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亀甲山古墳とミルクフランス

ここ最近仕事が途切れることなく続いていて、結構忙しかった。毎日毎日やることがあって、こっちのデザイン案を投げたから次はこっちで、あれの返信がきたからちょっと修正をして…。やっぱりそういうのってまとめてくる。

それがすべてひと段落着いてしまって、ぱったりとやることがなくなった。それがフリーランス。厳密には終わったわけじゃなくて、印刷待ちだったり連絡待ちだったりするのだけど。

「暇なときにやること」は忙しいときにどんどん思いついて、肝心の暇なときにはやる気が起こらないもの。こういうときのモチベーションの維持って、みんなどうやってるんだろう。

私は家でパソコンに向かっていてもてんでダメで、今日もあてもなく外に出ることにした。することが思いつかなくて、何を持っていけばいいかも分からずボーっとしてしまう。パソコンは身軽じゃなくなるので、iPad、ノートとペン、図書館で予約して借りてきた本をリュックに入れて出る。

私はどこに行きたいんだろう。住まいの白楽に今日の居場所はない気がした。改札をくぐって、財布の中を確認すると700円くらいしかなかったのでみなとみらいのほうはなし(みなとみらい線は高い)、帰りには菊名の八百屋に寄りたいので上りの電車にのる。

菊名のどこかの店に入るという手もあったけど、本を読みはじめたらこのままもう少し読みたい気持ちになり乗り過ごす。いつも多摩川駅をとおるときに見える、あの神社らへんのもさもさ(木々が生い茂るさま)を思い出したので降車駅を決めた。

読んでいた本

多摩川駅を降りると、「東横線でいちばん、降りたときにほっとする駅かもしれない」と思った。降りてすぐのところにお店がないからかな。すぐ住宅街と森がある。

駅の地図を見て、「亀甲山古墳」の字に惹かれてそちらへ向かう。神道に関する本を読了したばかりで、古墳や神社がすごく気になってしまう。

季節は秋ですがすがしいけど、まだ残暑がふんばっていて日なたは太陽が暑い。もさもさの正体は「多摩川台公園」の敷地だったようで、どんどん奥がある広い公園だ。午前中だと、園内はほとんど木陰になっていて涼しい。

入ってはじめのほうは庭園のような雰囲気。今はだいぶ散ってしまっているけど、高いサルスベリの木が何本か植えてあったり、もみじやあじさいもたくさんあって四季折々で楽しめそう。紅葉の時期に旦那さんと来たいな。

眼下には多摩川が流れていて、人が少なくて、のどかだ。少し歩くと例の亀甲山古墳があった。フェンスで覆われている古墳を見上げるかたちだけど、横から見てもなんとなく前方後円のかたちが分かった。

地元にも近くに古墳がある小さな山があったけど、学校で習ったあとに見ても「どこが古墳!?」ってよく分からなかったな。教科書に載ってるのって、大体きれいに全体が見える航空写真だったり、土で形作ったようなイラストだったから。ほんとうはもさもさしていて、目を凝らさないと形がよく分からない。

古墳の近くには展示室があって、行ってみると無料だった!うれしい。

古代にタイムスリップできるというコンセプトで、結構こだわられた作りだった。多摩川流域は古墳がたくさんあって、多摩川台公園内も亀甲山古墳のほかにいくつかあるようだった。出土品や当時のようすが解説されていて、室内に一人だったこともあり30分くらいじっくり見てたかな。本で得た知識が載っていたりしてうれしい。

本でふむふむと思ってもすぐに忘れてしまうから、こうやって別のところで出てきて復習すると定着するかんじがしていい。やっぱりからだも動かさないと。

公園内はベンチやテーブルがたくさんある。人が少なくて、のびのびできた(虫に怯えながら)。いったん丘を降りて、ノラベーカリーでパンを買って森の中で昼食。ちょっと街を歩いたら暑くて、裸足になってしまう。地面がひんやりと気持ちくて、木陰でいるうちにだんだん涼やかになってきた。

土や石は冷たいし、森の中は涼しい。人間がつくったところだけ暑くて、それで「地球はやばいよ〜」なんて言っているのって、自分も含めて馬鹿みたいだって思ってしまう。でも実際に道路を作っているのは別の人で、その人も誰かに命令されて、命令した人は会社を存続させるために仕方なくて……。そんなふうに当事者意識が薄っていくけど、「人間のせいで」の「人間」は集合体だ。だから大事なのは一人の小さな選択なんだって、思い知らされる。

話がそれてしまったけど、パンを食べていたんだった。ミルクフランスが好きでよく買ってしまうのだけど、ここのは特においしかった!一人で思わず煉獄さん(鬼滅の刃)のように「うますぎる!」と言ってしまった。

本を読んだりして、気付けば着いてから3時間を森の中で過ごしていた。何もしていないけど、無理に何かすることもない。やろうと思えるまで待とうって、少しずつこんなふうになったな。それでもどこかで焦ったりするけど。

大体プレッシャーをかけているのは自分自身だから、ちゃんと許してあげたい。いつも頑張ってるから、そんなに四六時中なにかをしなくても大丈夫。

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