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「永遠の都ローマ展」(東京都美術館)

大学のスクーリングで上野に行きまして、昼休みを活用して行ってきました。

古代ギリシャ・ローマ時代の彫刻(造形芸術)のリアルさは突出しているとは思っているとは前々から思っていましたが、そういった写実性が皇帝の威厳を示すためのプロパガンダとして使われたという点についてはなるほど。初代のアウグストゥス帝を始め「~帝」とつく皇帝、または王族に関しても惚れ惚れするようなハンサムに彫られている点は興味深いです(共通しておでこが狭かったりもするので、そこには一種の理想化があるのかなと想像します)。一方で皇帝ではないカエサル(独裁官)はそのような脚色がなく、より現実に近そうな顔立ちで彫刻されているというのも、その時代・社会的背景の反映であると感じさせられます。

もう一つ印象に残ったのは青銅と思われる巨大なアウグストゥスの頭部像(5)。頭だけで1.8mはあるという非常に巨大な頭部ですが(欧米人の平均7.5頭身として全身は13.5m、4階建てのビルぐらいの高さ!)、正面を向いているときは明らかに向かって右上を見ているかと思いきや、側面から見るとまっすぐ正面を見ているようにも見えます。非常に細かいバランスで制作されていることを想像させられる、不思議な像でした。その横顔は浮き彫りのような、部分的には平面的な印象もあり、いったい何が重要視されらのか、その制作過程をなんとなく感じさせる作品です。
 
本展は古代だけではなく、ルネサンス以降の作品も展示。ミケランジェロの肖像画があったり、カラヴァッジョ派の画家による明暗法の作品があったり…そんななか、中世時代の宗教画は聖書の「絵解き」に徹していた一方、特にルネサンス以降はその真実性よりも絵としての美しさが重要視されたという、そういう歴史があるのは知ってましたが、冒頭の皇帝の彫像を含め、「美によって真実性をも納得させよう」という発想は、AIアートが存在感を発揮している今だからこそなのか、考えさせられるところがありました。


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