怪しい世界の住人〈七福神〉第四話「大黒さんのこと」
❷ 福箕と言う名の縁起物のこと
毎年一月には十日恵比寿と言うめでたいお祭りがあります。地方によっては三賀日にこの祭りを行う場合もあります。
関西では西宮の恵比寿神社を中心に一月九日が宵宮、十日が本祭りで、この期間の数日間、
「商売繁盛で笹持って来い」
の掛け声と共に盛大なお祭りが催されます。
毎年、寒い時にこのお祭りへ行って楽しんで来ました。
お祭りで売られる商売繁盛のための笊のような物、恵比寿天と大黒天の面のついたあれを〈福箕〉と呼びます。この〈福箕〉はいわゆる縁起物です。笊ではなく〈箕〉です。これは箕で福をすくえるようにと願いを込めたものです。
大黒天は江戸時代、人の夢に出て願いを叶えるものとされていました。
恵比寿天は福そのものを意味します。
昔、海から流れ着いたものはすべて恵比寿として祭り福を授けるとされました。ですので、このふたつを箕につけて福を願うのです。
また、福箕と一緒に売られている、熊手のような物を関西では〈福竹杷〉と呼びます。竹杷は熊手のような道具ですが、柄の長い物を〈熊手〉と呼び、柄の短い物を〈竹杷〉と呼びます。〈竹杷〉は〈竹杷〉の別名です。
❸ 熊手と呼ぶ縁起物について
熊手と竹杷は区別されることが少ないため関東では酉の市などで売られる竹杷のことを〈福熊手〉、または、〈飾り熊手〉と呼ぶことが多いようです。
関東では、
——福をがっちり〈かき込む〉、財を〈掃き込む〉、運を〈鷲掴み〉するといった縁起物として飾られる熊手。元々熊手は農具としてや掃除の道具として使われてきた日常品です。熊手の形は鷲が獲物を捕らえる足の形に似ていることから、運を鷲掴みにすると言われ、縁起物と考えられるようになりました。このような言われから日本では幸運や金運を〈かき集める〉と言う意味を込めて商売繁盛の縁起物として熊手を飾る習慣があります。
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