書きながら、文章の構成を考えてみる。
諸事情が重なって展覧会に行く予定がなくなってしまったので(苦笑)、文章の書き方について、書きながら考えてみようかと思う。
自分の書いている「感想文」は人に話す体裁を取りつつ、あくまで目的は自分にとってのメモという位置づけでもあるので、以前から構成を作るというのが難しかった。一般的に言われるものでは起承転結や序破急、ビジネス文書では聞くPREP法というのもあるけど、今に至るまで、なかなか上手に活用できないでいた。
ここではひとまずPREP法について考えてみたい。
PREP法というのは
という順序で文章を構成するもので、一般的な報告やプレゼンテーション等で用いられる構成である。簡潔明快なのが特長で、たとえば上司に報告したりする場合にはPREP法というのは非常に役に立つ。
それを感想文に適用するとどうなるだろうか。ここでは架空のモネ展について、とりあえずPREP法で構成してみることにする。
…たとえばモネ展の内容について、上司に報告を求められたらこのように説明すると思うが、果たしてこの星にそんなシチュエーションがあるのだろうか。思いつきで書いた私に一方的に落ち度があるが、それにしても「作文」というか、その割には書き手「らしさ」が見えないというか…いずれにせよ、報告としての価値はありつつ、文章として読みたくなる「スリル」には少し乏しい印象がある。
ここでマズかったのはおそらく、結論の単純さだ。報告書や小論文の結論としてはイエス・ノーで議論できるようなものが良いとされるが、報告の体裁を意識しすぎるあまり、なんとも淡白な文章が仕上がってしまっている。
そこで、「理由」を「結論」にしてみる。もっと言えば、報告書や小論文出ない限り、結論の繰り返しはうっとうしくも聞こえるので、その代わりに結論とは必ずしもかかわりを持たない「遊び」を加える。
…自画自賛で恐縮だが、だいぶ良くなったと思う。結論・理由・具体例が一つの文章としてよくまとまっていて、かつ「遊び」の部分を入れることで文章が良い塩梅で柔らかくなる。これは演劇で言うところのコメディリリーフに相当する部分で、重くなりがちな文章でも、こういう話題を取り入れることで読者にほどよい弛緩を与えることができる。
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こうして書いてみると、結論を何に設定するかが重要ということが改めてわかる。その際、書くべき結論を◯×で伝えられる比較的な単純なトピックに設定するよりも、その理由を結論部分に置くことで、文章としてより深い話題へと導きやすいことも感じられた。
ただし、今回は比較的著名なモネのケースだったが、比較的知名度が高いとは言えない芸術家を紹介する場合は、まずはじめに芸術家の概要を紹介することも必要になると考えられる。今回は2度目の結論の箇所の代わりに「遊び」という項目を設定してみたが、当然文章のTPO次第では省いたほうが良い可能性がある。
作品個別の評論を集中し、展覧会自体に対する評論を避けたい場合は当然ながら違う構成が求められる。小説や随筆を読んでいるかのような印象を与えたい場合はそもそもPREP法自体から離れ、時系列で書くなど、根本となる構成の選択にも一工夫が求められる可能性がある。いずれにしても、「結論」や書きたいことに対応した構成が求められることには違いない。