学校でも、周りの人への思いやりの大切さを教え込まれる。
確かにとっても大事なことなのだけど、「他の人の」が強調されすぎて、「自分の」がおろそかになると
といった誤解が生じることもある。
自分のことは「さておき」というのは、今ちょっとの間、自分より他人を優先ということで、その状態をずっと継続させるということじゃない。
でも、「周りを第一に」をずっと続けていると、だんだん自分が縮まり、遠くに押しやられていく。そして、肝心なところで自分でも信じられないほど自分勝手なことをしてしまうという、パラドックスもある。
自分のことを考えるくせがついてないと、コトあるごとに、相手のことに思いが走る。
こういうのが相手を思いやることと教わってきたし…
でも、これは本当の思いやりとは違うのでは?
相手がどう思うか、どうするかは、その人自身にしかわからない。だから、それをいくら詮索しても、何も解決しない。
なんて言うと、「詮索じゃなくて、察しの美徳だよ!」と返されるかも。
でも、この「詮索」と「察し」は紙一重だったりするし、相手や状況によってきわめて流動的で、わかりかねる。
だとしたら、相手のことはひとまず脇に置いて、自分のことを考えてはどう?
フォーカスを自分に戻して、自分を真ん中に置く。と同時に、相手を尊重して、相手のことは相手に任せる。
自分が本当はどうしたいのか。自分が心から望んでいることは何?
私がこういう問いかけを自分にし始めたのは、30代後半ごろの離婚がきっかけだった。
時間はかかったけど、自分への問いかけを続けているうちに、埋もれていた願望や情熱がだんだん頭を出してきた。
自分が一番大事なのに、人のことばっかり気にして、がまんして、自分をないがしろにしてきちゃった。
でも、それに気づいたら、もうこっちのもの!何歳だって遅くない。
現にそういうのを70代になって初めてやってる友達もいるし。
自分の好きなことをやって、自分の言いたいことを言う。小さな子どものときはみんなしてたんだから、できないはずはない。
自分の心のままに
自分の心に忠実に
名づけて、自己忠
自分を中心に置くのだから、自己中でもいいんだけど、「自己中心的」という形容詞はネガティブなニュアンスだよね。
英語でも同じ。Self-centred と言うと、Selfishと同じぐらい否定的。
自分の心に忠実に、本心を伝えるのは、すごく勇気がいる。言いやすい相手はいいけど、言いにくい相手もいっぱいいるし、初めは「急に何?」みたいに風当たり強いけど、そのうち、風向きが変わってくる。
しんどかった体がだんだん軽くなって、イライラや腹立ちも減ってくる。そして、家族や友達や周りの人たちが前ならありえない!自己主張をしても、それが平気とまではいかなくても、「まあ、しょうがないか」ぐらいであのグサッみたいな痛みは伴わなくなる。
自分もハッピー、周りもハッピーのまさにwin win
一番うれしいのは、やっぱり子どもたちを自由に、ありのままにさせてあげられることかな~