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怪しい世界の住人〈狐族〉第七話「覚悟を決めて」

 怪しいことが頻繁に起きて、まるで化け物屋敷のような感じになっています。

——その他、掛けていた単衣の着物の腰から、突然、さがって切り離され、半纏のようになって、別な半纏の下にその単衣の下が縫い付けられていたり、まるで人がしたかのような奇妙なことが起こった。
 また、飯櫃に入れた牡丹餅ぼたもちふたをしたまま消えたり、湯のみの中の熱いお茶が、突然、水になったり、すぐに沸騰したり、見る見る内に変化し続けた。そして最後には茶碗が宙を飛び、煙草盆が天井に付くなど不思議な出来事が続いた。

 まるで、ポルターガイストですね。私も何度かこのような不思議な現象に祓いの現場で遭遇していますが、ただの錯覚ではない物理的な現象に驚きました。
 時々、このような現象がニュースの紙面を賑わすと〈集団ヒステリーだ〉とか〈錯覚のひとつだ〉と言う説が飛び交います。現場を見ていないからそう言う記事になるのだと思います。記事の多くや研究者の論文はインタビューと呼ばれる〈また聞き〉を書いているだけで体験を書いているのではないのですから。
 この本の著者が友人に言います。

——予は、射術の師範であるので定めて蟇目の法を行うこともあるだろう。先の話が気の迷いならば良のだが、もし、実際にこれらのことがあるならば、いかがか対処すべきだろう? 予は宝剣を持たずと言えども、太刀脇・差刀を帯びているので、これが飛び出した時は面白もない。はたして狐狸は本当にそのような不思議な技能を持つと言うのだろうか? もし、不思議なことが事実だとすれば、これまであなどって何もしなかったことは不覚だと思う。

 と。

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