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播磨陰陽師の独り言・第440話「日本化していく世界」

 映画『ブレードランナー』は、いわゆるサイバーパンク。未来を描いた昔の映画です。その描かれた未来が、たぶん、来てしまったのですね。スクリーンには日本語の看板があふれていました。今では珍しくもなく、世界中の都会で、日本語の看板を見かけます。もっとも、映画のようにカッコ良い感じではなく、地元に不釣り合いな雰囲気も漂わせているようです。
 映画の中では、奇抜なファッションや、ハイテクなガジェット、ビニルのライト付きの雨傘が印象的でした。
 東京オリンピックの時、
——カタカナの形がクールだ。
 と言って、外国で流行ったことがあります。
 その時、
——ヒラカナは曲線が多く、見分けるのが困難なのかな?
 と思いました。
 最近は江戸カナを見分けるAIアプリも開発されているようで、調べ物も楽になりました。目が悪いのにiPadの画像で見ているので、細かい部分を見分けるのが困難ですから……。
 多くの外国人が、日本で暮らして離れると、日本が恋しくなると言います。日本語が解れば解るほど、その人の雰囲気は日本人化して行きます。顔も、どことなく日本人ぽくなり、無意識の動きまでも日本人の雰囲気を纏います。そして、母国語ではなく、日本語で考えるようになるそうです。咄嗟の時に、まず、日本語が出て来ると言います。
 和食を食べ、マンガやゲームなどの日本のサブカルチャーにはまり、日本語を聞き慣れた言葉として認識すると、誰でも日本人になって行くのです。
 今や、Netflixなどのオンデマンド配信で、日本のアニメが世界中に広まっています。マンガも米国ではアメコミの売り上げを超えています。ゲームはもちろん任○堂やソ○ーが他社の追随を許さず、世界に広まっています。
 ゲームを開発していた40年前には、辞書を引きながらマンガを読む外国人がいるなんて思ってもみませんでした。
 さて、外国人と言う呼び名は、明治の頃から使われています。それまでは、外国はごく一部の人しか見たことがなく、珍しい存在でした。それ以前は〈異人〉と呼んでいました。ちなみに〈異人〉と〈南蛮人〉は、本来、外国人を表す言葉とは別な種類のものでした。
 異人と言うのは、死後の冠位のひとつであり、生きている人間とは異なる存在を意味していました。見たことのない人々を霊性の高い何かと勘違いして〈異人〉と呼んでいたのです。それが戦国時代、頻繁に外国人が来るようになって、霊性は高くなかったので、南から来る蛮族と言う意味で〈南蛮人〉と呼んだのでした。

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