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播磨陰陽師の独り言・第三百十九話「物の心と言うもの」

 人の意識はどこにあるのでしょうか?
 人以外にも、意識はあるのでしょうか?
 意識とは、いったい、何なのでしょう?
 様々な疑問が心をよぎります。
 心には、意識と思考とが含まれています。あなたが、もし、〈自分〉と呼ぶ心の働きを表現する時、それは〈意識〉のことを意味していることでしょう。
 意識は言葉で出来ています。言葉を得るまで意識はありません。だから赤ちゃんのような幼い頃は、意識そのものがありません。ある程度、言葉を知るようなると、突然、意識が芽生えて来ます。これを〈物心がつく〉と言います。
 物心は何にでもつきます。時には人間の脳よりも大きく複雑な物心を持つものまで存在しています。
 たとえば、銀河系の星々が集まって人の脳よりも複雑な神経回路を形成し、人には理解不可能な意識を持つこともあります。これを〈命〉と書いて〈みこと〉と呼びます。
 天の御中主の命などは、すべての宇宙の星々で形成される物心のことをさしています。
 以前に〈精霊しょうりょう〉のことを書きましたが、精霊の少し上の位が〈命〉です。
 天皇を〈すめらみこと〉と呼びますが、これは〈すめら〉の〈みこと〉と言う意味です。つまり〈すめら〉がすべての人民と言う意味ですので、すべての人民の〈みこと〉なのです。
 さて、精霊を神として祀れば、人を守る神となります。しかし、精霊は、元々、神に近い存在なので、あえて祀ることはありません。
 これが祟りをなす悪霊だと、祀ることで御霊ごりょうと言う神の位として、人を守る存在にあがります。
 言うならば精霊は、群れになった存在の集合的無意識が持つ心そのものです。そしてその心の多くは、人には高度過ぎて理解することは困難です。
 物心は意識のひとつです。
 物心とは、世帯や人情を理解する心のことです。世帯とは世の中の有様のことです。まず人は、物心を得て、はじめて人の情や世の中のことを感じるのです。そして意識が生まれます。
 意識とは、まわりを取り巻く世界を認識し、思考する心の働きのことで、自分自身を認識する心の働きのことです。
 物心は、何かを感じて反応を起こす心の働きのことですが、意識がなければ物事を考えることは出来ません。
 霊的なものには物心はあっても意識のないものもいます。これは神でも例外ではありません。特に化け物の類には思考する力のないものが多くいるのでした。

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