ぜんぶ見せるということはすごく怖いことです。
『7日でつくる!ぜんぶ見せる!〜くによし組の演劇の作り方〜』
という、一つの作品をつくる過程を全部公開する企画をします。
それはなにかと言うと、顔合わせで「よろしくお願いします」と役者さんたちと挨拶をして、「では台本読んでみましょうか」と台本を読んでもらって、面白いと思ってもらえるかなぁと役者さんに対してハラハラ思ったりなんだりして、
「では立ってみましょうか」と動きもなにもないところから作っていく、ただの文字が台本として読まれて、それが演劇になってく様子を全て公開するということです。
なんと恐ろしいことか。
なんて怖いことをしようとしているのか、情報公開してもなお、まだ自分を信じられません。
この企画は、去年思いつきました。
でも怖いし面倒だしでうにゃうにゃと時間は過ぎ、2023年になってしまいました。
ここで一度無理してやらないと、私は一生やらない。
自分に喝を入れて企画書を書いて、喝を入れて場所を借りて、喝を入れてオファーをしました。
もう逃げられません。
喝を入れて台本を書いて、喝を入れて配信の方法を勉強して、喝を入れて演出を考えないといけません。
いつもやっていた当たり前のことが、公開されるとなったときに、ぜんぶぜんぶ怖くなります。
私の台本って間違ってないだろうか。
私の演出って合ってるのだろうか。
私の言葉って誰かを傷つけてないだろうか。
そんなに不安になって心配になってまでこの企画をやろうと思ったのは、演劇の現場が怖いという声をいくつか聞いたからです。
私が主宰をやる前、役者だけをやっていたときも、今日の稽古行きたくないな、あの現場はもう嫌だな、とかよく思っていました。
その理由はだいたい人間と理不尽でした。
それが嫌で、自分が主宰になったときに、
私のせいで演劇を好きな人が演劇を嫌いにならないようにしよう
と、とても強く思って活動をしてきました。
けれど、昨今の演劇をつくる場でのハラスメントの話を聞く度に、私は誰のことも責めることができませんでした。
思い返したときに、あの人へのあの言葉は傷つけていたかもしれない、私のあの行動は間違っていたかもしれない、といくつもいくつも考えてしまうからです。
作品のためにやっていたことが、もしかしたら役者さんを傷つけていたかもしれない。
そうだとしたら、凄く嫌だ。凄く恥ずかしい。
そう思ったのが、ぜんぶ見せる企画をやろうと決めた二つ目の理由です。
私は、色んな人が演劇を見て、やって、誰かを誘って見たりして、やって、とたくさんの人の生活に演劇が入り込んでいくのが夢です。
そのためには、演劇をつくる場は楽しそうだと思ってもらえねばなりません。
そしてそれにはくによし組の稽古場は楽しそうだと思ってもらえねばなりません。
あなたの作り方は演劇の作り方じゃない。
と何度も言われてきたので、くによし組のような現場はあまりないのかもしれませんが、楽しそうと思ってくれたら私の勝ちです。
くによし組に出たい、見たいと思ってもらえたら私たちの勝ちです。
そんな人たちと一緒に、色んな楽しい演劇を作っていけたらいいなと思います。
この企画は、6日間で稽古をして、7日目は会場で上演をします。
やっぱり会場で、生で、演劇を見て欲しい気持ちが一番だからです。
お時間ありましたら、ご興味もってくださったら、ぜひ会場まで来てくださると嬉しいです。
本番は投げ銭公演です。完全な赤字です。もし良ければあわよくば応援してください。
7日で作品をつくるというのも震えるくらい怖いのですが、それを公開するなんて言語道断なのですが、とても怖い分、精一杯、精一杯精一杯頑張りますので、どうか、応援してください。
色んな人が楽しく演劇が出来るようになりますように。
くによし組 國吉咲貴
【くによし組の実験 詳細】
https://kuniyoshigumi.jimdofree.com/%E6%AC%A1%E5%9B%9E%E5%85%AC%E6%BC%94-1/
2023年2/15〜3/5
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