霊感ナンバーわん!
霊感の強い犬【歴代ナンバーわん!】
のはなし
※あ、犬だから1じゃなくてわん!
にしたんだろうなと思って貰えたら嬉しいですワン
そうそうあの子は
不意によく吠えてました
暗闇とか天井や階段の上を見て
『ワンワンワワワン!』
まぁでも元々よく吠える子ではあったのですが
でも理由もなく吠えるって事
犬にはないんですよね
よく「無駄吠え」って言ってますが
訳もなく吠える事はまず無いというのが真実で、だからと言って
どうして吠えてるかを人間側がちゃんと考えてあげられていない、というのが事実なんですよね
話を戻しまして
ある深夜の散歩中の出来事です
私の実家から少し歩いた所には丘がありまして、そこには一面の墓があるんです、墓地というか霊園というか
当時実家には3匹の犬が居て、私はその頃いつでも何時でも暇さえあれば散歩をしていました
朝焼けや夕焼けや
時には満月だったり
なんとか流星群を観るために
真夜中にだって犬と一緒に外へ出ていました
星が綺麗な夜
犬と夜空を見上げながらの散歩は
最高に贅沢な時間です
その日も1匹を引き連れ
星空を眺めに出かけました
普段通り時々宇宙の星々を見上げスタスタと歩いていたら、急に犬が立ち止まったのです
いつもなら私の歩いてる横を素直に文句も言わないでついて来るのに
ちょうど墓地の入り口に繋がる道へ曲がってすぐ
※あ、夜にわざわざ墓地?と思われたかもしれませんが、元々丘の上は住宅地になっていて、道路を挟んだ隣の土地が墓地なのです
だからそこには立ち入らずに、そのまま素通りする予定でした
でもよくよく目を凝らすと
道の行く手に電柱が見えて
そこにちょっと黒っぽい
人影らしきものがあったのです
いや、見間違いかな
暗くてよく見えないし
そんな事を思っていると
隣で急に止まっていた犬が
今度は背中を丸め唸り出しました
その瞬間パッと私が電柱を見た時には、もう何もありませんでした
人なんか隠れてないし
さっきの影らしきものも
跡形もなく消えていました
いや、元々何も無かったのかもしれません
だけど犬はまだ唸ったままで、私がいくら引っ張っても微動だにしませんでした
まぁいいや
とりあえず来た道を戻り
家に帰る事にしました
………
ただそれだけの話です
全然怖くないですよね
でも私
部屋に戻ってから
どんどん怖くなったんです
何かあった訳でもなかったのに
あのまま進んでいたら、と思うと
凄くゾクゾクしてしまって
今でもあの夜チラッと見えた影や
犬の唸り声が
忘れられないんですよね
だから私の中の霊感ナンバーわんは10年以上経った今でも
あの犬なんです
もしかしたら今も天国から
私の相変わらずの無謀な行動を
【犬と行く真夜中の星空ツアー】を
注意深く見ていてくれてるのかもしれません
そして時々透明な体で唸り声をあげて
私に引き返すよう促してくれているかもしれないのです
だってあれから一度も私
怖い経験をしていないのですから
『ワンワワワワワワーン!』
え? 今、吠えた、???
やすきち