「大正・昭和のモダニスト 蕗谷虹児」(平塚市美術館)
蕗谷虹児は大正~昭和にかけて活躍した挿絵画家。日本画出身ですが、同時代に活躍した竹久夢二と比較してもよりカトゥーンなテイストを体現。
しかし夢二と同様、挿絵画家で終わることをよしとせず、1925年よりフランスに渡り、展覧会入選・個展開催等の実績を残します。しかし家族を支えるために結局4年で帰国、再び挿絵画家に専念することとなります。戦中には軍機・軍人なども描き、戦後は少女雑誌でのオーダーが減ったことを受けて絵本画家に転向し、アニメ原画を担当するなど、世間のニーズ・風潮を受ける形で仕事内容を変えていった画家でもありました。晩年にも絵画に取り組んでおりますが、こちらは滞欧時代に比べるとよりイラストレーションに接近した感じです(良い意味でわかりやすい作品ではあります)。
本展は蕗谷虹児記念館による特別協力のもと、そんな彼の画業が過不足なく展示。芸術家としてはフランスにいてこそ実績を残せるタイプと思いましたが(むしろ日本国内の画壇にはハマりにくいタイプかと)、当時流行の構成主義を学び、今でいうストリートスナップのような写真的構図を身につけるなど、その後の挿絵にも少なからず影響は与えたんじゃないかとも思います。モノクロで言えばカケアミの使用頻度が減り、ビアズリーのような白黒のコントラストを強調するようになったのも面白いです。
望まぬ場所ではなかったかもしれませんが、与えられた場所で芸術家としての資質を発揮、結果として挿絵というものを一つ高い次元に押し上げた実績は大きいと思いました。「少女漫画の元祖」(竹宮惠子)と言われるのも納得です。
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