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なぜすぐ不妊治療、それも体外受精なのか? 【不妊治療と休職 #2】

ステップは踏みたくない

不妊治療といえば、体への負担や費用が低いものから順々に、
ステップアップして行くものだという認識が、私にもありました。
タイミング法、人工授精、体外受精・顕微授精、という感じに。

体の状況は人それぞれなので
医者もケースごとに対応は変えているとは思いますが

明らかな異常のない20代〜30代前半の女性の場合、
まずはタイミング法を数回、そして人工授精も数回し、それでも妊娠できないならば、
スケジュールや金銭面の相談をした上で体外受精に踏み切る。

そういうステップを踏むのが、よくあるケースのようです。

ただ、私の場合は異所性妊娠で左卵管をなくしており、
総合病院の医者に「大幅に妊娠率が落ちることはない」と言われたとはいえ、
妊娠率に多少の影響はあるのだろうと想像していました。

また、前回の記事にも書いたように、ピルを飲まない生活がとても辛く、
仕事の生産性も下がっている今、さっさと妊娠したいと思っていました。

そのため、私の場合はステップを取らないことも想定して、
最短で妊娠するための必要な治療を検討しました。


一般的には、タイミング法<人工授精<体外受精・顕微授精の順で、
妊娠率は高くなっていくと言われています。

京野アートクリニック高輪

そりゃそうです。

タイミング法や人工授精で上手く行く人は
これまでタイミングがあってなかった、または、
十分タイミングを取れない環境だった可能性が高い。

ホルモン分泌がうまくできていなかったり、受精卵の質が悪かったり、
ピックアップ障害があったり、卵管閉塞していたり、、、
そういった障壁は、タイミング法や人工授精などでは乗り越えられません。

色々検討した結果、私の場合はさっさと体外受精をするのが良いと考えました。

理由は以下の通りです。

1. タイミング法や人工授精では、自然妊娠と妊娠率は変わらないだろう

異所性妊娠だっとはいえ妊娠した実績から、私のとっていたタイミングは間違っていない。また、精子側も問題がない(検査済)。それならば、確実に排卵日を特定するタイミング法や、その上で精子を子宮に送り込む人工授精をしたところで、何も変わらないはず。左卵管がない私にとって一番リスクがありそうなのはピックアップ障害であり、それを解決してくれるのは体外受精しかない。そのように考えました。

2. 異所性妊娠の手術を経験した今、採卵や移植で体に処置をするのには抵抗がない

麻酔をしようが、鍼をさそうが、注射をしようが、なんでもござれという感覚でした。

3. 経済的な余裕はあるので、お金で時間を買えるのであれば全然それでいい

保険適用になったとはいえ、タイミング法や人工授精に比べて、体外受精・顕微授精の費用は一気に大きくなります。ただ、ありがたいことに、私はこれまで稼ぎをあまり使わず貯金・投資してきており、それなりの資産があります。何か目標があって貯めてきたわけではないのですが、こういう時に惜しみなくお金を使えるようにするためのものだったのかもしれません。

4. ピルを飲まずにPMSや生理期間を耐える生活から、とにかく早く救われたかった

ピルを飲んでいないと仕事のパフォーマンスも落ち、旦那への当たりも強くなります。この状態で、プロジェクトの成功や昇進ができている自分が想像つきませんでした。なので、時間を買いたい話にも繋がるのですが、とにかく早く妊娠し、キャリアアップのルートからは外れる期間を短くしたい、そう思っていました。

医者から聞いた衝撃の事実

不妊治療クリニックの初診では、体外受精を希望する理由について聞かれました。

異所性妊娠をしたこと。その後一度だけ自然妊娠を試みたけれども、ダメだったこと。
そして、とにかく早く妊娠したいため妊娠率の高い体外受精をしたいこと。
そういったことを伝えました。

「体外受精をすることで効率が良くなるかは
状況によっても異なるので分からない。
そういう考え方をしなくてもいいんですよ。」

医者はそんなことを言っていましたが、
私と旦那が衝撃を受けたのは、次の一言でした。



━━ 「1つでも卵管がないと妊娠率は大幅に落ちるので、
その意味で体外受精をすぐ選択するのは理にかなっていると思います。」



異所性妊娠の手術をしてくれた総合病院の医者は、
左卵巣の卵子を右卵管がピックアップするケースもあるので、
左卵管切除で妊娠率が大幅に落ちることはないと言っていたのに。
(総合病院の医者の診察に関する記事『妊娠率は半減しない?!』

でも、私が新たに受診した不妊治療専門クリニックでは考え方が違いました。

卵管は妊娠するためには大事なものと考えています。着目するきっかけは、体外受精でも妊娠しにくい人たちの傾向を発見したからです。それは、異所性妊娠などで両側の卵管を切除した場合で、分割胚移植の妊娠率が極めて低かったのです。

また、分割胚を子宮に移植したにもかかわらず、子宮外妊娠になるケースが度々ありました。自然妊娠では1%程度なのに対し、体外受精では4~5%という報告が多かったのです。KLCメソッドでは、卵管は胚の成長のために、とても大切な臓器だと捉えています。

(…)

そこで本来、分割胚が卵管から子宮内に到達する5日目まで、体外で培養を続け、胚盤棒という段階まで育ててから移植を行う「胚盤胞移植」に着目しました。本来は卵管で育てる部分を体外で補うことが、この問題を解決する有効な治療法になると考えたのです。胚盤胞移植は、このように卵管に問題がある人のほか、一般的に多胎妊娠防止の目的や、分割胚移植を何度か繰り返しても妊娠できなかった場合におこないます。

加藤レディースクリニック「KLCメソッド入門」 p132


つまりこのクリニックでは、卵管の役割を「ピックアップ」部分だけに求めるのではなく、
受精卵が胚盤砲になる成長過程でも卵管が重要な役割をする
と言っているのです。

ここまで医者によって言うことが違うとは…

もちろん、両院が同じ尺度で「大幅な妊娠率の低下」を表現しているわけではないので、
どちらが間違っているとも言えないと思います。

(例えば、総合病院は30%妊娠率低下を「あまり変わらない」表現する一方で、不妊治療専門クリニックは「大幅に変わる」と表現していることも考えられる。)

ただ、こういう時は対策を提示してくれている方を信じて前に進みたいものです。
(この場合は体外受精が対策)

そのようにして私は、体外受精をせねば、という気持ちが俄然強くなったのでした。


おわりに


なぜ不妊治療、それも体外受精に踏み切ったのか
について、今日は書いてみました。

図らずも、医者によっては言うことが違うこともあることを知る実体験となり、
医者の言う内容によっては、患者としても対応方法の選択や心持ちが変わってくるので、
セカンドオピニオンの重要性を身にしみて感じました。


明日は、結果的にあまり賢い選択ができなかったクリニック選びについて、書いていきたいと思います。



2024年10月22日
🐸

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