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【解説】業務妨害罪とは、どのような場合に成立するのでしょうか?

業務妨害罪とは、虚偽の風説を流布し、または、偽計、もしくは威力を用いて、人の業務を妨害する犯罪をいいます。

業務とは、職業、その他社会生活上の地位に基づき、継続して行う事務や事業などの社会活動です。従って、個人的な娯楽や学習、家庭生活上の料理や洗濯などは業務にはならないです。

業務妨害罪には、偽計業務妨害罪、威力業務妨害罪、電子計算機損壊等業務妨害罪の3つがあります。

(1)  偽計業務妨害罪
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害することです。

「虚偽の風説の流布」とは、客観的な真実に反する内容のうわさを、不特定または多数の人に伝播させることです。

「偽計と用いて」とは、他人を錯誤(勘違い)に陥らせるに足りる計略を用いることです。

たとえば、
・ピザ屋に嘘の注文をした場合
・飲食店のアルバイト従業員が、不衛生ないたずら動画をSNSに投稿した場合
・競合相手の新聞紙と体裁を似せてシェアを奪おうとした
などが、これにあたります。

(2)  威力業務妨害罪
威力を用いて、人の業務を妨害することです。

威力とは、人の意思を制圧するに足りる勢力を示すことをいいます。
暴行、脅迫はもちろん、社会的地位や経済的優越を利用する場合も含まれます。

たとえば、
・満員の営業中の食堂に縞蛇20匹をまき散らかした場合
・電車の運転手を殴打して電車の操縦を妨げた場合、弁護士の鞄を奪取し隠匿した場合
・人が仕事で使用する机の引き出しの中にねずみの死骸を入れた場合
・クレーマーが、衣料品店やコンビニの店員を土下座させるなどした場合
・客がスーパーの店員に商品の在りかを尋ねた際の店員の対応に腹を立て、他の客や店員に聞こえるような大声で、数十分にもわたりクレームを言い続け、スーパーの営業に支障を生じさせた場合
などが、これにあたる可能性があります。

妨害については、その危険が生じれば足りるとされています。

(3)電子計算機損壊等業務妨害罪
人の業務に使用する電気計算機もしくはその用に供する電磁的記録を損壊し、もしくは人の業務に使用する電子計算機に虚偽の情報もしくは不正な指令を与え、またはその他の方法により、電子計算機に、使用目的に沿うべき動作をさせず、人の業務を妨害することです。

たとえば
・放送会社のホームページ内の天気予想画像を消去して、変な画像に置き換えた場合
・他人の社用パソコンに保存されていたデータを無断で削除した場合
などが、これにあたります。

【刑法】
(信用毀損及び業務妨害)
第二百三十三条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
(威力業務妨害)
第二百三十四条 威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。
(電子計算機損壊等業務妨害)
第二百三十四条の二 人の業務に使用する電子計算機若しくはその用に供する電磁的記録を損壊し、若しくは人の業務に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与え、又はその他の方法により、電子計算機に使用目的に沿うべき動作をさせず、又は使用目的に反する動作をさせて、人の業務を妨害した者は、五年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪の未遂は、罰する。


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