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ガラケー生活で人間らしさを取り戻す①〜Punkt.MP02について、迎えた経緯〜

こんにちは。イラストレーターのかりそめです。
お勤め時代と比べて不安定な生活になったので、出かけたときは必ず水筒を持ち歩いたり、公園や休憩所でうまいこと息抜きしたりと、ポンポンお金を使うのをやめて必要なとき(飲み代とか)にとっておくようになりました。

なので、旅行以外では大きな買い物をすることがめっきりなくなった私。ですが!
先日、Punkt. MP2(プンクトと読みます)というガラケーを買いました。
5万円近くするので、私にとってはとてもとても高価な品物です。

なぜ今ガラケーなのか? なぜこの商品なのか?
順を追ってくわしくお話していきます。



Punkt. MP02ってどんなもの?

デジタルデトックスのための携帯電話

Punkt. MP02(以下、プンクトと表記)はスイスのメーカーPunkt.がつくった、通話に特化したミニマムな携帯電話です。連絡手段は、通話とショートメッセージのみ。
それ以外にはカレンダー、時計、メモ、電卓という簡単なツールがあるだけです。しかもカレンダーは予定を入れる機能がなくて、ただ今日が何日か確認できるだけ。潔くシンプル!

「A phone for independence.(独立のための電話機)」ーとうたわれているのように、インターネットと適切な距離をとって過ごせるようにつくられた携帯電話なのです。

有名デザイナーが手掛けたデザイン。ひと目見て「ほしい!」と思いました
手のひらにすっぽり収まるサイズ。そして軽い


現代だからこその機能も

とってもシンプルでミニマムなプンクトですが、ひとつ大変便利な機能があります。

それは、テザリング機能です!

ガラケーにしようかどうか考えたとき、私はいざというときに地図アプリと乗換案内を見れないことがネックだったので…。これは知ったときすごく助かると思いました。
結論、スマホは完全には手放しておらず、SIMなしの状態でiPodのように使っているのですが、必要に応じてテザリングをして調べものをしています。また、Wi-Fiのない場所でパソコンを使うときにも良さそうです。

それなら脱スマホにならないんじゃ?と思う方もいるかもしれませんが、
ワンタッチでテザリングをオンにできるわけではなく、わりと面倒なのでそれなりにハードルになっています。私は、スマホのほうはほとんどアプリも消してしまったので、ほんとうに必要なときだけ使うようなかんじです。端末ごとの棲み分けのおはなしはまた後ほど。

スペックなど、もっと詳しいことはガジェット好きな方々がていねいにレビューしてくれているので、気になる方は調べてみてくださいね。


なぜ今、ガラケー?

イヤなのに見てしまう

電話、カメラ、SNS、検索エンジン、決済手段…すべてが一台に集約されているスマホ。調べものをしようとスマホを開いて、LINEの通知に気付いて返信して、そのまま流れでSNSを徘徊して、スマホを閉じてから「あ、これを調べようとしてたんだった…」と開き直すなんてこともしばしば。

特にSNS…私の場合、Instagramを主に使っているのですが
最近はフォローしているアカウント以外でも、自分の好みにカスタマイズされた投稿が延々と流れてきます。そしてつい長々と見てしまって、あっという間に時間が経ってしまう。

世の中のいろんなことが見えるのは便利ですばらしい反面、実際に知った気になってしまったり、不要な感情を生む危険があると思います。偏った情報だけでものごとを判断したり、人と比べて嫉妬したり…。

実際、私はイラストを描いているので、他のイラストレーターさんの作品や実績を見ることは刺激になることもあるのですが、次から次へと見すぎると「こういうタッチの受けがいいのかな」とか「みんな大きな仕事をしている人ばかりで、私なんてちっぽけだ」と悲観的になってしまうことがあります。

本来、人間はごくせまい範囲で自分の得意なことを仕事にしたり、人と会ったり、暮らしをととのえたりすることでしあわせを見出してきた生き物だったんじゃないかな。それが今は、見える範囲が大きすぎて、知らなくていいことまで知れて、それでいつも「なにかが足りない」って気持ちになってしまう。そんな風に思います。

どうでもいい情報は害だ。人間をなんとなくぼうっとさせる。

好きな作家・吉本ばななさんが何かの小説で書いていた言葉です(たしか)。これを見たとき身が引き締まる思いがして、それから心に残っていてときどき思い出しています。本当はやってみたいことって山程あって、全部やるには人生は短すぎるくらいなのに、いざ空白の時間ができると暇で手持ち無沙汰に感じてしまう。

なにかに、自分の大切なものを奪われている。このままでは気付いたら毎日がこぼれ落ちていく。ずっとそんなふうに感じていました。ほんとうは自分の知りたい情報以外知りたくなくて、見に行こうとしてることしか見たくない。ときに勝手に流れてくる情報が自分のためになることもあるけど、そういうことは実際に出会った人や信頼している人から聞きたい。


何度も頓挫した脱スマホ計画

そんなふうに、現状を見て焦ってはこれまで何度もスマホと距離をとろうと試みました。となりの部屋に置いたり、時間でルールを設けたり。
けれど、連絡手段を兼ね備えている以上まったく放置というわけにもいかず、そのついでに結局他のアプリを見てしまったりしました。Instagramも、投稿後の反応が気になって開いてしまったり…。

スマホに時間をとられている現状に焦る

脱スマホ計画を実行する

時間が経つと効果が薄れて日常に戻る

しばらくこの繰り返しです。この前、ふと過去の日記を読んでいたのですが、間を置いていつも同じようなことが書いてありました。

「スマホをやめたい」「最近見すぎている」。

それを見てちょっとゾッとしました。根本的になにかを変えないと、このまま一生スマホ依存から抜け出せない!

そんな思いから、ガラケーにしてスマホを手放すという最終手段を検討しはじめました。少し前に、最近ガラケーにしたという人に出会っていたのですが、そのときは「やめたい気持ちはめっちゃ分かるけど、この現代社会では私には到底できない…」と諦めていました。でもどこかでずっと心にはあって、うらやましいと思っていたんだと思います。

そうして調べているうちにプンクトと出会って、上にも書いたようにテザリング機能があることも後押しして、購入を決めました。


ようこそ我が人生へ!

…というとちょっと大げさですが、「これをきっかけとして今までの生活が変わるといいな、いや変えなくては!」と期待と覚悟を持って買ったので、届いたときはワクワクしつつもちょっと厳かな、粛々とした気持ちでした。

箱がぴったりすぎて開けるのにちょっと苦労しました
説明書のブルーもすてき!全部英語だけど…

私のスマホ歴は高校生からで、Android→Android→iPhone SE2(現在)というかんじです。10年でこれは少ないほうでしょうか。
社会人になってからiPhoneデビューだったけれど、すでにiPod touchを使っていた経験があったので真新しいかんじはしませんでした。それに、スマホだとアプリを入れればたいていのことができてしまうので、本体自体への関心はそんなになかった気がします。

なので新しい機械がきて、いろいろ手探りで触って確かめるかんじ…!久しぶりでワクワクしました。ガラケー押しも懐かしすぎて、ちょっと嬉しい。フリップ入力は楽だけど、実感がないんですよね。デジタル世代だからか、実感があるものが好きで…。スマホで撮るよりフィルムカメラで撮ることが好きだし、乾燥機を使うより日の光の下で洗濯物を干すことが好きです。

アナログな雰囲気ながら操作性はだいぶ感覚的で、すぐ要領を得ました。ナイスデザイン!

そして、音も良くて。
起動するとき、鳥が鳴くんです。癒やされます。他にもいろいろな着信音が入っています(ノルウェーのサウンドアーティストが手がけているとのこと)。今までスマホは常にマナーモードでしたが、プンクトは緊急連絡のみなのでちゃんと気付けるよう、サウンドオンで過ごすことにしました。

SIMカードを差して、設定を済ませ、使用開始。海外メーカーで、まだユーザーが少ないこともありここが少々手間取ったのですが(後ほど別で投稿します)、そんな手のかかるところも含めて愛着がわいています。もう買い替えたりしたくないので、使える限りはずっと、頼んだぞ…。
(後編へつづく)


◯後編(Instagramとの向き合い方、ガラケー生活で変わったことなど)はこちら↓


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