人は見かけによらず
庭のタイルをはりかえてもらうことになった。
友達に勧められた人が見積もりに来てくれたけど、しっくり来なかったので、いろんな職種の会社や職人たちが登録されてるサイトに行ってみた。
「信頼できる」「丁寧な仕事」「リーズナブルな価格」
レビュー 好評の職人さんを近所に見つけ、さっそく見積もりを頼んだ。
時間通りのノックにドアを開けると、若い男の子が立っていた。私がこうしたい、ああしたいと説明しても、Oh, yeah?と答えるだけ。「それよりこうすれば?」と高価なデザインを勧めた前回の人とは正反対。
でも、専門家ならではの重要なポイントをぽつっと口にしたり、何年この道に?と聞くと、なんと「12年」。しかも、「今週末は7歳の息子をスキーに連れて行く」と!
彼の見積もりは評判通り、非常にリーズナブルだったし、素朴な人柄に惹かれて、彼にお願いすることにした。
翌週、予定通りに現れた彼は(時間通りとか予定通りとか日本では普通かもしれないけど、ここニュージーランドでは特筆に値!)さらに若い男の子を伴っていた。
その子に「この仕事はバイト?」と聞くと、今は見習いだけど、将来はボスの仕事をつがせてもらうことになってるんだとうれしそうに微笑んだ。
数日後、タイル張りも最終段階に入った日にちょうど家にいられたので、彼らの仕事ぶりを観察することができた。
弟子はもっぱら、力仕事専門のよう。ボスは「ちょっと完璧すぎるかも」などとつぶやきながら私に相談しつつ、丁寧にタイルの形を合わせる。
「こういうの、どこで教わったの?」と聞くと、父親の下で数年修行し、その後、会社に入りもう数年。それから、独立して今に至っていると。
下の娘は今2歳だと聞いて、「じゃあ、夜も起こされたりして大変でしょう」と言うと、弟子の方が、「Exactly!うちも2歳半の子がいるし!」
この子も、子持ち?!
日差しが強くなり、Tシャツ一枚になった彼らの腕には大きなイレズミが。「勉強嫌いだったから、高校は中退しちゃったけどね...」
彼らが高校生だったころは、相当ワイルドだったんだろうなあ。
タバコ、お酒、麻薬... 反抗期の若者を誘惑するものは後を尽きないし...
などと思っていたら
「若い頃はメチャクチャしたけど、あの頃しといてよかったよ」
「全く、あんな飲み方した自分が信じられない。酒は体に悪いよね」
「そうだ。だから、今はもう酒は飲まないし、体にいいもの食べるようにしてる」
「親になると、そういうこと、考えるようになるし」
「イレズミだらけの若い職人」というステレオタイプを完全に裏切る発言が次々と…
アル中寸前の弁護士やジャンクフード漬けの会社役員もいるのに、この若者たち、ものすごく賢い。10代のころにハメをはずした「おかげで」、こういう大切なことを学べたのかも。
人は見かけによらず
最後の日に帰宅したら、タイルがステキに完成してて、庭のあちこちにあったゴミもきれいに片づけられていた。
職人さんたち、ありがとう!
またひとつ、大事なことを教えてもらいました。