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アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック / メトロポリタン美術館
黙秘権とはどんなものでしょう?
黙秘権とはどんなものでしょう?
どうして罪を犯して捕まった被疑者に、黙秘権が認められているのでしょうか。
それは、無実かもしれないからです。
刑事ドラマでよくありますが、真相究明を重視しすぎた捜査官が、職務熱心のあまり、ゆきすぎた捜査が行われ、被疑者や捜査対象者の人権が侵害される場合があるからです。
そのため、被疑者にしっかりと防御活動を行わせ、無理やり自白させられて無実の罪で処罰されてしまわないために、憲法では次にように規定されています。
憲法 第三十八条 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
2 強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
3 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。
これを受けて、刑事訴訟法では次のように規定されています。
第三百十一条第1項
被告人は、終始沈黙し、又は個々の質問に対し、供述を拒むことができる。
これは、自己に不利益な供述に限らず、終始黙っていて、すべての質問に答えないことも認めているもので、憲法よりも広いです。これを、黙秘権といいます。
刑事訴訟法では、被疑者に黙秘権を認める名文の規定はありませんが、黙秘権が認められていると考えられています。
それは、次の規定があるからです。
第百九十八条第2項
前項の取調に際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。
なお、被告人に対しては、裁判の冒頭手続きにおいて、裁判官によって、黙秘権が告知されます。