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2012年3月19日。石巻で撮った写真をデジタル化する。 ※閲覧注意※

 2012年3月、ふとした興味で宮城県石巻市を訪れた際の写真。

 特にボランティアをしに行ったわけでもなく、吉田戦車さんの漫画に出てきた「現場に行くだけでも意味はある(記念写真でピースとかしちゃダメだけど)」という言葉に支えられて赴いた記憶があります。

 その当時、人に見せようということになり、こうした形の小さなアルバムで残していたのですが、それからなんやかんやあり、残念ながら元となるデータを紛失。
 そこから特にアクションを起こさぬまま十数年が経過…しかし、自室にあるスキャナーを見て、「あれ、ひょっとしてスキャン保存できるんじゃない?」と気づき、一度プリントした写真をスキャンをすることに。スキャナーも購入してもう4-5年経つのに、逆になんでこの発想に至らなかったのかと…。

 そして新たなる写真データが完成。これもまた「デジタルアーカイブ」になりうるのでしょうか。
 現在撮影するよりも大きなサイズで保存しています。プリントはコンビニのプリンタ、当時使っていたデジタルカメラもそんなに良いものではなく(コンデジの、確か1000万画素以下だったような…)、拡大すると、インクジェットプリンタ特有のドットが浮かび上がったりもします(時代を感じていただければと思います)。

拡大図

 この当時、震災から1年が経過し、この時点でもだいぶ瓦礫が片付けられていたのも事実なんですが、それでも残る爪痕にショックを受けた記憶があります。特に海岸付近は砂嵐が眼鏡をパチパチと鳴らし、トタン屋根が風で転がる、文字通り危険な場所でした。
 石ノ森萬画館に向かう途中か、あるいはそこから門脇小学校校舎に向かう途中だったか、トラックの荷台に若者が腰掛け、空を飛ぶカモメを見上げていた姿は今でも記憶に残っています。当事者の心情を慮ると許諾なく撮ることはできないし伝えることもできない、しかし、2011年を生々しく残した風景もありました。

 そういった当時の記憶を忘れない、また思い出させるためにも、今回スキャンした写真は自分にとって、非常に大切な写真。
 そんな写真をまたなくさぬよう、そして忘れぬよう、ここにシェアいたします(公開はしていますが、写真の性質上、二次使用・転載の際は事前にご相談ください)。


石ノ森萬画館の入口
おそらく門脇町〜南浜町エリア。
南浜町エリアは現在、「石巻南浜津波復興祈念公園」となっている。
門脇小学校校舎(当時)。100m以上に及ぶ長い幅が特徴。
2015年の廃校後、現在は全体の2/3を残し「石巻市震災遺構門脇小学校」として残存。
保存の是非・手法を巡り、市と住民たちとの間で10年近くに及ぶ議論が展開された。
この写真のみ、翌日の仙台市にて撮影。
行き止まりの先にはっきりと原因があった。


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