パラレルワールド-星の記憶-1-10
PW⑩【修学旅行①】
今日からウキウキわくわく♪
ハワイへ修学旅行です。
うちの学校は去年までヨーロッパだったのだけど今年は何故かハワイに決まって
そしてラッキーなことに承太郎くんの学校と日程も場所もかぶっていて
自由行動の日に一緒に観光することになった♪
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一緒に観光といっても
もちろん学校には内緒!
こっそり待ち合わせして
午前中はキラウエア火山国立公園の
溶岩大地を散策しにいった
広く広がる溶岩で固められた大地を
ひたすら歩くだけだけど
自然の偉大な景色に感動した。
でもわたしはしばらくすると、
目の前に広がる光景をどこかで見たような気がして一瞬目がくらんだ
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「おいどうした?」
「なんでもない・・・ちょっと立ちくらみ」
そのあと何故か
だんだん恐怖が押し寄せてきて、
足がすくんで動けなくなってしまった。
急に鼓動が速くなって
からだがどっしり重くなり
その場にいることが耐えられなくなった。
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「ごめんちょっと気分悪くなってきた」
「大丈夫しずく、もうすぐお昼だしどこかで休もうか」
「ごめんね」
司くんはハワイへは良く来るらしく
お奨めのお店でランチにすることにした。
インテリアも素敵で
まさにインスタばえするお店だった。
司くんなかなかセンスいい。
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「大丈夫か?」
「さっきよりは大分よくなった。
昨日夜眠れなかったから、寝不足なのかも・・・」
「お前は遠足前の小学生かっ」
だってしょうがないじゃん
まさか修学旅行で一緒にすごせるなんて
興奮して寝れなかったよっ
「承太郎くん面白いこと言うね。
二人はいつもこんななの?」
「そういえばお前たち初めて会った時からこんな感じだったよな~
いいコンビだと思うんだけど」
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「え~でも承太郎くん彼女いるんでしょっ!」
「あぁあれか、柚希ちゃんのこと言ってる?
あいつはただの幼馴染だよなっ」
「お前は人の事べらべらしゃべりやがって」
茜がわたしに向かってほほ笑んだ
かわいい顔してやるなこいつっ
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「ねぇ午後は二手に分かれない?」
茜がまた何かたくらんでる様子・・・。
「さっきちょっと司くんと話してて
わたしたち行きたいお店があるんだけど!」
「いいよ俺たちも一緒に・・・」
「承太郎くんには悪いけど、
そのお店ちょっと遠いいから
しずくの看病お願いできないかな?」
「おぉそれいいね!」
「お前らな」
「いいよ、承太郎くんも行きたかったら
一緒に行ってきて。
わたしはまだ体調悪いからそこのビーチで待ってる」
「・・・わかったよ、二人で行ってこい」
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茜たちと別れて、わたしと承太郎くんは砂浜のベンチに座っていた。
「ごめん付き合わせて・・・」
「別に買い物とか興味ねーから」
しばらく二人でぼ~と海を眺めていた。
「なんか思い出すね・・・」
「はぁ?何をだ?・・・」
「はっ?なんだろ?・・・なんか口が勝手に!!」
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何故かわたしは下を向いて考えこんだ
「ん?どうした?気分悪いのか?」
「ちがう。なんか思い出さなくちゃいけないことがある気がする・・・」
「なんだ?お土産リストでも忘れたか?」
「ちがうっ!もっと大切なもの・・・」
「旅行に来てお土産より大切なものってなんだよ!」
「ちょっと、お土産ってそんなに大切?」
「大切だろ!一つでも足りないと喧嘩になるぞ」
「ちょっと、なにそれ~」
なんかおかしくて思わず笑っていまった。
「何ウケてんだよっ!」
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そのとき目の前に綺麗な夕日が現れた。
「ちょっとみてあれ!」
わたしは思わず砂浜を海に向かって走った。
砂浜を歩きなれてない私は爪先が砂に埋まって転んだ。
「おい大丈夫か?」
承太郎くんがつかさずかけより手をとってくれた。
口は悪いけどこういうところは素敵だと思う。
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「ありがとう」
と顔をあげると、忘れていたものを
思い出したような
突然不思議な感覚に襲われた。
そして何故か彼越しに見える夕日が
とても切なく、苦しくて、
そして目の前にいる人が
とてもいとおしいくて
わたしは承太郎くんを見つめたまま
涙があふれでて止められなかった。
「おいどうした!」
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頭はその状況を描写できるくらい冷静で、
だけど心には涙を止められないほどの後悔と罪悪感が混ざった
複雑な感情が込み上げていた。
承太郎くんはわたしが思い出せなかった何かを思い出したようだった。
そして彼はわたしの頬に手を添えて
やさしくキスをした。
そこから私の意識は途切れ
気づいたのは翌朝だった。
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