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クラウド勤怠管理システムを効果的に導入するための8つのステップ

在宅勤務を実施してはみたけれど、やっぱりクラウド勤怠管理システムが必要だー!とひしひしと痛感している企業様もいらっしゃることと思います。

今だからこそ知っておきたい、クラウド勤怠システムを効果的に導入するため8つのステップをまとめます。

最初に理解しておきたいこと。システム導入の成功のカギは、導入前の運用分析、制度設計、規程整備です。

よくある失敗は「クラウドを導入すれば勤怠管理が楽になる」というものです。しかし、クラウドを導入しても、投入するデータがまちがえていれば結果もおかしなことになります。電卓は計算を簡単にしてくれますが、間違えた数字をたたけば答えも間違えるのと同じです。

クラウドを導入するということは、今まで人が行っていた作業を機械が行うということです。機械は超優秀なので、命令したことを忠実に実行してくれます。

逆に言うと、システムには「臨機応変」という言葉がありません(逆にあったら困ります)。

だから、これまで人の目でみて「この人はこう」「この場合はこう」とやっていたものを、全て明確なルールにして、機械に設定を覚え込ませることが必要になるということです。

そのためには、まずは運用を整理、客観的なルールを作成し「クラウドへの命令書」を作ることが非常に重要になります。

企業においては、この「クラウドへの命令書」=「就業規則」となります。

大まかな流れは、規程の再構築(運用分析)~運用の整理~システム設定~従業員教育、となります。

就業規則はすでにあるよ~、という場合でも「クラウド対応」になっているかは別の話。現実の運用と一致しているかも別の話。

ですからまずは運用を分析し、それを「勤怠管理システムにおけるシステム仕様書」としての就業規則に落とし込んでおくことがシステム導入成功のポイントです。

具体的手順は下記です。

1.就業規則を確認する(労働時間、休憩、休日)

就業規則で下記を確認します。

・始業終業時刻
  何時から何時まで?勤務時間の繰り上げ繰り下げあり?
  8時間?8時間未満?
  フレックス?裁量労働時間制?
・休憩時間
  固定?本人の自由に任せる?1パターン?
・残業時間
  始業時間より前に出勤した場合は?
・休日
  法定休日は何曜日?固定?土日休み?曜日固定せず週休2日?
  祝日、年末年始は?
・有休休暇の付与
  法定通り?特定の日に一斉に付与される?何日分?
  半休は何時から何時まで?パートアルバイトの半休は?
・特別休暇、慶弔休暇

これらの基本を確認したうえで、現行の運用分析を行い、「就業規則には書いてないけど、この人の場合はこう、この部署の場合はこう」というようなローカルルールが出てきた場合は、それを洗い出して就業規則に落とし込みます。

2.賃金規程を確認する

どのように給与計算が行われているかを確認します。
何故なら、勤務時間の集計結果は、給与計算の元データになるからです。

「給与計算の時にどんな数字が使われるのか」それに合わせて集計を行うことが必要になります。この給与計算式の元ネタは賃金規程にあります。

確認ポイントは下記です。

・給与の締め日、支払日
  締め日と払い日が15日未満の場合は短すぎます。
   この際変更してしまいましょう。
・みなし残業代の有無
  あるのかないのか、みなし時間は個別に異なるのか、全社で同じなのか
・遅刻、早退時の取り扱い
  もし残業したら所定時間からはみ出た部分に割増賃金を払っているのか?遅刻した分始業時刻も遅らせるのか?
・残業代の計算方法
  特に所定労働時間が8時間未満の場合に注意です。
  例えば、所定労働時間が7時間だった場合に、
  7時間超8時間以下、8時間超、それぞれ分けて集計する必要があるか
・休日出勤時の割増賃金計算方法を確認する
 
 土曜日に出勤したら×1.25? ×1.35? ×1.0?

などなど。。。

不明点が多い、賃金規程に書かれていない計算式がある、給与計算担当者が秘伝の技を駆使して給与計算している、などの場合は賃金規程の修正を行います。

3.現在のタイムカード、賃金台帳を確認する

現在のタイムカード、賃金台帳を確認し、就業規則や賃金規程の内容とあっているか確認します。

何故なら、現実には就業規則に記載されていない、細かなローカルルールがあったり、給与計算担当者の匙加減や慣習で調整されている、みえない作業がされていることがあるからです。

・残業した場合に申請や承認が必要なのか

・始業時刻より早く打刻した場合の残業代計算はどのようにしているのか。遅刻した場合の残業代計算はどのように処理しているのか

・現場都合で突然シフトを会える場合はどのようにしているのか

・午前半休を取得して午後まで勤務してしまった場合はどう処理しているのか
・午前半休を取得して午後勤務、残業した場合はどう処理しているのか

などなど・・・

4.システム選定を行う

ようやっと、システム選定に入ります。

ポイントは、これまでに分析した勤務時間の集計や給与計算の元ネタづくりを実現できる機能があるかどうか、です。

といっても現在は勤怠管理システムもありすぎて正直選びきれないくらいあります。よく使われているのは下記の3つでしょう。

・KING OF TIME

 http://www.kingtime.jp/

細かい設定が可能。大抵の労働時間集計に対応できます。
柔軟な働き方や多様なパターンに対応させたい場合はこちらがよいでしょう。

デメリットとしては、細かい設定ができるが故に、設定が細かいことです。しかし、細かい設定はいいや、と割り切るなら、ほぼ設定しなくても、法定通りの集計ならデフォルトの設定のままでもやってくれます。

・ジョブカン
https://jobcan.ne.jp/
直感的な操作が可能。設定も比較的簡単。しかし複雑な労働時間管理制度にはなじまないことも

・MFクラウド勤怠
https://biz.moneyforward.com/attendance

MFクラウド給与を使っており、同じシリーズで合わせたい場合など。

といってもMFクラウドから従業員情報を連携できる、というわけでもなく、費用も別途なので「別のシステム」と思った方がよいでしょう。

ベースの就業時間をきっちり定めないと労働時間が集計されないため、シフトの変動が激しいような場合は向いていないでしょう。

5.設定する

ここまできたらいよいよ設定です。

1.まずは、勤務体系が似ている従業員毎にグルーピングする
2.グループ毎に設定を行う

1.勤務体系が似ている従業員毎にグルーピングする

例えば、
・正社員かつ9:00-18:00勤務のグループ
・正社員かつフレックスのグループ
・正社員かつみなし残業ありのグループ
・月給と時給のグループ
・アルバイトかつ所定時間が決まっているグループ
・アルバイトかつ所定時間が決まっていないグループ

といった感じです。

このグルーピングをスッキリさせると、設定も運用も楽です。逆に、ここがごちゃごちゃだと血を見ます。

それができたら

2.グループ毎に設定を行う です。

6.テスト運用

最初は数名、各部署から上司と協力的な従業員を1名ずつくらいピックアップして、1ヶ月ほどテスト打刻を行うとよいでしょう。

理由は、望ましい集計になっているかの確認と、細かい運用調整を行うためです。

実際に運用を開始すると「あれ?こんな時どうするんだったっけ?」「間違って打刻した場合はどうやって直すの?」といったような細かい問題が発生します。

また、打刻する従業員側からの質問も噴出します。一気に全社員導入すると、人事担当者が質問でパンクします。

それを防ぐためにも、テスト打刻期間を設けておくと全社員導入がスムーズです。

7.管理者教育を行う

あらかた設定が整ったら、管理者教育を行いましょう。

管理者教育が必要なのは、有給、遅刻早退、残業、シフト変更等、従業員からあがってきた申請を許可する、など、管理者が操作を理解していることが大事だからです。また、管理者に操作を覚えてもらえば、全ての質問が人事に集中することも防ぐことができます。

これは、テスト運用時に同時に行うこともできるでしょう。

8.全社導入!

ここまでできたらいよいよ全社で導入ですね。

管理者マニュアル、従業員マニュアルを用意しておくとスムーズです。(KING OF TIMEであれば、それぞれのマニュアルがWORDで用意されていますので、自社用にカスタマイズして使用することができます)

勤怠管理管理システムの導入が難しいのは、人事担当者が頑張ればよいということだけではなく「従業員に動いてもらう必要がある」ということです。

ですから、従業員がいかにスムーズに動けるか、を想定して動くことが成功のカギです。でないと、人事担当者が、問い合わせの嵐で潰れます。。。

必要に応じて、従業員説明会を行う、社内FAQを作成する、などしておくとよいでしょう。

急にシステム導入しなければならない場合

ここまでは、勤怠管理システムのオーソドックスな導入の流れをご説明しましたが、現在のこの状況ですから、突然急にシステム導入しなければならなかった、今はあまり時間をかけていられない、というような場合もあるでしょう。

そのような場合は、とりあえず細かい集計は求めずに「とりあえずタイムカードがわりに打刻だけさせておいて細かい設定は後で」という導入のしかたもあるでしょう。

そのような場合は、汎用性の高いシステムをいれておくとよいですね。

システム導入と入れ替えは、思ったより負荷の高い作業です。いちど入れてしまって、自社の就業規則とあわなかった、このシステムでは実現できないルールが沢山あった、ということになると取り返しがつきませんので。

しかし、いったんは打刻のみの導入でも、近い将来はきちんと設定するつもりで計画を立てた方がよいでしょう。

システム導入しても、後で人事担当者が手作業で集計しなおすようなことが続くのであれば意味がありません、エクセルの方がまだましです。

おすすめは?と聞かれますが、システムの比較検討をしている余裕がないのであれば、KINGOFTIMEがおすすめです。制限ほぼなし~細かい設定、まで対応しているので、将来的な調整が可能になるからです。(わたしはシステム屋さんの回し者ではないので、あくまでご自身で決めてくださいね~)


勤怠管理システムの設定は、実は「労働基準法」「自社の就業規則」「給与計算方法」「システム利用法」の全てを熟知しなければできない非常に難易度の高い作業です。

なんとなくわかったけどかったるくてやってられない!自分ではできる気がしない、という方は、こちらにご連絡ください。

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就業規則や業務フローの見直しからお手伝いさせていただきます!



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